「興味」のパワーって物凄いと思うんですよね。
しんざきは三児の父なんですが、「何かに興味を持った時」の子どもの行動力、吸収力やエネルギーには、ちょくちょく驚愕させられます。
普段は全く読まないジャンルの分厚い本に突如取っ組みだして、ほんの1,2時間で読破してしまったり。
まさかと思うような長さの文章を丸暗記したり、今まで面倒がってやらなかった運動をいきなり始めて、三日坊主どころか数年にわたって継続したり。
これ、別に子どもに限った話ではありません。
私最近、「興味ドリブン」という言葉をちょくちょく使うんですが、世の中には「興味をうまくコントロールして凄いパワーを出せる人」と、「興味を行動に結び付けることがいまいち苦手な人」がいるような気がしています。
興味をコントロールするのが得意な人は、自分が興味をもったことに対してひたすらどん欲に行動して、他の人も巻き込みつつ、どんどん自分の世界や人生を広げていきます。
一方、興味を持ったはいいが何も行動しなかったり、興味を口に出すことすらしない人もたくさんいます。
言ってみれば、興味を駆動させて人生を回していく人が得意な人と、苦手な人がいる。興味ドリブン能力の多寡です。
この違いってどこから来るんだろうなあ、と昔から思っていたんですよ。
勿論、もって生まれた気質の違いというものもあるんでしょうけど、もしも環境や接し方によって「興味ドリブン」の力に差が出来るのであれば、そこはなるべくいい接し方をしてあげたいなあと。
しんざき長男は今11歳で小学校高学年なんですが、今のところは、上手いこと「興味」をエネルギーにして人生を回せているように見えます。
興味をどんどん口に出してくれますし、興味をもったジャンル、興味をもった作者の本を熱心に読みますし、しかもそれについて思ったことを私や奥様に積極的にアウトプットしてくれます。
これが楽しそうだと思ったらびっくりする程積極的に行動に移しますし、私や奥様も巻き込みながら一緒にイベントに参加してくれます。
これが大人になってもそのまま続くかは勿論まだ分かりませんし、一般化出来る話だとも思わないんですが、「こんな風に意識して接してきました」というのはもしかすると誰かの役に立つかも知れないと思い、ちょっと可視化を試みてみます。
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私が意識していることは、大きく
「興味を受け入れる、共有する」
「興味を広げる、方向づける」
「興味をつなげる」
の3つです。
第一に、「興味を受け入れる、共有すること」。
興味をパワーに変える為にまず必要なことって、興味を出力すること、表に出すことだと思うんですよね。
何かに興味をもつ、何かを面白そうだと思う時って、それを誰かに話したくなるし、それについて共有したくなるんです。
誰かと一緒に盛り上がることによって、より一層興味のもつエネルギーが増幅される。
一方、誰とも共有出来ない興味って、自分の中でも大きく育ちにくいんです。
誰かと共有して盛り上がれたという成功体験があると、また興味を共有したくなる。
一方、これに失敗し続けると、興味をアウトプットしたいという欲求自体を持ちにくくなる、ような気がしています。
大人に話しても無駄だと学習してしまって、興味自体を口にしてくれなくなった子とか、かつて補習塾なんかで結構見たんですよ。
だから、子どもの興味にアンテナを立てて、「〇〇が面白そう」とか「〇〇ってどんなの?」というようなことを言い出したら、まず何はともあれ話に乗るようにしています。
自分も面白そうだと思ったらどんなところが面白そうかという話をするし、あまり知らないことだったらどんなところが面白そうなのか聞いてみます。
この時点では、その対象がどんなものであっても気にしません。
例えばの話、これが多少不道徳なものだったり、あまり実際に試してほしくはないようなものであっても、まず「興味出力」の時点では窘めたりしませんし、取り敢えず話に乗ります。
とにかく、まずは「興味を誰かに発信する」ことへのハードルをなるべく低くして、その結果楽しかった、受け入れてもらえた、という成功体験を作ってあげることが大事なんじゃないかなあ、と思っているんです。
これを繰り返すことによって、まずは気安く興味を口に出せる、興味を具体化出来るようになっていくんじゃないかなあと。
第二に、「興味を広げること、方向づけること」。
当たり前の話ですが、子どもが「何に興味を持つか」というのは極めてアンコントローラブルなものでして、時として大人の想定を軽々と越えます。
その方向が危ない方に向いてしまった時は、監督責任として多少は誘導しなくてはいけませんし、そのついでに「興味を他の方向性にも広げる」という経験をさせてあげられないかと考えることがあります。
