「目標を持たない人は、休めない。」

わたしは、先輩にそう教わった。一見逆説的だが、どういうことなのか。書いていく。

 

その先輩はお金にあまり興味を示さなかった。

彼はクルマも家も買わなかったし、服もいつもユニクロの無難な服ばかり着ていた。美食も女遊びにも興味はなく、欲らしい欲を示したことも殆ど無かった。

だが、そんな彼の唯一好きだったものが、釣りだった。彼は様々な場所に出かけて行き、釣りをのんびり楽しんでいた。時に、仕事をそそくさと切り上げ、夜釣りなどにもでかけていたようだ。

「釣りはいいよ」と、いつも彼は言っていた。

 

彼は残業も、休日出勤も、ほとんどしなかった。つまり、休息をきちんととっていた。

「釣りに行きたいから」と、言ってはいたが、わたしは、彼が仕事はあまり好きではない事を知っていた。彼は、仕事の時に楽しそうな表情をすることはほとんど無かったし、部下に対しても徹底して「無私」を貫いていたからだ。

彼は「まあ、仕事は仕事」とよく口にしていた。

必要なら話す、干渉もする、叱ったりすることもある。だが、彼はほとんど部下のプライベートに対して関心がなかったし、出世にも興味が無いようだった。

 

そんな趣味人的生活を送る彼だが、仕事は恐ろしくできる人だった。

正確に言えば、「できるように見えないのだが、実際には顧客の評価が高く、必ずやり遂げる」という人物だった。実際、彼と出会う人たちの中には、彼のようになりたいと

「どうしたら、プライベートと仕事の両立がうまくできるのですか?」

と聞きにくる人物が後を絶たなかった。

 

おそらく彼は最初のころ、丁重にお断りしていたのだろうと思う。「秘密主義だ」といった噂すらあった。

だが、ある時から彼は「せっかく聞きに来てくれるのに、不誠実だ」と感じたらしく、彼らの相談に親身にのるようになった。

だが、彼のアドバイスはいつも同じ、

「自分の中に、日々の目標を作りなさい」

というものだった。

 

「なぜですか?」と聴くと、彼はこう答えた。

「目標を持たない人は、休めないから」と、彼はいう。

「話が繋がらないんですが……。」

 

彼は言った。

「いいか、仕事ってのは、漫然とやったらかえって長引いてつらいんだよ。どこまでやったらいいかわからないからな。だから「皆が休んでないから」って、休まないんだよ。

逆に自分はここまでやったら勝てる、っていうラインを自分で引けるから、休めるんだ。

「目標があるから休める?」

「そう。考えてみれば、当たり前だ。「50件やったら休もう」っていう人は、うまく休める人。「皆が帰りだしたら帰ろう」って言う人は、休めない人。後者は要するに、自信がないんだな。」

「そんなにちがうもんですか?」

「ちがうね。」

「正直、俺は仕事が対して好きじゃない。でも、成果にはこだわっている。休みたいからな。」

「なるほど……。」

 

彼は、こうも言った。

「ついでに言うと、目標を立てると3つのものが手に入る。まずは決心する「勇気」、計画をたてる「知恵」、そしてそれを継続する「実行力」」

「……ちょっと説明が必要です……」

「つまり、目標にはにはリスクテイクする勇気が必要で、実行のための知恵が必要で、目標達成のために継続する努力が必要だろう?」

「はい。」

「漫然と仕事していて、それらを自分で獲得しようと思うか?自分は絶対面倒だからやらない。」

「確かに。」

「だから、自分で目標を作って、自分に強制するんだよ。目標のないやつは、目標のあるやつに絶対に勝てない。そういうことだ。」

 

彼の「自分に強制する」という発想は、その後、様々なシーンで気の進まないことをする時に非常に役に立った。

「休みを取る」のも、考え方一つなのだ。

 

【お知らせ】
Books&Apps及び20社以上のオウンドメディア運用支援で得られた知見をもとに、実際我々ティネクト(Books&Apps運営企業)が実行している全48タスクを公開します。

「成果を出す」オウンドメディア運営  5つのスキルと全48タスク
プレゼント。


これからオウンドメディアをはじめる企業さま、現在運用中の企業さま全てにお役に立つ資料です。ぜひご活用ください。

資料ダウンロードページはこちら↓
https://tinect.jp/ebook/5skills48tasks/
メールアドレス宛てに資料が自動送信されます。

ティネクトの事業・サービス詳細はこちら

 

Books&Appsでは広告主を募集しています。

安達裕哉Facebookアカウント (安達の最新記事をフォローできます)

・編集部がつぶやくBooks&AppsTwitterアカウント

・最新記事をチェックできるBooks&Appsフェイスブックページ

・ブログが本になりました。

The Old Adalie Plain