すいません、ちょっとものすっごい細かい話をしてもいいでしょうか。
しんざき、37歳。長男は9歳で小学4年。長女と次女は5歳の双子です。先日は父の日でウイスキーをプレゼントしてもらいました。大変美味しいです。
先日、長男の小学校の学校公開に行きました。学校公開というか、まあ平たく言うと授業参観なんですが、保護者だけでなく近所の人なんかも参観出来るので「学校公開」と呼んでいるみたいです。いわゆるオープンキャンパスですよね。
昔はあまり聞かなかった言葉だと思うんですが、最近はこういうやり方が多いんですかね?
長男は小4で、3年生からはそのままクラスが持ち上がりになっています。3年からの担任の先生のことをすごく気に入っているみたいで、「先生の授業面白いよ!」としょっちゅう話していたので、ああ相性のいい先生に当たれたみたいだな、良かったなーと思ってはいたんです。
で、先日その先生の授業を見て、えらい感心したやり方が一点ありました。もしかすると最近はよくあるやり方なのかも知れないですが、少なくとも私は初めて見まして、余りにも感心したので書きたくなりました。
一言でいうと、「質問に答えられなかった生徒に対して、周囲の生徒にアドバイスさせる」というやり方です。
どういうことかというと。
先生が、授業中に質問をします。普通に「分かるひとー」とだけやっちゃうと、手を上げる子が固定してしまうからなのか、ちょくちょく変則的な当て方をします。「じゃあ、今答えた〇〇の後ろに順番で当ててくぞー」みたいな。
で、当然のことながら、とっさに質問に答えられない子も出てきますよね。あーとかえーーと、とか言いながらしばらく黙っちゃうような子。
普通の先生なら多分、分からないことを責めないまでも、「あ、分かんないか?じゃあ他にわかるひとー」と言って、すぐに次に行っちゃうと思うんですよ。少なくとも、私が子どもの頃の先生はみんな、例外なくそうでした。
ところが、その担任の先生の場合、当てられた子が困っているのを見ると、こういうんです。
「じゃ、〇〇にアドバイス出来るひといるかー?」って。
で、はい!って答えた子は、決してその子本人が答えたりはしないんですね。わざわざ席を立って、分からなかった子のところまで行って、ひそひそ声で答えを教えてあげるんです。
で、最終的には、最初当てられた子が答える。で、先生は「その通り!××(教えてあげた子)もよく教えられたなー」といって両方褒める。
「え、そんなこと?」と思われるかも知れないですが、私、このやり方凄いと思ったんですよ。
ちょっと考えただけでも、
・最終的に答えるのは最初に当てられた子なので、答えられなかった子の自尊心が傷つけられにくい
・教えた方は単純に「教えてあげられた!」ということで自尊心が満足する
・分からないことを生徒同士で教え合う、という習慣づけになる
・問題によっては、教え方を考えることで問題への理解が深まる
・生徒同士のコミュニケーションにもなる
これくらいのメリットはあるなーと。
後から長男に聞いてみたところ、恐らく背景というか下準備として、「人の考えをちゃんと聞いて、考えて、受け入れられるというのは大事なこと」だということを、普段からその先生は言っているようなんです。
だから、この時教えられた子の方は、決して「ただ分からなくて、教えられただけの子」ではなく、「ちゃんと人の話を聞いて、その答えを受け入れることが出来た子」ということになる訳なんです。
フォローする立て付けが最初からできている。だから、そこでちゃんと先生に褒められれば「当てられたけど答えられなかった」という形で自尊心が傷つくことは少ない。
本来、「当てられたけど答えられなかった」って凄い悔しいんですよね。
あまりよろしくない先生だと、答えられないことを責めて、子どもの自尊心に重大な傷を残してしまったりする。けれどこういうやり方なら、「答えられない」が子どもを傷つけにくいし、ばんばんランダムに当てることが出来る。
多分これ、担任の先生の工夫のほんの一部だと思うんですよ。多分色んな細やかな配慮があって、結果としてその先生が生徒たちに慕われて、クラスの運営も上手くいく。
長男が担任の先生を好きなのは、本人が自覚しているかどうかはともかく、そういう理由もあるんじゃないかなーと思ったんですよね。
この辺、子どもの自尊心や自己肯定感に対する細やかな心遣いというのは、多いに感心しますし、見習って取り入れられるところは取り入れたいなーと考えた次第なのです。
それ以外にもこの先生が凄いと思うところは色々あって。
例えば、クラスがざわざわしている時、単に「静かにしろー」と注意するんじゃなくて、騒いでるテーマをとっさに判別して「じゃあこれはどう思う?」みたいな質問を投げ込んで、それを生徒が考える、という形で結果として静かにさせるとか、「こんな先生俺の時はいなかったなー」と感心しちゃうところが色々あるんですが。
まあ、いい先生に見てもらえて良かったなあ、今後もいい先生に巡り合えるといいなあ、と思うことしきりです。
世の中、先生が何かしら問題を起こしたり、ひどいことをしたりってところばかりがクローズアップされ勝ちで、結果として先生一般が非難されてしまったりってことが多いですが、凄い先生、頑張ってる先生はちゃんといて、そういうことも可視化したいなーと思ったわけなのです。
以上、細かい話で恐縮ですが、先日の学校公開ですごいなーと思った点についてのお話でした。
今日書きたいことはそれくらいです。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

ティネクト代表の安達裕哉が東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。
ティネクトでは現在、生成AIやマーケティング事業に力を入れていますが、今回はその事業への「投資」という観点でお話しします。
経営に関わる全ての方にお役に立つ内容となっておりますでの、ぜひご参加ください。東京都主催ですが、ウェビナー形式ですので全国どこからでもご参加できます。
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
【プロフィール】
著者名:しんざき
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。
ブログ:不倒城
(Photo:m-louis .®)