スタートアップ企業は、とにかく資源が少ない。人もお金も時間も足りないので、必然的に「より短く、より賢く働くにはどうしたら良いか」を考えざるををえない。
そして、当たり前だが多くのスタートアップ企業の方々を見て、「より短く、より賢く働く」を実現している会社ほど成功する可能性は高いと感じる。
では、どうしたら彼らのように「より短く、より賢く」が可能になるのだろうか。
様々なスタートアップを観察すると、幾つかの共通の原則が浮かび上がる。なお、これらのマネジメントは、スタートアップ企業でなくても適用可能なはずである。
1.「時間」ではなく「成果」で給与が支払われていると考える
時間給ではなく、成果給という考え方に移行しなければ、「より短く、より賢く」は実現しない。時間給は早く仕事を終わらせてしまうと、給与が下がるからだ。
なお「成果が定義できない仕事」は、そもそも資源の少ない会社はやるべきではない。
2.同僚と仲良くするよりも「組織貢献」に重きをおく
ピーター・ドラッカーは、「コミュニケーション能力で良い人間関係が保てるわけではない、貢献に焦点を合わせることで、良い人間関係が保てる」と言った。
一緒に働く人間と仲良くする必要は全くない。一緒に成果を出すことが良い関係を築く条件だからだ。社内の人間関係に気を取られている人間は、要するに仕事をしていないのでヒマなのである。
3.努力は賞賛の対象である
いくら努力しても成果が出なければダメ、という人がいるが、それは謬見である。良い組織においては、ほぼ例外なく努力や熱意は賞賛の対象である。
だが、勘違いしてはいけないのが、長時間労働は努力ではなく、むしろ怠慢、あるいは能力不足という点だ。
一定の成果を上げるために投入した労力が少なければ少ないほど、いい仕事をしたといえるのだから、長時間労働は「知的怠慢」「低い能力」の発露である。
努力とは最小限の労力で最大の成果を上げるための試行錯誤のことである。
4.利益率の低い仕事をしない
利益率の低い仕事をしない、という決断こそ、「より短く、より賢く働く」ことの絶対的条件の1つだ。利益率の低い仕事には、能力の低い人しか集まらず、しかも長時間労働をしても見返りは少ない。
5.「ありがとう」「ごめんなさい」を言える人だけをあつめた文化
ありがとう、ごめんなさいをきちんと言える人だけを採用することが、「より短く、より賢く働く」ことの重要な条件である。
なぜなら、この2つのあいさつを支えるものは「謙虚さ」だからだ。謙虚さのない人間に賢さは宿らない。
6.こだわりよりデータを重視
個人個人のこだわりは数あれど、そんなことで議論することは時間の無駄であり、生産性を落とす。必要なのはこだわりではなく、客観性、合理性、そしてデータである。バイアスを極力少なくするほうが、良い意思決定ができるからだ。
精神論や、訳のわからないこだわりにかまっているヒマはない。「議論してもわからないから、とりあえずデータを取ろう」と言える会社が、「より短く、より賢く」働ける。
7.曖昧ではない、明確に定義された具体的な理念を持つ
「理念やビジョンがあるから会社がまとまる、なんて大嘘」というコンサルタントの話。にも書いたが、曖昧で大きすぎる理念は、何の役にも立たない。
・世の中の役に立つ
・イノベーションを起こす
・顧客満足を実現する
といった理念は、いずれもお題目以外の何者でもない。せいぜい経営者の自己満足と、銀行への資料に入れる程度だ。
自分たちの役割を明確に定義し、具体的に成し遂げるべきことがわかる理念が設定されていなければ、社員は「何をやり、何を捨てるか」がわからない。
合理的な会社は、精神論や思い込みで動く会社よりも遥かに強力、かつ安定した経営ができる。
見習いたいものである。
(2025/5/8更新)
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東京大学経済学部卒業後、ドイツ証券に入社し投資銀行業務に従事。
2020年に株式会社TOKIUMに参画し、当時新規事業だった請求書受領クラウド「TOKIUMインボイス」の立ち上げを担当。
2021年にはビジネス本部長、2022年より取締役に就任し、経費精算・請求書処理といったバックオフィスDX領域を牽引。
業務効率化・ペーパーレス化の分野で多くの企業の課題解決に携わってきた実績を持つ。
安達 裕哉 氏(ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO)
Deloitteで大手企業向けの業務改善コンサルティングに従事した後、監査法人トーマツにて中小企業向け支援部門を立ち上げ、
大阪・東京両支社で支社長を歴任。2013年にティネクト株式会社を設立し、ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年には生成AIに特化した新会社「ワークワンダース株式会社」を設立。生成AI導入支援・生成AI活用研修・AIメディア制作などを展開。
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