こんにちは。「コンサルポータル」主宰、AscentBusinessConsulting代表の北村です。

最近何かと話題となる「副業(複業)」ですが、これからやってみようと思っている方も多いのではないでしょうか。

 

また、全体の中での割合は少ないとは言え、複業の推奨や解禁に舵を切った企業が増えたこともあり、労働者の選択肢が増えるのはとても良い傾向です。

 

そんな状況もあってか、今「フリーランス」の方が増えていると聞きます。

フリーランス大国のアメリカでは、2014年の時点で、すでに全労働者の34%がフリーランスといいます。また、ランサーズの調査に寄れば、日本も19%の人がフリーランスとのこと。

終身雇用の考え方が根強く残る日本においても、5人に1人の割合でフリーランスがいる、と言うのは、それなりに多い数字と言えます。

 

しかし、です。

私は安易に「フリーランス」を人に勧める気にはとてもなれません。

フリーランスはそれほど甘い世界ではなく、勤め人と異なり「売れるフリーランス」と「売れないフリーランス」が実にはっきりと分かれる世界です。

 

なぜこのようなちがいが生じるのでしょうか。

複業をやってみたい、という方は何に注意すればよいのでしょうか。

今回の記事では、「売れるフリーランス」と「売れないフリーランス」のちがいについて、詳しく書いてみたいと思います。

 

「売れるフリーランス」と「売れないフリーランス」のちがい

結論から申し上げると、「売れるフリーランス」と「売れないフリーランス」のちがいは、2点に集約されます。

一つは「先に与える人」かどうか

一つは「売れる専門性」を持っているかどうか

です。

では、解説していきましょう。

 

「先に与える人」かどうか

面白いことに、フリーランスになると急にわがままになる人が、それなりの数います。

「もう会社の言いなりではない」

「一国一城の主だ」

そう思ってフリーランスになる方が多いからかもしれません。

 

しかし、現実はそんな夢とは異なります。

「もっとシビアに見られる」のがフリーランスです。

 

例えば、あるシステム開発プロジェクトがあり、期間は1年程度を見込んで動き出しました。

最初の3ヶ月間は、皆が力を合わせてなんとか頑張ります。

 

ところが、3ヶ月が終わった時点で、メンバーの一人のフリーランスの方が突如、「単価を上げてくれなければ、プロジェクトを抜ける」と言い出しました。

結構な額なので、プロジェクトにはそのような予算がありません。

「なんとかもう少し抑えてくれないか」と交渉しますが、フリーランスの方は「この単価でなければ抜ける」の一点張り。

 

仕方なくプロジェクトのリーダーは他の予算を削って、フリーランスの方の単価を上げました。

なにせ今彼に抜けられては、プロジェクトが立ち行きません。

 

皆の頑張りで、プロジェクトは結果的にうまくいききました。

が、プロジェクトリーダーは後日、こう言いました。

「あの人とはもうやりたくない。いつ足元を見てくるかわからないから。安心してやれない。」

その方の悪い評判はあっという間に業界に広がり、彼にはもう、誰も仕事を回さなくなりました。

 

*****

 

私の好きな言葉の一つに、「先義後利先に与える人に利益が後からついてくる)」という言葉があります。

フリーランスは、会社の後ろ盾や実績などの信用が不足している分、行動でそれを証明しなければなりません。

 

そして「あの人は信用できる」との評判は、結局のところ

「締め切りを守る」「約束を違えない」「挨拶をする」「回答が早い」など、小さな努力を、「先に与える」ことによって得られるものなのです。

それができないフリーランスは、結局2,3年のうちに消えていきます。

 

「売れる専門性を持っている人」かどうか

あたりまえですが、フリーランスは、一芸に秀でていなければ、仕事が来ません。

ただし、一芸に秀でているだけではダメで、その専門性が「売れる」ことが重要です。

 

ここを勘違いしてしまうと、フリーランスになったは良いが、仕事がない、という状況になりかねません。

では、「売れる専門性」と「売れない専門性」の線引きはどこにあるのでしょうか。

 

一つは「マーケットの大きさ」があります。

例えば、システム開発のプロジェクトマネジメント能力は、「売れる専門性」の代表格です。世の中には「開発プロジェクト」がたくさんあるからです。

その他にも「会計知識」や「在庫管理」「組織・人事評価」などの知識は、「売れる専門性」です。

こう言った業務は、ほとんど何処の会社においても悩みのタネになっており、マーケットが大きいからです。

逆に、「デューディリジェンス」や「経営管理」などは、あまり売れません。

これは逆に、悩んでいる会社の数が少ないからです。

 

二つ目は「成果のわかりやすさ」です。

成果がわかり易いほど、専門性は売れます。

例えば、「営業業務改善」よりも、「営業代行」のほうが売れ、「ブランディング」よりも「集客代行」のほうが、「マーケティング」よりも、「データ分析」のほうが売れます。

昔、何かの本に、「おはぎの作り方」よりも、「おはぎ」そのもののほうが遥かに売れる、と書いてあるのを見たことがありますが、まさにそのとおりです。

結局のところ「クライアントの手間を省いて、結果を目に見える形で出す」ことが、売れる専門性の条件なのです。

 

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「売れるフリーランス」と「売れないフリーランス」のちがいは、以上述べたように紙一重です。

フリーランスは決して「気楽な稼業」でもなく、「仕事を好きに選べる立場」でもありません。

 

顧客に精一杯奉仕し、少しずつ信用を築いていく、地味な活動の継続が重要なのです。

 

 

 


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