新卒採用も終盤戦だ。12月から始まった新卒採用は、6月末には7割の人が内定持ちとなる。
リクルートの担当者によれば「今年はもっと内定率が高いかも知れない」とのことだった。仮に6月に8割程度の人に内定が出ているとすれば、確かに「就職活動はそろそろ終わり」と言ってもいいかもしれない。
さて、その就職活動に関して、少し前にある学生が知り合いの就職カウンセラーに相談していた。
そして、その内容が少し気になった。
なぜならば、表現は異なるが端的に言えば
「私はいままで大したことはしてこなかった。学歴も普通だ。けれど良い企業に入りたい。面接官を騙すことは可能か」
という内容だったからだ。
カウンセラーが、「なぜ騙す必要があるのか」と聞くと、その学生は「良い企業には私よりも学歴の良い、実績のある学生がたくさん応募してくる。そういった学生に勝つためには、多少なりとも話を盛る必要があると思う」と言った。
確かにこの議論は昔からある。
平積みになっている「就職マニュアル本」や、「就職活動支援」を謳う怪しげなセミナーなどは、「今の自分を盛る方法」を教えてくれるものも多い。しかし、企業はこの手の学生を嫌う。多くの採用担当者は「学生にだまされないよう」に、そういったマニュアル本などを事細かに研究している。
当たり前なのだが、企業が欲しいのは「ほんとうに良い学生」だからだ。
実際、採用側と学生のズレが問題になっている。
なぜ体育会系の学生は就職にまったく困らないのか 彼らに学ぶ「内定がもらえる人の共通点」(ダイヤモンド・オンライン)
“今”を見せたがる学生と、“今まで”を知りたがる企業
学生は企業側に対して、“今の自分”を見てほしいとアピールしようとするが、企業側はその学生の本質を見抜こうとしているので、その人が育ってきたプロセスの“今まで”を探ろうとしているのである。
“今”を演じる学生と、“今まで”を探る採用側――。
このように、需要と供給で求めているものに大きなズレが起きているために、学生は就活に苦戦するのである。
採用担当者が知りたいのは、「どんな人物なのか」であって、表面的な受け答えの巧拙であったり、1つ2つの美談ではない。1時間程度の面接ではあるが、面接官は「その人の人生」を知ろうと努力する。
もっと言えば、原則として就職活動には「一発逆転」が起きないようにしたいと面接官は思っている。
カウンセラーは相談してきた学生に言った。「騙せなくはないが、騙すのは大変だ」学生は「大変でもやります」といった。そこで彼は「面接官が陥りがちな罠がある。」と言い、実際にある会社で起きたことを話した。
「面接官は基本的に騙せない。1人騙したとしても、2次面接、3次面接と進むにつれ、いずれバレる。でも、面接官も人間だ。目が曇るときもある。」
彼は面接官をやっていた時の記憶を確認しながら学生に言った。
「面接官が最も不安に思っているのは、何だと思う?」
「…なんでしょうか…わかりません」
「実は、どの会社の人も、同じことを言ってるけど、「どんな質問をしたら良いかわからない」なんだ。実際、「面接のプロ」なんて居ないからね。だから、面接官も質問をする時は基本的に緊張している。」
「はい。でもそれがどうして「目が曇る」なんですか?」
「例えば、面接官が「あなたが人に負けないと自信のある事は何ですか?」と聞いてきた時、どうやって答える?」
「…積極性、とかアルバイト経験って答えてしまいそうです」
「それは面接官の思うつぼだ。もっと具体的には?といくらでも聞けるからね。」
「…じゃあ、どうしたら良いんですか?」
「面接官が一番困るのは、その質問自体の妥当性を聞かれることだ。例えば、普通に考えて「人に負けないこと」なんてほとんど思い浮かばないだろう?」
「そうですね。そういうものがある人は少ないですよね」
「そう。だから、その質問に対して、「人に負けないこと」というと、どのくらいのレベルを指しますか?と聞かれるのが一番困る。世界一なんて普通の人は持っていないし、聞く方も緊張しているから、質問自体に厳密な意味を持たせてはいない。」
「なるほど」
「質問に対して突っ込まれると、「学生の資質を見る」よりも、「どんな質問をしたらいいか」で、頭がいっぱいになってしまう。私だってそうだ。しかも、「こんな質問をしてくる学生は、頭が良さそうだ」という、勘違いまでしてしまう。」
「…」
「逆に、それで焦らない面接官は騙せない。人を見る力量があるからね。」
「でも、そんなとっさに質問のあら探しなんて、出来ないですよ」
「そう、だから騙すのは大変だ。騙そうなんて考えず、ストレートに本音をぶつけたほうが絶対にうまくいく」
結局オチは、「騙せない」だった。
(2026/10/26更新)
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