例えばの話、youtubeでなにやら危ない実験をしていて、子どもがそれに興味をもったとします。ここでは分かりやすくメントスコーラの話にしましょう。
当然、子どもは「派手にコーラが噴き出す」という表面的な部分に目を奪われていますが、アレうっかり飲んだ状態で試したりすると当たり前ですが大変危ないので、興味を持ったとしても「そのまんま試す」ような方向には親としてもっていきたくなかったりします。
そんな時には、「何故ああなるのか」「どんな仕組みでああなるのか」という方向に話をもっていって、子どもの興味を誘導します。
メントスコーラの場合、メントスに含まれたゼラチンとかが界面活性剤になって、細かな穴がたくさん開いているメントスが泡を大量に作る役割をしたりするんですけど、そういった「原理」の話になれば、「じゃあ界面活性剤って何?」とか「あの泡ってそもそも何?」といった別の疑問に話が繋がったりします。そこから、思いもよらない深い知識に話が繋がったりすることもあるんです。
子どもの興味が「疑問」の形をとっていた場合、全ては答えない、あるいは答えるとしても「続き」を作るというのが結構重要で、子どもは疑問が完結しない限り、次から次へと新しい興味を繋げていくことが出来る生き物です。
表層的な「面白そう」という興味が、例えばその原理に、例えばその背景に、例えばその歴史に広がる。そうすると、実はその裏にもっと面白いものがある、ということに気づく。
興味のテーマによって全然変わってくる話ではあるんですが、そういった「興味を広げる」ということが出来るかどうか、というのは、割と重要なテーマであるように思います。
第三に、「興味をつなげること」。
つまり、興味をもったことについて実際の行動に繋げること。これも、テーマによって方向性は色々なんですが、基本的には「じゃあ試してみよう」とか「じゃあ調べてみよう」という話になります。
しんざき家では、子どもが何かに興味を持った時、「じゃあ図書館行って調べてみようか」という話になることが多いです。
今の時代、「本で調べる」という経験の重要性はむしろ以前よりずっと上がっているような気がしていまして、webで調べた内容の裏付けをどうとるか、といった話の事前練習にもなります。
これに慣れると、今度は自分で色々調べられるようになっていきます。
また、物には勿論「試させてあげたいけどすぐには無理、あるいは金銭的に無理」みたいなこともありまして、例えば夏にスキーに興味をもたれてもすぐ南半球に行く訳には行きませんし、ピラミッドに興味をもたれてもエジプト旅行の予算は出ないわけです。
そういった場合でも、「実際に連れてってあげることは今は出来ないけど、色々それについて調べてみよっか」という話も出来ますし、それは「興味を維持する」という意味での「つなぐ」ことにもなります。
子どもにしてみれば、「何かに興味をもって、それについての情報、それについてのコンテンツを色々と探し回る」というのも、立派な「興味に基づく行動」なんですよね。興味ドリブンを将来回す為の、重要な経験値でもあるように思います。
無理なく体験させてあげられることなら体験させてあげることも勿論ありまして、ボルダリングに興味もった子ども達をその週の土曜日にキッズボルダリングスタジオに連れていってあげたりしました。
ボルダリングは非常にお気に入りで、今でもちょくちょく連れて行ったりします。運動にもなって大変良いと思います。私はしょっちゅう落っこちますが。
長々と書いて参りました。
いつも断っているのですが、これは飽くまで「今のところしんざき家で上手くいっているように思える、しんざき家のやり方」であって、別に一般化するつもりはないんです。所詮n=3の話と言えば全くその通りでもあります。
ただ、「子どもの興味をどう育てるか」「その興味をどう広げるか、実際の行動に繋げさせてあげるか」という考え方については、割と普遍的なものもあると思っていて、長男長女次女共に、今後も色々と考えながら続けていってあげたいなあと、そんな風に考えているという次第なのです。
全くの余談なのですが、長男がかつてもっていた「電車への興味」は今では立派な人生の指標へと育ちまして、長男は東急電鉄に入社することを一つの人生の目標として、今から色々と頑張っています。
興味を原動力としてこれからも突き進んでいって欲しいと、心から願うばかりです。
今日書きたいことはそれくらいです。
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(2024/12/6更新)
【プロフィール】
著者名:しんざき
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。
ブログ:不倒城
(Photo:lee cleeton)