前回は「師匠を探そう」と書いたが、今回はその続きだ。
優れた人には、「この人に弟子入りしたい」という人は非常に多い。だから、弟子として「教えてもらえる」ということは非常に幸福なことであり、「弟子入り」することは、最初の難関だ。
弟子入りのエピソードは、世の中に数多く有る。
「伊能忠敬」という人物がいる。彼は、17年間日本中を徒歩で測量してまわり、極めて正確な日本地図を作成したことで知られる人物であるが、彼は56歳という遅い時期、当時では、かなりの老人とみなされていた時期からこの大事業を開始した。
この事業のためには天文学の知識が必要だったが、なんと年下の専門家に「弟子入り」したのだ。
”忠敬は、この当時の天文学の第一人者、高橋至時(よしとき)の門下生となった。
第一人者とはいえ、高橋至時はまだ32歳。一方、弟子入りを申し込んだ忠敬は51歳。忠敬は家業を通して、長年人を使う立場にあった男。しかも時代は儒教精神から年上は常に敬われ、メンツを何より重んじる封建社会だ。
普通の男なら、20歳も年下の若造に頭を下げて弟子入りを請うことに抵抗があるだろう。しかし忠敬は違った。燃え盛る向学心の前では、そんなプライドなど取るに足らないことだったんだ!
当初、至時は忠敬の入門を“年寄りの道楽”だと思っていた。しかし、昼夜を問わず猛勉強している忠敬の姿を見て、彼を“推歩先生”(すいほ=星の動き測ること)と呼ぶようになった。”
熱意は、師匠に「こいつには教えたい」と思わせる。
一方、漫画の「ドラゴンボール」の弟子入りも面白い。
主人公の孫悟空は、亀仙人に師事をしたが、きっかけは「父親のコネ」と、「キラリと光る才能」である。ただ、これは単に主人公の孫悟空の運がいいだけで、あまり一般人の参考にはならない。
しかし、兄弟弟子である「クリリン」の方が遥かに弟子入りのエピソードとしては勉強になる。
亀仙人がスケベである事を見ぬいたクリリンは、めったに弟子を取らないということで有名な亀仙人に「エロ本」を差し出し、弟子入りのきっかけを掴んだ。単純であるが、「師匠に使えるやつだ」と思ってもらうことは、チャンスを掴むことに繋がる。
「熱意」「コネ」「ご奉仕」などの精神論は要らない、という方もいる。一つの見方としては正しい。
しかし、「良い師匠を見つける」にはそうでもないようだ。
仕事で成果を出すには、成長が必要だ。成長するためには、良い師匠が必要だとすれば、仕事は「熱意」「コネ」「ボスへのご奉仕」が必須といえなくもない。
引用:伊能忠敬の生涯(http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/tadataka.html)
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