a1820_000013「欲しいものある?」と聞かれた時、皆様はなにか明確なものがあるだろうか?多い回答は「家」とか、「自動車」、「カバン」や「服」という人も多い。もうちょっと即物的な人は「お金」、忙しい人だと「時間」なんていうちょっと気取った回答もある。でも、大抵の人は「特に欲しい物なんかない」と言う。

「無欲」という状態はむかしむかしのエライ人の話だと、「良いこと」とされる。こぶとりじいさんも、花咲かじいさんも、「無欲」だったからこそ、幸せなオチが待っていたのだ。「欲しい物なんかないよ」という人は、昔々の価値観だと立派な人だ。

 

 

でも、今の世の中を見ると、「無欲」はむしろ悪者に仕立てられたりすることがある。

「別に家なんかほしくないよ」

「車なんかほしくないよ」

と言うと「お前はやる気が無いのか」であるとか、「一人前ではない」と批判されたりする。試しに「若者 離れ」で検索してみるといい。あるいは、こんな記事もある。

消費しない20代が日本を滅ぼす!? (ダイヤモンド・オンライン)

 

 

Wikipediaで「若者の車離れ」の項を見てみると、これは先進国では世界共通の現象だ。

”バブル景気崩壊以降の日本国内における自動車販売台数が落ち込みつつある中、1990年代後半辺りから若年層の人気はスポーツカーやクーペから、SUVやミニバン、軽自動車へと変化し、各自動車メーカーは同調してこれらの車種に力を注ぎ、売り上げを確保していった。しかし、2000年代前半辺りから時代の流れで車を持たない若者が増加し、各自動車メーカーは経営戦略上、非常に難しい局面に立たされることになった”

”日本以上の市場規模を誇る自動車大国アメリカにおいても、新車購入者における18歳から34歳の年齢層の割合が過去5年間で30%落ち込むなど、若年層の車離れが報じられている。要因として日本同様、不況の影響のほかに、カーシェアリングなどの普及で高い保険料を払ってまでの自家用車保有の意義が薄れたことに加え、インターネット(SNS)の普及で車で外出しなくても他者との交流・コミュニケーションが可能となったことも若者の意識の変化に影響を与えていると言われる”

 

 

一般的な分析は、「不況の影響」であるとか、「若者にカネがないから」といわれる。しかし、そのように分析する人はおそらく全然わかっていない。多分、若者はもっと賢い。

若者は、すでに知っている。「お金をたくさん稼いでも、物をたくさん買っても、幸せとは関係がない」ということを。

年収3000万と、年収500万と、どこまで生活レベルが違うか?おそらく、ちょっといい家に住んで、ちょっといい服を着て、ちょっと豪華なディナーを食べることができて、高級車を乗り回せる程度、という程度の違いしかない。

 

彼らは、「能力」や、「評価」、「承認」は重要視するが、「金」はあまり重要だと考えない。「モノ」も重要だと考えない。年収1000万でフツーのサラリーマンをやるよりも、年収500万であっても発展途上国で貧しい人々のために献身的な努力をしている「ボランティア」を評価する。

もちろんそういった人が全員ではない。相変わらず車を自慢する人も多い。しかし、異なった価値観の人は確実に増えている。

 

 

だからこそ、企業におけるマネジメントは確実に難しくなっている。

最低限、困らないくらいのお金があれば、車を買って友人にうらやましがられるよりも、Facebookで友人から「いいね!」をもらうほうが価値があると考える人は確実に増えており、そういった人々を「報酬」により、コントロールするのは難しい。報酬ではなく、友達から「いいね!」といって貰える仕事がしたいのだ。

これは喜ぶべきことだ。「日本が本当に豊かになった」ということの証明なのだから。

 

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3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


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(2025/6/2更新)