「自分の代わりはいくらでもいる。だから、いつでも辞めることができる」と言うと、ネガティブだと思うだろうか。
一般的に、会社員という立場でこのように考えることは「責任感がない」と判断されるため、たとえ思っていたとしても心に秘めておいて方が良いとされている。
“でも、実際のところ、どうなの?”
☆★☆★☆
「自分がいなくなったら会社は回らない」
本当にこのような会社があったら、その会社に勤めたいと思うだろうか。
「その人がいなければ会社が回らない」という状況は、人に依存しすぎていて、会社の仕組みとしては好ましくないのではないか。
そうだとすると、良い会社ほど「自分の代わりは誰にもできない」という状況にはなりえない。
もちろん、所属している会社員がどう思うかはまた別の問題であり、あくまで実際の仕組みとしてどうなのか、という話である。
実際は、あなたがいなくなったら、他の人があなたの代わりを務めるだけ。でも、責任感は持ってほしい。「自分の代わりは誰にもいない」という気持ちで仕事に取り組んでほしい。そんな矛盾した思いを、経営陣の人たちは抱えているのではないだろうか。
以前、社会人の先輩に言われたことがある。
「自分の代わりは誰にもできないという気持ちで仕事に取り組むことのメリットは、大きいと思うよ」
なるほど。「実際に自分の代わりがいるかどうか」の事実はこの際どうでもいい。マインドの問題なのだと。
たしかに、「自分の代わりはいくらでもいる」と思うか、「自分の代わりは誰にもできない」と思うかでは、仕事への取り組み方が変わってくると思う。そして、後者のマインドを一般的に「責任感」と呼ぶのだろう。
「責任感を持ちましょう」とよく言われる。学生の頃も言われ、社会人になるともっと言われる。それほど、「責任感」は大切なものらしい。
当然だ。責任感のある人とない人だったら、どちらに仕事を任せたいか。当然、責任感のある人に仕事を任せたい。そんなこと、わかっている。
わかっているけれど、あえて「責任感を持つことのデメリット(責任感がないことのメリット)」の話をしたい。
責任感はストレスを増幅させる可能性がある。逆に言うと、責任感から解放されれば、ストレスからも解放される可能性がある。
そう、つまり「自分の代わりはいくらでもいる」というマインドは、「責任感がない」というネガティブな印象を与える一方で、自分に逃げ道を用意することでもあり、ストレスが軽減される効果があるということだ。
アベルソン博士は、「ペンタガストリン(※)」という体内にストレスを作り出す薬を使って、次のような実験をした。
この薬を治験者に点滴するのですが、あらかじめ「あなたの体はストレスを感じます。つらくなったり、吐き気がしてきたら、手元のボタンを押してください。そうすれば点滴が止まりますから」と伝えておきます。
すると、手元にボタンがあるときは、ストレスホルモン量があまり増えないというのです。
つまり、「ボタンを押せば、あなたはいつでもストレスから逃げられますよ」と教えてもらうだけで、実際にボタンを押さなくても、ストレスが減じるわけです。
逆に言えば、逃げ道がない状況というのは、本当に怖いストレスだといえます。
(引用:池谷裕二 脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?2010)
「逃げる」という言葉をポジティブに捉える人はあまりいない。「逃げ道を用意するなんて」と批判的なコメントを投げてくる人もいるだろう。
実際に「本気なら、逃げ道なんて用意しないよ」と言われたこともある。「背水の陣ということわざがあるでしょ」って。
でも、本当に逃げるかどうかは問題ではなく、あくまで「逃げ道を選択肢として持っている」ことが重要なのである。それに、実際に逃げたとしても、それが悪いことだと誰が言えるだろうか。逃げるとは、単に今とは別の選択をすることの言い換えにすぎない。
・・・・・・と、ここで新たな疑問が思い浮かぶ。
“そういえば、「責任感」ってありふれた言葉だけど、その有無・質量はどのように計っているんだっけ??”
そう、そもそも「逃げ道を用意しておくこと=責任感がない」ということ自体も、充分疑うことができる前提なのだ。これについては、また別の記事で書けたらと思っている。
☆★☆★☆
さて、明日からどんなマインドで仕事に取り組もうかな~!?
ではまた!
次も読んでね!
「AIでここまでできるの!?」その場で“魔法”を体感。
マーケティング業務の生産性を劇的に変えるAIツール「AUTOMAGIC」。
本セミナーでは、ツールの設計者でありコピーライターでもある梅田悟司氏が、開発の背景から具体的な使い方までを徹底解説。
リアルタイムのライブデモを交えて、“自分で・すぐに・プロ品質”のコンテンツを生み出すワザを体験できます。

こんな方におすすめ
・自社サービスの魅力をもっとラクに言語化したい
・企画・コピー・SEO記事を“今すぐ・自分で”作成したい
・社内でAIツールを導入したいが、現場の負荷が心配
・提案資料づくりに追われるマーケター・営業担当者
<2025年5月30日実施予定>
AUTOMAGIC使い方セミナー|トップコピーライターが教える“魔法のようなAI活用”の実践法
「商品情報を入れるだけ」で高品質コンテンツが次々と生成される—— そのプロセスを、開発者本人が実演・解説する特別セッションです。【セミナー内容】
1. AUTOMAGICとは?
・ツール開発の背景と目的
・構築されたプロンプトの思想
・なぜ“実用で使えるクオリティ”が可能なのか?
2. 入力から出力までの流れ
・入力情報の整理ポイント
・出力されるコンテンツの種類(キャッチコピー/SEO記事/企画提案 etc.)
3. ライブデモ:その場でコンテンツ作成
・実際の商品情報をもとにリアルタイムで生成AIが出力
・参加者からのリクエストにも対応
4. 質疑応答・個別相談タイム
・導入前の不安や活用方法について、その場でお答えします
【登壇者紹介】
梅田 悟司(うめだ・さとし)
コピーライター/ワークワンダース株式会社 取締役CPO(Chief Prompt Officer)/武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 教授
代表的な仕事に、
・ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」
・タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」
・TBS『日曜劇場』『VIVANT』のコミュニケーションディレクションなど。
著書『「言葉にできる」は武器になる。』はシリーズ累計35万部以上。
生成AI時代の「言葉の設計者」として、AUTOMAGICの開発にも参画し、プロンプト設計を担当。
日時:
2025/5/30(金) 14:00-15:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
こちらウェビナーお申込みページをご覧ください
(2025/5/22更新)
【著者プロフィール】
名前: きゅうり(矢野 友理)
2015年に東京大学を卒業後、不動産系ベンチャー企業に勤める。バイセクシュアルで性別問わず人を好きになる。
著書「数学嫌いの東大生が実践していた『読むだけ数学勉強法』」(マイナビ、2015)
Twitter:@Xkyuuri
ブログ:http://kyuuchan.hatenablog.com/「微男微女」
※ペンタガストリン:胃潰瘍の治療などに用いられるが、多量に注射すると、ストレスホルモンの量が増える。
脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫)
- 裕二, 池谷
- 新潮社
- 価格¥781(2025/05/30 10:22時点)
- 発売日2010/05/28
- 商品ランキング58,747位