こんにちは。コワーキングスペース「Basispoint」の運営会社、Ascent Business Consulting代表の北村です。
突然ですが、今、日本が空前の好景気だ、と言ったらどう思いますか?
「全然実感できない」という人も多いかもしれませんが、実は、客観的な指標を見ると、今はとても好景気です。
実際、上場企業1600社の2018年3月期の純利益は、2期連続で最高益を更新するそうです。
上場企業約1600社(金融や新興企業など除く)の2018年3月期の純利益は、前期に比べて17%程度増える見通しです。2期連続で過去最高益を更新することになります。
出た利益の行き先はどうなっているのか、というと、多くは報道されている通り、株主、そして内部留保という形で企業内にとどまっています。
しかし全く従業員に利益が還元されていないわけではありません。利益が出ているので、それは従業員に「賞与」という形で還元されています。
過去50年間の夏のボーナスを比較、昭和45年の賞与はわずか13万円だった
そして現代。平成28年(2016年)の今年は843,577円と、リーマンショック前の過去最高額につぐ、過去2番目の高水準となっています。
この景気の良さから、ボーナスも気前良く支払われているのです。
でも、サラリーマンに「景気が良い」という実感はない
でもおそらく多くの方は前述したとおり、景気の良さを実感できていません。
いったいなぜでしょう?
それは、給与が上がらないからです。
国税庁の民間給与実態統計調査によれば、平均給与はほとんど伸びていません。
(出典:https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2014/pdf/000.pdf)
これは正社員の給与の伸びが低いこと、および非正規雇用の増加が全体の給与の伸びを抑えていることが原因です。
つまり多くの企業は
「ボーナスを支払うが、給与は抑える」
「非正規雇用を増やす」
という2つの施策により、過去最高益を出していたとしても「サラリーマンは景気の良さを実感できない」という状況が生まれています。
また最近では、企業は景気が良くても早期退職優遇制度などで「高賃金のできない社員」をリストラすることを進めており、逆に若くて有能な社員を比較的低賃金で雇う、という形で社員の入れ替えを進めています。
要するにますます企業は「固定費」を嫌い、「変動費」を増やす方向で経営をしているのです。
実は「フリーランス」は景気の良さの恩恵を受けている
しかし、サラリーマンの待遇が惨憺たる状況の中、儲かっている実感を持っている人々がいます。
それは、フリーランスです。
実はフリーランスの方々は景気の良さの恩恵を最大に享受しています。コワーキングスペースに集まる方々を見ていると、それを強く実感できます。
現在、フリーランスへのニーズはかなり大きなものになっています。実際の数字を上げると、2〜3年前に比べ、同じスキルの方の単価が1.5倍位に上がっており、「フリーランスは大変儲かっている」状況です。
一つは、好景気による人材の取り合いで、昨今採用が大変難しい、という状況が背景にあります。
しかし、加えて今は雇用がある程度流動化したことにより、企業は「給与を上げて正社員を雇う」ことなく、ハイスキル人材を使うことができる、という状況もフリーランスの景気の良さを後押ししています。
正社員はクビにできず、給料も簡単に下げることができません。だから企業は正社員を気軽に雇わないですし、給料をあげることにも慎重です。
そのかわりに企業は、ハイスキル人材は多少単価が高くともフリーランスで調達、ロースキル人材も派遣や非正規雇用で埋める、というやり方を取っています。
リスクをとった者だけが、景気の良さを実感できる世界に
もちろん、私は全員に「フリーランスをやったほうが良い」とは言いません。
最近は若干市場が過熱気味の部分もあり、大したスキルを持っていないフリーランスの方が、高値で売れてしまったりするのをみていると、「景気が良いのはいいけれど、若干バブル感あるな」とも思います。
そういった方々は、景気が後退すればすぐに放逐され、「真面目にサラリーマンをやっておけばよかった」と後悔するでしょう。
しかし一方で、実力がある方は景気に左右されず、仕事は必ずあります。なぜなら、企業が負担の重い「正社員」を抱えることを嫌がっているからです。
景気が悪いときには、ものすごく儲かることは無いかもしれませんが、食いっぱぐれる事はありません。
すでに時代は「リスクをとった者だけが、景気の良さを実感できる世界」になりました。
それゆえ「正社員」として、安定を取れば、景気の恩恵をうけることはできません。
「安定」は「チャンス」とトレードオフです。
腕に覚えがあれば、「フリーランス」や「起業」、あるいは「副業」でも良いので、積極的にリスクをとる動きをしていくのが、好景気のときの鉄則と言えるでしょう。
あるいは、景気にかかわらず、これからの世界は構造的に「リスクを取るものだけが報われる」ように変わっていくのかもしれません。
それが良い世界であるかどうかは、まだわからないですが。
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(Photo:Matt)