優れた計画とは何か。もちろん、優れた計画とは、物事を達成するために役立つものである。

ただし、とられた行動が正しくなければ、達成はできない。この「正しい行動」を誘発するのが、優れた計画である。

だが「優れた計画とは具体的には何か」については、きちんと教わることは少ないように感じる。

 

そこで、本記事では「優れた計画」について述べる。

 

 

1 計画には明確な目標が含まれる。

最初に必要とされるのは目標である。行動ではない。目標のないところに行動はない。

例えば「ダイエットの計画の具体的な中身は?」

という質問に対して、運動をして、食事制限をする、と回答する人がいる。だがそれは単に希望を述べているだけで、厳密な意味での計画とは異なる。

 

計画は必ず目標を必要とする。だから先程の質問に対しては、「ダイエットの目標をまず決めないとね」というのが、正しい反応だ。

 

また、その目標は曖昧ではならない。曖昧な目標は達成判定が不能であり、進捗の確認ができないものである。

したがって、「タイエットの目標は?」という問いに対して「痩せたい」という回答は不可である。

 

そうではなく、進捗の確認ができるようにするためには、目標は明確に、できるならば定量的な判断が可能にしなければならない。

例えば、「ダイエットの目標は体重を58Kgまで、体脂肪を減らして落とすことである。」と明確に定める必要がある。

 

 

 

2 計画には期限と具体的行動が含まれる

さて、目標が明確になったとする。次に必要なことは「期限」である。期限がなければ物事は成されない。

計画のもっとも重要な機能の1つは「残り時間」を提示し、目標から行動を逆算することを促すことにある。現在の立ち位置を見つめ、行動に反省を促すためには「期限」が不可欠である。

 

だがここで注意が必要だ。

「ダイエット目標の達成を今月末とする」

と明確に期限を定めた時「実行可能性」を考慮する必要がある。現実的な期限を考えることとは「実行可能性を考えること」に他ならない。

だが、実行可能性はどうやって検証したら良いのだろう?

 

ここで登場するのが「細分化」という手法である。といっても難しいことは特にない。期限と目標から逆算し、どの程度のスピードで進捗すればよいのかを探るだけだ。

ここは知識を正確にするために専門家に相談し、文献をあたって調べる。目標は「なんとなく」や「気合い」で決めてはいけない。

 

例えば現在の体重が61キロで、目標が58キロとする。調べると、脂肪1キログラムに相当するカロリーは7000キロカロリーだ。

したがって、58キロまで1ヶ月で達しようとすれば、1日に脂肪にして100グラム分、痩せることになる。1日にカットすべきカロリーは700キロカロリーだ。

これは微妙である。目標が高過ぎるかもしれない。

現在1日に摂取しているカロリーを考えれば、その半分くらいが妥当だろう。したがって、2カ月かけて3キロ痩せることにすれば、350キロカロリーを1日にカットしていく計画だ。これは大体茶碗に1.5杯ほどである。これくらいなら行けそうだ。

 

そこで、ご飯を減らし、運動をして消費カロリーを増やす、その具体的な行動の内容を詰める。ここで重要なのは、「合理的に、詳細に想像する」ことだ。

想像することで、具体的に自分が手と体を動かしているイメージが湧くことが重要だ。このプロセスを疎かにすると、計画が曖昧になり、実行されない。

 

中には見切りでスタートしたほうが良い、という人もいるが、私はそれには与しない。目標や行動は細分化し、合理的に考えないと絶対に実行されないからだ。

実行されない計画ほど無駄なものはない。

 

 

 

3 計画には、確保された時間と、予定表とが含まれる

さて、目標、期限、そして細分化が終わった。次に計画に必要なのは「実行のための時間の確保」である。

「時間の確保?」と疑問を持つ方もいるだろうが、時間が確保されていないがために計画が実行されないことがとても多い。

ダイエットであろうとなんだろうと、必ず目標達成には多くの時間がかかる。運動をしたり、筋肉を鍛えたり、進捗を計測したりしなければならない。

 

そこで必要なのは、手帳、スケジュール表などだ。紙でも、webでも、スマホのアプリでも良い。予定を記す手段が必要だ。計画は、予定表が必須である。

手帳もなく、スケジュール表もない計画は計画ではない。

 

まずは明日の予定を書き込んで欲しい。そして、明後日、明々後日と順に埋めていく。最低1週間後までは予定表を埋めて欲しい。

ここで予定表を眺める。運動をする時間はあるか?筋トレをする時間書き込まれているか?それがなければ、予定表に書き込んで欲しい。

そのための時間がない、という方も中にはいる。その場合は、何かをやめなければならない。

「実行のための時間の確保」とは「別のこと事をやめる」と同義である。何かを辞めること無く、別のことを始めることはできない。

ヒマな人も、24時間は何かで既に埋まっている。あなたが誰だろうと、既に十分忙しいのだ。

ゲームをやめ、ジョギングに充てる。TVを見てボーっとする時間を、腕立て伏せにつかう。時間を今までの習慣にないものに使うことで、時間を作る。

 

 

4 計画には進捗を計測すること、計画を見直すことが含まれる

さて、ここまでやれば明日から実行…という訳にはいかない。良い計画にはまだ不足しているものがある。それは「進捗の計測」と「計画の見直し」だ。

残念ながら計画は、たてた通りに動くことはまずあり得ない。絶対に狂う。その前提で動かなければならない。

 

計画が狂ってしまってヤル気を失った、という方がいるが、計画は狂うことを前提に動くことを知っていれば、ヤル気を失うこともない。

再度予定表を取り出し「体重を測る」をそこに書き込む。さらに、1週間毎に「計画を見なおす」をそこに書き込む。これが重要だ。

たとえ今、成果が出ていなくても、計画をたてるたびに上の原則を守れば計画の精度は上がっていく。そうすればこのペースだと2ヶ月で目標達成ができない、と思った時には期限を延長するか、運動の強度を上げたり、より食事を制限するなどの対策ができる。

その繰り返しが目標達成まであなたを導く。

 

 

 

以上が計画に含めるべきことだ。正直にいえば「簡単に」「手軽に」という話ではない。

だが確実に行動が要求されるような場面においては、優れた計画はかならず役に立つ。

 

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
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(2025/6/2更新)

 

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