幼い頃、銭湯にある水風呂の意味がサッパリわからなかった。

ちょっと足をつけただけでギャァと叫びたくなるような冷たいものが、本来温まる目的のはずの風呂場に置いてる理由が皆目見当がつかなかったのだ。

 

「あれは罰ゲーム以外の何に使うんだろう?」

ずっとそう思っていた。交互湯の愉悦を知るまでは。

 

霧島湯之谷温泉 湯之谷山荘で異常に癒される

前に妻と二人で九州一周旅行をした事があった。

その時に知り合いから「温泉が好きなら絶対に行った方がいい」とオススメされたのが霧島湯之谷温泉 湯之谷山荘だ。

https://www.booking.com/hotel/jp/kirishima-yunotani-sanso.ja.htmlより拝借

 

こちらは図のように3面構造となっており、奥側が暑いお風呂。手前側が炭酸の入った冷たい風呂。真ん中が両者が混じったヌルい湯となっている。

 

初めは普段どおり適温の湯に使っていたのだけど、そのとき何故かふと「暑いのと冷たいのを行ったり来たりしたら、のぼせないでずっと温泉に浸かっていられるのでは?」と思いつき、実行してみる事にした。

 

湯之谷山荘の冷たい風呂は、まあ冷たいっちゃ冷たいのだが銭湯にある水風呂よりかは幾分優しめの冷たさであった事もあり、そこまで入っててシンドくはなかった。

その後、熱い湯、ヌルい湯に入り。ちょっとのぼせてきたら冷たい湯、と順繰りに交代交代に入っていったところ、あるときピシィィッと自分の身体の中で何かがキマり、異常なレベルで気持ちよくなった事に気がついた

 

交互湯で整うことの愉悦

暑い湯→冷たい湯→暑い湯→冷たい湯・・・と繰り返すと、身体の中に何層もの寒暖の層ができてくるような感覚が出てくる。

そして何巡かすると、ある時突然自分の身体の中でビシッと何かがキマる。

 

後で知ったのだが、交互湯愛好家はこの感覚を”ととのう”と呼ぶらしい。

 

この”整う”がまた実に上手く出来た表現で、これ以外に表現しようがないぐらいにこの言葉はよくできている。

急激に人工的に寒暖差を作り出し、高速で交感神経と副交感神経のスイッチがオン・オフを繰り返すと、人間の身体はこのような快感を得られるだなんて。

 

僕はなんだか今まですごく損をしていたんじゃないかと思ったものである。

そして遅まきながら、銭湯にある水風呂の使い方をようやく理解したわけだ。

 

あれは、サウナ→水風呂→サウナ→水風呂、でキマる為にあったのである。

 

交互湯は自宅でもできる

この交互湯だけど、別に自宅でもやれないことはない。

ちょっと熱めのお湯を張って、水シャワー→風呂→水シャワー→風呂・・・を何往復かすれば見事に自宅でも”ととのう”。

 

ものすごく疲れてる時にこれをすると、その日の夜は泥のように寝る事ができる。

なんだか最近ぐっすり寝れてないな、という人は是非とも試してみて欲しい。熟睡できる事間違いなしである。

 

「自宅でできるのなら、わざわざ温泉とか銭湯とか行かなくてもよくない?」

そう思った人もいるかもしれない。

実際問題僕も最初はそう思っていたのだけど、実は銭湯は使い方次第では非常に重要な役割を果たすのである。

 

レジャー・スポーツをやらなくても頭をオフにできる、そう銭湯ならね

少し前に

「働きすぎる→精神が潰れる→人に操られやすくなる→好戦的になる」の負の連鎖から抜け出すためにやったこと。 | Books&Apps

という記事を書いた。

 

簡単に要旨をかいつまんで説明すると、中年以降の人生は若い頃と違ってマルチ・タスクになり、複数のタスクを抱える事で単純な足し算ではなく掛け算的な忙しさを実感するようになるという話である。

 

そして、そのマルチ・タスクに押しつぶされない為に何をすればいいかというと、休日は強制的に遊んで頭のスイッチを完全に日常からオフにしてしまえという結論を提示した。

 

休日にガチ遊びをすれば、頭の中から日常が強制的にパージされる。

これは一種の瞑想みたいなもので、非常にリラクゼーション効果があるのである。

 

ただこの解決方法も一つだけ弱点がある。

それはアクティブになりたくない奴は、レジャーなんてそもそも行きたくねぇという身も蓋もない話である。

僕はゲームに耽るという手法を導入したけど、これにしたってゲームが好きではない人には全く役に立たない。

 

他になにか良いものがないだろうかと考えていたのだけど、最近になって銭湯でのサウナがこれに非常にフィットする事に気がついた。

 

実際、このまえ大阪のスパワールド・世界の大温泉に行ったのだけど、サウナの本質は驚くほどにゲームやレジャー・スポーツと近似していた。

黙々とサウナ→水風呂→サウナ→水風呂・・・と繰り返していると、全くといっていいほどに現実世界の事を考えずに過ごすことができるのである。

 

「そうか。だからオジサンは銭湯に通うのか」

 

僕は妙に納得してしまった。やはり、人が集まる場所には何らかの魅力が隠されているものである。

 

銭湯はゲーム以上、レジャー・スポーツ未満の、絶妙な癒やしスポットだったのだ。

 

世の中にはまだまだ隠れ癒やしスポットがあるに違いない

若い頃はどちらかというと、街中にある施設の利用を拒んでいた。

お金がなかったのが一番の理由だけど、それ以上にあそこで何をすればいいのかがサッパリわからなかったのだ。

 

けど今は逆に街中に癒やしスポットが隠れているのではないかと、かなり評価を改めている。

よくよく考えてみると、ディズニーランドにハマってる人なんかも、あそこで現実と非現実の間を行き来する事で凄く癒されているんじゃないだろうか?

 

何事も、食わず嫌いはもったいない。

これからは積極的に街中のよくわからないけど結構長続きしているものに課金してみて、癒し力を推し量ってみようかなと思う。

 

とりあえず、近所の銭湯にでも通ってみますかねぇ。

 

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【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
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(2025/6/2更新)

 

 

【プロフィール】

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高須賀

都内で勤務医としてまったり生活中。

趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。

twitter:takasuka_toki ブログ→ 珈琲をゴクゴク呑むように

noteで食事に関するコラム執筆と人生相談もやってます→ https://note.mu/takasuka_toki

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