仮想通貨ビットコインのニュースが連日報道されている。
昨年の10月頃から騒がれ始め、あっという間に10倍の価値となり、暴騰と暴落を繰り返して現在に至る。
ビットコインの特徴は「管理者がいない」ということ。そして「発行数の上限が決まっている」ということの2点。これは既存の電子マネーとは大きく異る特徴であり、その特徴がどのような事態を引き起こすのか、誰も本当のところは予想出来ていない。
ただ、いくつかの類推から、今後の世界に何が起きるのかを予想してみるのは面白い。
ビットコインは、その性質から宝石などに近いと言われている。これらも管理者がおらず、埋蔵量が決まっているからだ。
ただし完全に同じとはいえない。なぜならば宝石などの現物はその価値を決めるのに専門家を必要とするからだ。しかもかさばり、持ち運びを必要とする。ビットコインにはそのような事は必要ない。逆に現物でないがゆえに取引が簡単で、持ち運ぶ必要もない。価値は相場に依存し、だれにでもすぐに分かる。
そういう意味では、「宝石」に近いと言われているが実はその名の通り「コイン」に極めて近いといえる。コインは資源の制約上、無限に発行することは出来ない。価値は額面を見ればわかる。まさに「コイン」である。
しかし、「管理者がいない」という特徴はコインとは全く異なる。コイン(硬貨)は、発行している国家がその価値をある程度は保証している。しかし、ビットコインはそうではない。この点をあげて、「保証がない通貨など使われない」「大きなデメリットだ」という人もいる。
確かにそうかもしれない。
しかし、私はそれを「デメリット」とは言い切れないと思う。なぜならば、ビットコインは今、まさに「誰も保証しない」からこそ使われているからだ。「政府に捕捉されなくない取引」や、「一国の金融政策に資産の価値を左右されたくない」、あるいは「政府が嫌いだ」という動機がビットコインの利用の原動力になっている。
ビットコインの登場までは補足されたくない取引は「現物取引」もしくは「現金取引」だった。海外と資産を秘密裏にやりとりするならば銀行送金などは愚の骨頂であり、現金を自ら運んでいくのが最も安全で確実である。
それが今、ビットコインへの置き換えが可能になった。
資産を国家に補足されたくない、資産の動きを見せたくない。そういったニーズはいつの世でもある。そういったメリットを享受したいなら、自己責任でビットコインもいいかもしれない。
しかし、特に補足されても困らない、という人であればビットコインを使うメリットはあまりないだろう。セキュリティにはカネがかかるのだ。銀行に手数料を支払って、国家の後ろ盾を持った通貨を使ったほうが良い。
したがって、ビットコインを「フツーの人」が使うメリットはあまりない。おそらく今手を出している一般人は投機的な対象としてみている人、もしくは純粋な技術的興味から扱っている人だろう。
そういう人のために「規制」が必要なのかといえばNoだ。また、犯罪目的で取引を行っている人々はビットコインを規制したところで代替手段を使うだけだろう。その場合も規制は無駄骨に終わりそうだ。
さて、そのような状況からビットコイン(を含めた仮想通貨)がどうなるかを想像してみる。
まず「仮想通貨が生き残るか」についてだが、これはもちろんYESだ。一度「できる」とわかったら、次々に新規参入者が現れ、改良が繰り返されるだろう。そして、その中の幾つかは生き残る。
では、「どの程度広く使われるようになるか」という問だが、「だれでも持てるクレジットカード」のように普及する可能性がある。小売店や外食産業には「クレジットカードの手数料が高過ぎる」と感じる人が多いので、仮想通貨が普及するかどうかは「手数料競争」に勝てるかどうかに依存しそうだ。
したがって、長期的に見れば金融機関の行う「手数料ビジネス」に影響はあるだろう。webが新聞社やTV局の収益性を悪化させたように、ビットコインも金融機関の収益性を悪化させるかもしれない。
そして「通貨の代わりになるか」は現時点では明らかにNoだ。ビットコインの総発行枚数を持ってしても、世界の通貨需要には遠く及ばない。通貨の代わりになるためにはもっとたくさんの流通量が必要だ。
もっとも、ビットコインではなくもっと多くの供給を行うことのできる仮想通貨が出現する可能性は高い。
その時までにビットコインがある程度信用を担保できる仮想通貨に育っていれば、その欠点を克服した次世代仮想通貨はもっと広く使われるようになる。そして、それは世界の何処かで通貨の代替として使われる可能性は十分にある。
通貨にとっての真の脅威は「通貨を使わなくても大丈夫じゃない」という人々の思い込みなのだから。
それにしてもMt.Goxから消えたビットコインはどこに行ったのだろう。ビットコインは全ての送金履歴が残るしくみだから、追跡は可能だ。
「だれが消えたビットコインを持っているのか」が解明されるのが楽しみである。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

ティネクト代表の安達裕哉が東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。
ティネクトでは現在、生成AIやマーケティング事業に力を入れていますが、今回はその事業への「投資」という観点でお話しします。
経営に関わる全ての方にお役に立つ内容となっておりますでの、ぜひご参加ください。東京都主催ですが、ウェビナー形式ですので全国どこからでもご参加できます。
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)