この記事で主に書きたいことは、以下四点です。
・一対一の人間関係の中にも、複数の「チャンネル」が存在し得る
・人間関係を運営していく中で大事なことは「切り替え」「引きずらない」こと
・切り替えは案外難しいけれど、「チャンネル」を意識すれば割と楽になる
・チャンネルの切り替えがきちんと出来るのであれば、チャンネルは多ければ多い程人間関係が上手く運営出来そう
よろしくお願いします。
さて、書きたいことは最初に全部書いてしまったので、あとはざっくばらんにいきましょう。
***
しんざきには子どもが3人いまして、長男はもう11歳です。今年からついに小学6年生になりまして、押しも押されもせぬ小学校最高学年です。
長男の小学校は「最上級生」というものを特別扱いする傾向がありまして、学校単位で6年生を持ち上げているように見受けられることもあり、長男も張り切っています。学校教育におけるキャリアパス制度です。
私と長男は勿論親子なんですが、親子であると同時にゲーム友達でもあり、アナログゲーム会に積極的に参加するボードゲーマー仲間でもあり、同じ小説や同じ漫画を愛する同好の士でもあります。
長男の知見や閃きは決して軽く見ることは出来ず、私は趣味の話をするとき、彼を自分と対等の趣味人として認識しています。
私と妻は勿論夫婦なんですが、夫婦であり、同じ家族を運営するプロジェクトメンバー同士であると同時に、同じジャンルの楽器演奏を共通の趣味とする音楽仲間でもあり、小説やエッセイを濫読する読書クラン同士でもあり、時にぷよぷよやパズルボブルで鎬を削るパズルゲームライバルでもあります(大抵私が負ける)。
妻にケーナを聴かせることもありますし、音楽理論さっぱりな私に指導してもらうこともあります。
一つの人間関係でも、色んな立ち位置、色んな関係性の違いがある。ちょっと前から、私はこれを「人間関係のチャンネル」だなーと見なすようになりました。
言うまでもなく、例えば親子、例えば夫婦という、基底になる人間関係というものは確固としてあるのですが、その人と関わるテーマによっては、なんならそこから離れることが出来る。
同じ夫婦であっても、時には「サブカル論敵」であって良いし、時には「ゲーマー仲間」であって良い。
つまり、同じ人との一対一の人間関係でも、何を媒介とするかによって立ち位置は全然変わる、いや変えることが出来るものだなあ、と。そう思うようになったんです。
***
人間関係を日々運営していく中で、非常に重要で、かつ案外難しいものの中に「対立後の気分の切り替え」とか「状況の刷新」というものがあります。いってみれば人間関係のステータス更新です。
例えば、子どもは日々の生活の中で、当然のことながら親に叱られるようなことをします。
悪戯をしますし、失敗をしますし、後片付けはしません。それはよくある話です。
で、そういうのが度重なると、勿論親子の間も人間関係ですから、時には対立が発生するし、関係が緊張したりするんですよね。
人間同士が近い距離で日々を過ごしていれば、常に対立は発生し得る。どんな人間関係でも同じだと思います。
ただ、例えば親子関係で言うと、「一度叱られたことを引きずられる」って子どもにとって大変疲れるしうんざりすることなんですよ。
同じ件を、ずっとねちねち言われるとうんざりするのは、誰だって同じですよね?
大抵の場合一度言われれば親の言いたいことは理解出来る(即その通り実行できるかはともかく)ところ、何度も同じようなことを言われたら、そりゃイヤになります。
親の側も子の側も、一度すぱっと言ってその場は終わり、にしたいところですよね。
ただ、親だって人間であってエスパーではありませんから、子どもが本当に理解出来ているのかさっぱり分からないことだってありますし、そんなにすぐに気分を切り替えられるかっていうとなかなかそうとも限らない訳です。
喧嘩をした後即仲直りって、そんな簡単にいく話でもないですよね?
対立を引きずらない、緊張関係にメリハリをつけるって、案外難しいことなんです。
メリハリをつけること、気分を切り替えることが上手い人っています。
言うべきことをしっかり言ったらすぱっと切替えて、もう普段のテンションに戻りましたよ、ということが簡単に出来る人もいます。
そういう人たちは、別段「引きずってしまう」ことに思い悩む必要もないのだと思います。
ただ、そういうのが苦手な人だって世の中にはたくさんいる訳で、私も結構引きずりがちな方だったんです。
ただ、私の場合、「複数チャンネルの存在と切り替え」を普段から意識するようにしたら、それがだいぶ楽になったように感じていまして。
ただ話題を変えるってだけの話ではなく、その人との立ち位置自体を違うチャンネルに切り替える。対立が発生しているチャンネルから一度離れる。
つまり、頭の中の緊張関係の切り替えをスムーズにしてくれる、補助ツールとして利用出来るんですね。
私の場合、「話題を変える」ことをこのチャンネル切り替えのスイッチにしています。
さっきの緊張関係を「じゃあこの話はおしまい」と切り上げたら、その後はゼルダの話なり、イース8の話なり、スプラトゥーン2の話なりに切り替える。
まだガチアサリをやったことがない私に強烈にアサリを勧める長男に、自然と緊張関係をほぐれさせることが出来る。
多分、この「チャンネル」って多ければ多い程いいな、と。
大事にしたい人間関係であるほど、「チャンネルを多くしていく」ことを意識するといいなあと、最近は思っているわけなんですよ。
***
人間関係のチャンネルは、後から増やすことが出来ます。
例えば二人で何か新しいことを始めてもいいですし、共通の趣味や共通の話題を発掘することも出来ます。
誰かと色んな趣味について話すことは、つまり「チャンネルを増やす為の作業」と定義することが出来ます。
これは、勿論親子関係や夫婦関係だけの話ではなく、例えば仕事仲間でも、趣味の仲間でも、「この人とは継続して人間関係をメンテナンスしていきたい」と思う相手であれば、誰にでも応用できる話じゃないかなあ、と思います。
「チャンネルを増やす」ことを意識して人と接すると、その人の色んな新しい側面を発見出来てなかなか面白いです。
一方で、やっぱり私は育児に興味があるので、親子関係や夫婦関係の運営を上手くやっていくことに重点を置いています。
親子にせよ夫婦にせよ、「近い関係」ってそれに甘えてしまい勝ちでして、結果、基底関係の対立が解消出来ずにのっぴきならないことになってしまう、って案外ありがちです。
だからこそ、今後とも色んな「チャンネル」を確保していって、適宜チャンネルを切り替えながら、お互い仲良くやっていきたいなあと。
時には「親子」から離れてもいい。親子じゃなくて他の人間関係に移ってもいいと、そんな風に考える次第なのです。
今日書きたいことはそれくらいです。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
【プロフィール】
著者名:しんざき
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。
ブログ:不倒城
(Photo:PoYang_博仰)