最近、立て続けに

「取引先からフルコミットしてくれと言われて困っている」

というフリーランス、個人事業主たちにお会いしてる。できる人たちであればあるほど、このような要求は多いらしい。

「フルコミット」という言葉にあまり馴染みのない方もいると思うが、要は、「ウチ以外の仕事はしないでくれ」という要求と思っていいだろう。

つまり「囲い込み」だ。

 

聞けば、

100%、うちの仕事をしてくれ

他の会社の仕事は断ってくれ

週5日、常駐してくれ

そのようにフリーランスに要求する会社は、結構たくさんあるようだ。

 

もちろん、仕事が安定するので、それを歓迎するフリーランスもいるようなのだが、そう言われた方たちの多くは口をそろえて「嫌な気持ちになった」と言う。

 

フリーランスがフルコミットや常駐の要求を嫌うのは、考えてみれば当たり前だ。

彼らからよくお聞きする理由は、大きく3つある。

 

1.取引先の「支配」に嫌気がさす。

一つの会社に収入を依存することは、非常にリスクが高い。その取引先の言うことに無条件に従わざるを得ない場面も増えるだろう。それが嫌である。

 

2.他の仕事ができないことによるスキル獲得、人脈のデメリットが大きい

取引先が固定されると、獲得できるスキルの幅や、人脈の広がりが小さくなる。フリーランスにとっては死活問題だ。

 

3.時間、空間を拘束しないと成果が出せない、という古臭い考え方である

「なぜ、場所と時間を拘束しないと成果が出せないと思うのか不思議です」と、フリーランスの方々は言う。

指示はメッセンジャーや電話でも出せる。本当に対面でなければできないことは、仕事の中で僅かだ。

 

要するに、「フルコミットしてくれ」との要求は、フリーランス側の都合を全く考えていない。

雇う側の論理が強すぎるため、嫌われているのである。極端な話、「足元を見られている」と彼らは感じているのだ。

 

ただ、これらの話は何も「フリーランス」だけに適用される話ではない、とも感じる。

先ほどの1.〜3.の話の「取引先」を「会社」に。「フリーランス」を「社員」に変えても、ほとんど意味は通じる。

 

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これらの話は、「働き方」に関する本質的な示唆を含んでいる。

つまり、「一つの会社に、時間を独占されたくない」と考える人と、「時間を独占したい」という企業との価値観の衝突だ。

 

冷静に考えれば、働く側としては、時間を独占されることのメリットは極めて低い。せいぜい「安定した僅かな収入」が得られる、ということのみがメリットだろう。

だがこれですら徐々に「お金によって支配されている」という感覚が芽生えてくるし、企業の都合によって、いつ手のひらを返されてもおかしくない。

 

働く側としては、できるだけ一社に依存せず、多様な仕事の口を確保することが、収入源としてもスキルアップの手段としても重要なのだ。

だから「能力の高い人々」、特にフリーランスでやっていけると自信をを持てるようなハイパフォーマンスな人々は、ますます「一社依存」を嫌うようになる。

 

したがって、これからの人材獲得競争においては「高い自由度」をウリにする会社が数多く出てきてもおかしくない。すでにリクルートなどは、複業全面解禁、在宅勤務OKなど、高い自由度を標榜している

 

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こう言った話は、企業側が損をするばかりにも聞こえるが、実はそんなことはない。一方で、「ヒトの時間を独占しない」事による企業側のメリットもある。

それは、そのヒトを通じて外部のネットワークや知識にアクセスできることだ。

 

例えば、週の何日かを他のいくつかの企業で働いてもらうことで、全く別のネットワークへのインターフェースを持つことができる。

私が知っているだけでも、あるヒトを通じてwebマーケティング会社と官公庁がつながったり、製薬会社とエンジニアリング企業がつながったりもしている。

 

知識を取り扱う会社は、外部との接点が多ければ多いほど、イノベーションの機会を多く持てる。

「フリーランスや社員の時間を独占したい」という会社は知識の本質を全く理解していない。むしろ、知識を取り扱う会社は、彼らの時間を独占してはいけないのである。

 

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(Victoria Nevland