こんちは。ナラハラカズマサです。今日は、論語に出てくる私の好きな一節を紹介します。あるとき、孔子の弟子が「一生涯貫くべきことを一言であらわせますか?」と孔子に尋ねたら、「それは恕だな。己の欲せざる所、人に施すこと勿れ。」(衛霊公第15-24)とこたえた一節です。
なにが好きかって、「己の欲せざる所、人に施すこと勿れ。」って、絶対に間違いのない一言だと思いませんか?
このことばって、人間の善き行動の必要十分条件をあらわしているって思ったんです。
これを例えば、己の欲する→○× 人に施す→○× で分類すると
己○人× 己の欲する所、人に施すこと勿れ → 消極的な人
己×人○ 己の欲せざる所、人に施せ → 嫌なやつ
己○人○ 己の欲する所、人に施せ → おせっかいの可能性がある
己×人× 己の欲せざる所、人に施すこと勿れ。→ 間違いがない。つまり人格者
となります。
己○人×と己×人○が、よくないことはすぐわかるんですが、特に孔子の賢さは、己○人○とは、言わなかったところだと思います。
論理学でいう逆裏対偶的に言うと、己○人○は己×人×の対偶になるので、己×人×が正しければ、己○人○も正しいということになります。しかし、己の欲する所が間違っていた場合は、押しつけになり、相手に迷惑をかけてしまいます。(企業が奢って顧客が離れる時って、こうなってんじゃないかなって思います。自分たちのやっていることは正しいはずだが、と。)
でも、己×人×だと、己の欲せざる所が、たとえ間違ってたとしても、相手には迷惑はかけないですよね。行動しないわけですから。行動しないことで、相手がもの足りなさを感じるてことが唯一の弱点ですけど。でも、その物足りなさは、己の方に原因があるわけで、自然と相手への気遣いにもなっています。あなたのせいじゃありません。私の努力不足です。私がもっともっと勉強します、と。
だから人間って「己の欲する」感性を高め、「己の欲せざる」をいかに「人に施こさないか」ってことなるんですよ。その微妙な加減を見極めるところに人の道がある、と。つまり中庸というわけです。
孔子がここまで計算して言ったわけではないと思いますが、こんなことをサラっと言ってしまう、ほんとこの人天才ですね。
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