最近ネット生保の伸びが止まったとの記事が目につく。(画像:もぶ太の部屋 http://hokensc.jp/blog/netseihokakaku/)
”ライフネットが直面しているのが新契約件数の低迷だ。13年3月期は創業以来初めて前の期を下回り、13年4~6月期も1万4279件と前年同期を14%割り込んだ。新興企業ゆえに保有契約件数は着実に積み上がっているが、伸びは鈍化している。
年間約2300件強にとどまる保険金・給付金支払いはこれから本格的に増えていく見通し。事務管理も含め負担の増加が見込まれるだけに、投資家も同社の成長性を慎重にみている。決算発表後の週明けの株価は続落し、13日には1月4日に付けた年初来安値(738円)に面合わせする場面があった。”
(ライフネット、生保業界の風雲児が狙う第2の創業 日本経済新聞)
さらに、ネット生保第二位のアクサ生命は、朝日新聞によれば「脱ネット」を志向しているとのこと。
”アクサダイレクト生命・斎藤英明社長は同記事の中で、ネットを中心に他のチャンネルを検討する方針を表明。朝日以外の複数の新聞のインタビューでは「収益を確保するには(現状の)3~4倍の規模が必要」と想定外の苦戦を吐露する。”
(ネット生保、曲がり角は本当か?高い成長期待、新規参入続々、危機感募らす大手既存生保 ITmedia)
ネット生保は、生命保険業界の構造を変える、とまで言われていた数年前のことを思えば、意外だと思う。
だが、ネットや新聞の記事だけを見ていては実態はわからなかったが、最近自分自身が生命保険を見なおした時に理由がわかった。その理由は下に紹介する記事が的を射ている。
”多くの人が「ネット生保=最安値」だと信じているのではないでしょうか。実は、もぶ太もそうでした。安そうなイメージあるもん。人件費やらペーパーやら、通常の販売ルートにかかるコストを大幅にカットしているのだから、安くならないはずがないと思い込んでいたんですよね。ところが実際に比較してみるとそうでないことが判明。”
(ネット生保の伸び、なぜ止まった?消費者目線で気づいた価格の実態 もぶ太の部屋)
そう、実はネット生保はそんなに安くない。全く同じ条件で各社を比較すると、代理店を持って販売している他社とそう変わらない事もあった。
そうなると完全に「勧めてくれた人」であるとか、「書類を書くときの手間」といったことが重要な意味を帯びてくる。
さらに、生命保険に入る人の本音言えば、「生命保険なんて、本来ならば入りたくはない。家族のためにしぶしぶ入るものだ」と思っている人には、強烈なプッシュが必要なのだ。人によっては健康診断を受けなければいけないし、書類が多すぎて記入が面倒くさい・・・。
そんな時に、「保険のおばちゃん」が後押ししてくれないと、途中で挫折しそうになる。
1人の消費者として、現状の「ネット生保」には、そこまで強く惹かれなかったのだ。
実体験として、以前に在籍していた会社は、「低価格」を武器に様々な企業にサービスを導入することに成功したが、ネット生保と同じく「低価格」だけでは、あっという間に顧客数は伸びなくなった。
物珍しさから「低価格」は合理的に考えるアーリーアダプターによく売れる。しかし、新しいものにも果敢に挑戦する「上澄みの優良顧客」を取り切ってしまった後には、次の成長を担う「低価格」ではない特長が必要となる。
ネット生保はその壁を打ち破ることができるのだろうか。今後注目である。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)