カルビーが、事実上「会社に来なくてもいい」という働き方に舵を切った。

在宅勤務、毎日でもOK カルビーが4月以降に新制度

カルビーは4月以降に、自宅など社外で勤務する「テレワーク」の上限日数(週2日)を撤廃する。制度上は毎日テレワークが可能になる。多様な働き方を認めることで、優秀な人材を確保するねらいだ。(朝日新聞)

一見すると、自由に働け、通勤ラッシュに巻き込まれることもなく、理想の働き方ができるように見える。

 

実際に肯定的意見も多いが、もちろんこれの裏は

「仕事の評価は、成果でのみ行いますよ」ということに他ならない。

上の記事中にもこうある。

対象はパートや工場勤務の人を除き、契約社員を含めた入社3年目以上の社員になる見通し。会社側が勤務時間をどう把握するかなど制度の詳細や実施時期は今後詰める。同社首脳は「会社が求めるのは成果。働き方改革をしないと会社はよくならない」と話す。

これによって何が起きるか、おそらくきちんと理解してない人が多いのではないかと思う。

 

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昔訪れた、あるwebサービスを営む会社は、「会社に来なくても良く、仕事はどこでやっても良い」という制度を採用した。

当時としては先進的な試みだったが、導入の理由はもちろん「管理されたくない」という社員と、「成果を追求する」という経営者の方針が一致したためだ。

 

導入に関しては、ほとんど全員が賛成したが、制度を導入するにあたり、この会社は人事評価の基準を大きく改めた。

 

具体的には、リモートワーク導入前は評価の軸が以下の3つだった。

・業務に求められる能力をどの程度保持しているか

・良い勤務態度か、意欲はあるか

・成果を出したか

 

リモートワーク導入後は、評価の軸は以下の2つとなった。

・仕事の締め切りを守ったかどうか

・挑戦し、かつ結果を出したか

 

つまり、「意欲」や「能力」は評価の対象から外します、成果だけで見ますよ、という宣言が為されたと言っても良い。

 

さて、この制度を精緻に運用した結果、この会社はどうなったか。

結論としては、予想通り(というか狙い通り)30代後半から40代にかけての「実力のない社員」のかなりが、給与の大幅減を経験した。

逆に20代後半から、30代半ばの「本当に仕事をしていた層」の給与が大幅にアップした。

つまり、社内は「2極化」したのである。

 

そして、その後「給与減」された、社員の半分は、会社を辞めた。

彼らは口々に言った。

「仕事の過程も見てくれ」

「長期的な成果の仕事ができない」

 

しかし、経営陣は「自由に働くということは、過程は個人の裁量の問題だし、管理できない」といい、「長期的な成果の仕事についても、マイルストーンを置いて評価すれば問題はない」と突っぱねた。

 

そして経営陣は発見した。

「リモートワークにしても、会社の業績は落ちないどころか、利益が大幅に増える。会社はもっと少ない人数で十分回る」と。

 

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「残業させない」という方針に切り替える会社も、上の会社と本質的には同じだ。

つまり「労働時間は短くしてね。残業はしないでね。」というメッセージは、

「短い時間で成果をあげる人になれ」

といっている。

 

逆に言えば、面接において「残業できるか」「長時間労働できるか」と聞いている会社は「時間給志向」の会社である。

炎上必至の面接質問「残業できる?」に今、学生はこう切り返す

「残業や休日出勤ができるか?」

採用面接で学生にこう聞いている企業が36.6%に上ることが労働組合の連合の調査でわかった。また「転勤ができるか?」を聞いている企業も43.9%もあった。(プレジデント・オンライン)

彼らの会社では「長時間働くこと=成果」だ。

それはある意味、「労働者」にとっては安心できる、生活の保証された世界ではある。

 

少し前、キヤノンITソリューションズの発表した「在宅勤務をカメラで監視するシステム」が話題になった。

在宅勤務をカメラ監視…テレワークのあり方に疑問の声

システムでは、顔認証技術によりカメラ映像から本人の在席・離席を自動判別し、勤務状況を検出・記録可能。また、「なりすまし」や「覗き込み」を自動検出し、勤務管理者へ通報するとともに、画面をブラックアウトさせて情報流出を阻止。(中略)

すでに数社が先行導入しているというが、日経が報じるとネット上で議論が勃発。 Twitterでは

「一定時間在席していると価値を生む勤務者ということなの?」

在宅勤務で時間給って意味がわからん、成果物で評価しろよ…」

「うーん。仕事の価値が成果物ではなく時間という考え方が強そうだねぇ。在宅勤務に対しても時間にこだわる理由はやっぱり給料の支払いが時間だからなんだろうけどねぇ。どうなんだろ」

「在宅勤務者を監視する必要なんてあるのかな。『在宅勤務時間に何をしててもいいけど想定する勤務時間内で終わるだけの仕事はきちんとこなしてね』という条件にすればいいだけだよね。」

「バカじゃねーの。『きちんと仕事をしているか確認ができない』って完全に管理する側の責任で、『成果を定義できていない』のと同義なんだが。」

などの声が挙がった。(R25編集部)

こういったシステムを導入するのは、「時間給」の会社だろうから、監視下で長時間働けば、それなりの報酬が手にできるということだ。

 

しかし、上の記事での指摘の通り、「結果しか見ない」会社においては、こう言った監視は必要ない。

「結果しか見ません」

で後は自由にさせればよい。

 

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つまり今後、世の中には2つの働き方がある。

「自由裁量、成果報酬」か、

「監視つき、時間給」かだ。

 

今後の企業が欲しがるのは、前者に対応できる人材だ。

ということは、「自由裁量で成果を出せる人」の市場価値は上がり、そうでない人の価値は下がる。

 

「会社に来なくても良く、仕事はどこでやっても良い」と、成功する人と落ちぶれる人がはっきり別れる。

今、そう言う世界に、我々は生きている。

 

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システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、 メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。

岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。


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(2026/01/19更新)

 

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