東京の六本木近くの麻布十番。ある男が比較的家賃の安い一軒家にすんでいた。
そこはAirbnbで世界中から多くのゲストが来ているらしい。
ほとんどのゲストは礼儀正しくて、何一つ文句を言わない。男はごくごく自然体でまるで友人を迎え入れるかのように旅人や時にはインターン生まで受け入れてるらしい。それを見たある不動産を生業とする者が、
「へーAirbnbって、そんなに簡単に人が来るんだ。そりゃさぞかし儲かってんじゃない?」 と尋ねた。
するとその男は
「まあ、家賃分くらいはね。」
と答えた。すると前述の不動産男が
「自宅だけじゃなくてさ、自宅とは別に賃貸を借りて、Airbnb使って旅人に貸し出せばいいんじゃないの?。そうしたらもっと儲かるよ。おしいなあ」
と言うと、
男は、家賃分が浮くだけの収入で十分さ、自宅にゲストを迎え入れるだけの簡単な仕事だし。
「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」
と不動産男が聞くと、男は、
「まず、自分が起きたい時間に起きるんだ。まあ大体早起きだけどね。それから仕事にとりかかる。昼過ぎには、麻布十番や六本木にランチを食べにいく、高級な店も多いんだけどランチは安いんだ。ランチが終わったらスタバに行ってコーヒー飲みながらちょっとお昼寝。そして、また仕事にとりかかる。夕方は、東京タワー周辺にランニングに行く。夜の東京タワーはいつ見ても綺麗さ。帰ってきたらお風呂に入って、簡単に夕飯を食べて、パワーが尽きて眠くなるまで仕事さ。これが僕の一日」。
すると不動産男はまじめな顔で男に向かってこう言った。
「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、
きみにアドバイスしよう。
いいかい、きみはもっともっと不労所得というものを学ぶべきだ。そんなに1日中働かなくてもお金を儲ける方法を知るべきだ。
まず、都内の良さそうな場所の賃貸物件を借りるんだ。そしてそれをすぐにAirbnbに登録して旅行者に貸し出すんだ。
今なら、家賃以上の収入が入ってくるのは確実だろ?
お金が貯まったら今度は大きなアパートをまるごと買う。そうすると収入はさらに上がり、儲けも増える。
その儲けでさらに物件を2件、3件と増やしていくんだ。
やがて、Airbnb代行業者や清掃業者をつくりそれらも経営していく。
そこまでやれば、もうそんなに物件を増やさなくても儲けは安定する。
その頃にはきみは、その麻布の安い一軒家を出て、高級タワーマンションへと住居がパワーアップしているだろう。
きみはタワーマンションで誰もが羨むセレブ生活をすることができるんだ」
男は尋ねた。
「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」
「十年、いやおそらく十五年でそこまでいくね」
「それからどうなるの」
「それから? そのときは本当にすごいことになるよ」
と不動産男はにんまりと笑い、
「今度は手持ちの物件や会社の株を売却して、きみは億万長者になるのさ」
「それで?」
「そうしたらもうすべて引退して、自宅でAirbnbを再開する。世界中の旅人を受け入れて交流を楽しみつつ、朝は起きたい時に起きて、自分の好きなことだけをする。昼はおいしいランチでも食べにいって、帰りはスタバでお昼寝。夕方には健康のためにランニングに行くのなんて素敵じゃないか。で、お風呂入ってさっぱりした後にご飯食べて、余裕があるなら、また自分の好きなことをするんだ。で、疲れたと思ったらそのまま寝ればいい。 どうだい。すばらしいだろう」
“「メキシコの漁師と旅行者」を「Airbnbホストと不動産男」に置き換えてみた Airbnb日記Vol.181” おわり
(Vol.182へつづく)過去のAirbnb日記一覧
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