道でレモネードを販売している。次の3種類の看板のうち、どの看板がもっとも売上に貢献したでしょう?
- 「ちょっと一息、C&Dのレモネードをどうぞ」
- 「お買い得でーす! C&Dのレモネードをどうぞ」
- 「C&Dのレモネードをどうぞ」
合計391人の通りすがりの被験者がおり、そのうちレモネードを買った人の年齢は14歳から50歳までの間。職業や性別は様々でした。代金は1ドルから3ドルまでの間で客が自由に決めて払うようにしました。
客には、レモネードをのんだあとで、アンケートに答えてもらいました。
レモネードを買った人が最も多かったのは、
「ちょっと一息、C&Dのレモネードをどうぞ」という看板を出した時でした。この看板は、「快適な時間」をアピールする看板です。(14%の人が立ち寄りました)
そして、2番めは
「C&Dのレモネードをどうぞ」というバージョン。
そして、最下位は
「お買い得でーす! C&Dのレモネードをどうぞ」という看板でした。これは、「お金」をアピールするものです。(7%の人が立ち寄りました)
結果的に「快適な時間」をアピールした看板は、2倍の人を集め、払った金額もお金重視の看板に比べ2ドル50セント、と1ドル38セントと倍以上でした。
さらには、「お金」のメッセージを入れると、何もメッセージを入れていない時に比べても売上、平均単価とも落ちるという事実でした。
これは、スタンフォード大のキャシー・モギルナーとジェニファー・アーカーが実験によって明らかにした傾向です。
かれらは、「時間」に関するメッセージを見た時のほうがより「親近感がわく」ので、購買意欲が高まると仮説を立て、レモネードのみならず、iPod、ノートパソコン、ジーンズ、自動車などでも実験をしました。
その結果、仮説は立証され、殆どの場合メッセージの内容が「時間」のほうが「お金」よりも親近感がわき、購買意欲も単価も上がるということが判明しました。つまり、「時間」に関するメッセージによって、その製品に関する購入者の体験が浮き彫りにされ、それを思い浮かべることで親近感がわく、というしくみです。
ただ、ごく少数の人は「時間」より「お金」に関するメッセージのほうが効果的な場合があります。「名声」や「財産」に高い興味を持つ顧客です。
牛丼や、コーヒ、うどんやそば、ファーストフードなど低価格路線で競争する外食業界を始めとして、様々なサービスにおいて、買い手も売り手も満足のいく取引をするには、「できるだけお金の話をしないこと」と、「体験や経験、過ごす時間の話をすること」が重要なのです。
我々は、「餌」を食べたいわけではなく、「消費させられたい」わけでもないのですから。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)