会社において、意見の衝突は日常茶飯事である。あるいは、「衝突」までは発展しないまでも、意見の相違が無いことは殆ど無いだろう。
ただ、意見の衝突があった場合、「どちらが正しいことを言っているか」を判断することは難しい。もちろん、お互いに「自分のほうが正しい」と思って主張してるのだから、それぞれに一理あるのだ。
従って、理想的には「お互いに腹を割って話した上で、合意に達する」のが良いのだが、そうそう都合よく合意形成ができるとは限らない。
そんな時には、是非使って欲しい方法がある。これは、「意見の正しさ」をある程度客観的に判断できる方法なので、お互いが納得しやすい話し合いの方法だ。抽象的な話ではわかりにくいので、例を挙げよう
鈴木さんは、成績が良い部下の「五郎さん」を昇進させるべきだと考えている。
佐藤さんは、「五郎さん」の仕事ぶりは認めつつも、勤務態度が良くないことをあげ、昇進は見送るべきだと考えている。
通常、意見が出た所で複数の意見を比較検討する。比較検討の際には「費用対効果」を推定することがよく行われるが、ほとんどの施策は「やってみなければわからない」事が多い。特に人事においては、「費用対効果」を測定することは不可能に近い。「任せてみなければわからない」のである。
さて、この時点で会議は膠着している。どのようにこの状況を打開するべきだろうか?
ちょっと考えてみて欲しい・・・・・・・・。
もちろん、万能の方法はない。しかし、最も有効だと考えられるのが
「話の次数を上げる」
という行為だ。
話の次数を上げるとはどういうことか。次の2つのことを決めることである。
- この行為の目的は何か
- この行為が成功したとみなされる判断基準は何か
つまり上の事例で言えば、五郎さんを昇進させることは何が目的なのか、五郎さんをの昇進が成功であったとみなされるための基準は何かを話すことが、「話の次数を上げる」という行為だ。
鈴木さんは「昇進という行為」の目的は「業績向上」に繋がると考えている。判断基準は「目標の達成度合い」だろう。それに対して佐藤さんの昇進させる目的は「模範的人物を人の上に立たせる」という考え方であり、判断基準は「社内のモラル」である。
さらに、目的についての価値基準が異なるようであれば、更に「話の次数を上げる」事が必要だ。こうして、最終的には「会社の理念」や「会社の方針」と照らし合わせることになる。
このように、ある行為に対してその見解に相違がある時、大抵の場合は話の次数を上げる事によって出来るだけ客観的に話を進めることができる。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)