こんにちは。コワーキングスペース「Basispoint」の運営会社、AscentBusinessConsulting代表の北村です。

つい先日、知人からこんな話を聞きました。

「保険会社で代理店向けの営業をしている方が、キャリアに悩んでいます。それなりにハイスキル人材とはおもいますが、これ以上の出世も微妙な状況で、今の会社を辞めても保険代理店を自分でやるか、代理店に入るくらいしか選択肢がないと言ってます。どんなアドバイスが良いですかね……。」

 

私は言いました。

「でも、そんなにキャリアの選択肢が少ないとは思えないですが。おそらく、代理店向け営業のノウハウをほしい会社は結構ありますよ。」

知人は言いました。

「そうかもしれません。でも、本人はそう思っていないみたいですね……。」

 

40代で、キャリアが行き詰まってしまうのは気の毒です。

しかし、なぜ「スキルを持つ人」と「そのスキルがほしい企業」が存在しているのに、「マッチングが成立しない」ということが起きてしまうのでしょう。

 

「売れやすいスキル」と「売れにくいスキル」

そして、話をしているうちに、一つのことに気づきました。

私は「コンサルポータル」という、コンサルタントやフリーエンジニアのマッチングビジネスをやっているのですが、傾向として「売れやすいスキル」と「売れにくいスキル」があるのです。

 

例えば、全般的に「ITコンサルスキル」は、売れやすい傾向にあります。

逆に「営業コンサルスキル」や「マーケティングコンサルスキル」はそれに比べると売れにくい。

なぜかと言えば、「ITスキル」はその人に何ができるのか、ということが比較的見えやすいのに対して、「営業スキル」や「マーケティングスキル」はそれが見えにくいからです。

 

これは、アウトプットの性質によるものかもしれません。

ITのプロジェクトは進捗もわかりやすいですし、何かしらの「モノ」が最終的には出てきます。注文通りかどうか、検証もきっちり可能です。

 

しかし、「営業コンサル」や「マーケティングコンサル」は進捗やコンサルタントの貢献度合いがわかりにくい。

もちろん「開始から3ヶ月間の結果のみで判断」と割り切ってしまえば良いのですが、世の中には短期間では結果が出ない取り組みもありますし、営業やマーケティングは自分たちだけで完結しないので、不確定要素も大きい。

そういう場合、「実力」の判断を事前にしなければなりませんが、上のような状況なので、クライアント側がリスクを取りにくいのです。

 

もちろん、パフォーマンスを予想するためにコンサルタントの「履歴書」「職務経歴書」という情報を参考にします。

しかし、それらの情報は、どのような仕事をしてきたかはわかりますが、真に重要な情報、例えば

・問題に当たった時に、どのように解決をするか

・どのようなコンセプトで働くか

・どんな価値観で仕事をしているか

・苦しいときに逃げないか

・予想外のことにどう対処するか

と言ったことはわかりません。

だから企業は「面接」をするのですが、1時間、2時間程度の面接ですべてが分かるかといえば、そうではない。だから「売れにくい」のです。

 

普段から「スキルの可視化」に取り組んでいる人は引く手あまた

しかし、その中で例外もあります。

それは、普段から「スキルの可視化」に取り組んでいる人たちです。具体的には、SNSやブログで常に発信をし続けている人たち。

 

彼らは例えば「問題に当たった時に、どのように解決をするか」という、クライアントの知りたい情報を常に発信をし続けています。価値観や、どんなイベントに顔を出しているのか、といったこともわかりますし、交友範囲もわかる。

これは「何も発信していない人」に比べると、大きなアドバンテージ(場合によっては、逆効果の場合もありますが……)となります。

 

スキルが可視化されていれば、クライアントもリスクを取りやすい。

逆に、そういった努力をしなければ、必然的に選択肢は少なくなるでしょう。

 

中には就活生に対してすら、SNSを見て採用の参考とする会社も一部、あるそうです。

人事は見ている? 就活生のSNS(日本経済新聞)

もちろん、企業も本心では気になるところだ。ある電機大手の採用担当者は「応募者全員にはしないが、気になる人がいたらチェックすることはある」と認めた。あるベンチャー企業は「面接の際は『外向き』の姿をつくろう学生が多い。日常の『素』の姿が見たいため、SNSは必ずチェックする」と明かす。

スキルとは少し異なりますが、差別的であったり、無礼であったりする人を、会社に入れる訳にはいかないのは、自然といえば自然です。

 

ただ、よく考えれば、企業も全く同じことをしています。最近ではMAツールや、各種のwebサービスがありますが、正直に言えば、商品ページだけでは、本当に使えるのかよくわからないものも多いでしょう。

だから、企業はセミナーやブログを通じて、商品の背景や、考え方をあわせて打ち出す。顧客にそれをわかってもらったほうが、売れやすいからです。

 

テクノロジーは「信用の可視化」にも及ぶ。

先日、中国の決済サービス、アリペイに関して興味深い情報を発見しました。

個人の「信用力」をスコア化しようという試みです。

個人の行動データに基づく信用スコア「芝麻信用」(野村総合研究所)

アリペイの付帯機能として、2015年に個人の行動データを元にした「芝麻信用(Zhima Credit)」サービスが始まった。スコアリングには以下のような項目が利用されていると言われている。

  • アリペイでの支払い履歴
  • 個人の学歴や職歴
  • マイカーや住宅など資産の保有状況
  • 交遊関係など

(中略)芝麻信用は350点から950点の範囲で信用スコアを算出する。この信用スコアは以下の5つの領域それぞれの指標を総合的に計算して点数化したものである。

  1. 身分特質(ステイタスや高級品消費など)
  2. 履約能力(過去の支払い履行能力)
  3. 信用歴史(クレジットヒストリー)
  4. 人脈関係(交友関係)
  5. 行為偏好(消費面の際立った特徴)

スコアが高い人は、金利優遇などの措置が受けられ、生活上のさまざまなメリットを享受できるそうです。

また、記事によれば点数が高く出そうな人ほど、「可視化」に対して協力的であるとのこと。

 

ジョージ・オーウェルの「1984年」のような、超監視社会への入り口ではないのか、という恐怖もあります。

しかし、自分が信用できる人間であると、発信を怠らなかった人。そして実際に実績を作って、良い記録がネット上に残っている人は、有利な世界になっていくのかもしれません。

自らが「ハイスキル人材」であると自認するのであれば、発信という「記録」を怠らないことは、重要であると言えそうです。

 

 

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(Photo:EvanHahn)