先日、とあるインタビューを受けた時に

「働く時、重要だと思っていることはなんですか?」

という質問をされた。

「何故そんなことを聞くんですか?」と思わず聞き返すと、

インタビューアーの方は「環境とか、仲間とか、やりたいことかとか、価値観を知りたいので……」と仰った。

 

なるほど。

だが、個人的にはこの質問に対する回答は1つしかない。その回答とは「働く時に重要なのは、成果をあげること」だ。

我々が職を得ているのは成果を出すためであり、会社という組織が社会において存在を許されているのはすべて、成果をあげることに成功しているから、というだけの話である。

成果が出なければ我々は仕事を失い、会社は潰れる。

 

ではどうすれば求められる成果をうまく、コンスタントに生み出せるのだろうか。

 

こんな話がある。

私の知るあるエンジニアはどうしても朝起きられず遅刻を繰り返し、共同作業においては、思うように成果をあげることができなかった。

そこで彼は会社を辞め、フリーランスのエンジニアとなった。これなら時間に縛られず、マイペースで仕事ができる。

彼の得意な「開発」に全ての力を集中することで、結果的に彼は成功した。

 

どうしてもルートセールスが苦手だったある機械設備の営業マンは、「御用聞き」という会社の方針がどうしても嫌だった。

彼はプライドが高く、そのような環境には我慢がならなかった。

そこで彼は転職し、次の会社では「新規開拓」にひたすら集中した。彼は初対面の客と話すほうが気楽で好きだったし、気に入らない客はすぐに切って、別の客を開拓すればいい、と思っていたからだ。

もちろん彼は転職してすぐに成功した。

 

成果をあげる上で重要なのは、自分のやり方や考え方がうまくハマるかどうか、言い換えれば、強みが生かされるかどうかである。

実際、ピーター・ドラッカーは「何事かを成し得るのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない」と述べる。

結局のところ、自らの強みを知り、強みが活かされる仕事のやり方をすること。これ以外に成果をあげる方法はない。

 

 

したがって当然、「一体、自分の強みとはなんだろうか。強みを知るためには何をすべきだろうか。」と疑問が浮かぶだろう。

だが、一般的に「あなたの強みは?」と聞かれて、的確な答えを出せる人は少ない。自分の強みはわかってるよ、という人ですら、大体自己評価と他者評価の結果がずれている事がほとんどだ。

ドラッカーは次のように述べた。

誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思っている。だが、大抵は間違っている。わかっているのはせいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。

 

かつての部下に「お客さんとの商談が得意なので、どんどん任せてください」という方がいた。ただ、実際に商談をやらせてみると、お客さんとの話は弾むのだがそれらはほとんど受注につながることはなかった。

彼は性格的に「押すこと」が出来ず、最後に「社長、一緒にやりましょう!」ということができなかったのだ。

逆にその部下は「セミナーの講師は苦手なんです……」と言っていた。ところがやらせてみると、彼は立派に講師をつとめ、管理職向けの難しい研修も難なくこなした。彼は「押し」が不要なセミナーのほうが、遥かに強みを活かすことができた。

 

 

結局のところ、自分の強みは、5年、10年と働いた後にようやくうっすらわかる、という程度のものである。

「頼まれた仕事を断らない」という戦略をとることをすすめるベテランが多いのは、この経験則に基づいている。

 

上述したドラッカーは、強みを知るために「フィードバック分析」を勧める。

何かをすることに決めたならば、何を期待するかを直ちに書き留めておく。九カ月後、一年後に、その期待と実際の結果を照合する。私自身、これを五〇年続けている。そのたびに驚かされている。これを行うならば、誰もが同じように驚かされる。

こうして2,3年のうちに、自らの強みが明らかになる。自らについて知りうることのうち、この強みこそがもっとも重要である。

自分の強みを知り、そして成果を上げること。これが仕事に必須の考え方である。

 

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多くの転職サービスには「自分の強みを診断しましょう」と言ったサービスがある。

実際にリクルートの提供するグッドポイント診断をやってみると、

・自分はチームプレイと、一人で仕事するのとどちらが向いていますか?

・自分は論理的な方ですか?それとも感情的な方ですか?

といった質問に100問程度回答し、下のような形で結果が表示される。

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診断結果を見ると「強み」とも言えるが、むしろ「自分はこうありたい」「自分は自分をこう見ている」という願望や自意識に近いといえる。これは、ドラッカーのいう、「何を期待するか」に近い概念だ。

少し前に「ストレングスファインダー」という自己分析ツールが流行ったが、そう言ったサービスに興味がある人であれば、一度自分の願望を把握してみるのも良いのかもしれない。

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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)

 

 

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Dino Latoga

 

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