ツイッターを眺めていました。

 

すると、「やめてほしい怒り方」というツイートが、話題になっていました。

私個人も、新人のとき、失言をして強烈に怒られた記憶があります。

なので、ツイートを見て「怒り方間違うと、だめだよなー、そうだよなー」と思いました。

 

けれど、このツイート。

異常に拡散されています。一体なぜでしょうか。

 

それは「ミスを責める上司」に対するツイート主のコメントに結構トゲがあるからでしょう。

 

上司からの「現場の写真撮ってきて」との依頼をすっかり忘れてしまったツイート主は、上司からきつくそれを責められました。

が、怒られている最中

「そんな事を言っても忘れたもんはしょうがないじゃん」ってずっと思っていた、と書いており、

「どうせ怒るなら、次に同じ失敗をしないための指導をしてほしい」と締めくくっています。

で、案の定、これを見てキレた人たちから、辛辣なコメントが付けられ、ちょっとした騒ぎになっています。

 

正直、Twitterでも怒られてるのはちょっと気の毒です。

はいはい。概ね賛成です。

もしツイート主の上司だったら、こんな部下いたら、怒りますよね。

「おまえ、本当にわかってんのか?」と。

 

多分、私もこんな部下がいたら、ミスを責めることはしないものの、見限ると思います。

冷たいようですが。

 

だって、この人、上司をなめてるな、と思うから。

 

今どきの、ほとんどの上司はミスを責めず、見限る。

もちろん未だに、部下のミスをネチネチ責める上司も多いです。

ただ、そういった上司は昔に比べて本当に減りました。

 

第一、いまはミスを責めるとすぐに、「パワハラ」って言われます。

また、ツイート主の言う通り、ミスを責めたところで何も変わらないことを、多くの上司は理解しているからです。

 

だから、ミスに対して、反省の色がなく

「やっちゃったものは、しょうがないじゃん」

などと開き直って心の中で舌を出していそうな部下がいたら、ネチネチとミスを責めるなんて絶対にしないでしょう。

自分が人望を失い、評価が下がるだけだからです。

 

そのかわりどうするか。

 

上司は、そっと見限るんです。

関わるとムカつくから。

この人と関わりたくない、と思うんです。

 

もちろん、表面的には「指導」はします。

再発防止してね、といいます。

そのために「メモを取れ」とか「タスクを管理しなさい」とか、言うと思います。

 

「どうせ怒るなら、次に同じ失敗をしないための指導をしてほしい」とツイート主が要望を出していますが、多分そのとおりにすると思います。

 

でも、「育てよう」とは決して思いません。

残念ながら。

 

実際に、その後その人がメモを取らなくても、タスクを管理しなくても、多分「どうでもいい」と思うでしょう。

今後、あえて注意したりすることもないでしょう。

 

だから、結果的には重要な仕事は絶対に任せないようになってくる。

単純で、ミスをしても特にチームに影響のない範囲の仕事しか、やらせない。

 

なぜって、上司の時間も無限ではないし、自分の労力を、成果が上がりやすい場所につぎ込みたいと思うのは、人間だったら普通だからです。

 

そもそも、上司は聖人君子でも何でもなく、部下と同じく感情の生き物で、人間です。

だから、ミスを責められたときに開き直っちゃう人にリソースを突っ込もうとは決して思わない。

当たり前の話です。

 

だから、このツイートを見て

「ミスを責められたら、開き直ればいいんだ」と、新人さんが思ったとすれば、それは間違っていると言わざるを得ないです。

 

ツイート主は、「こんな怒り方されたら無視して良い」とも言ってますが、当然、無視しては駄目です。

無視したら、その組織でのキャリアは厳しいものになるでしょう。

 

そういう意味で、このツイートに気軽に「いいね」は付けられません。

この考え方は、処世術として、危険です。

 

ミスを責められて、冷静に判断できる人はいない。

でも、上司の側も考えなくてはいけないと思います。

なんで、ツイート主が「ミスなんて、しょうがないじゃん、お前ミスしたことないの?」ってずっと思っていたのかを。

 

それはあたりまえですが、「責めたから」です。

 

いや、わかりますよ?

上司が責めたくなる気持ち。

「確認してねーだろ」とか、「これ、同じミス何回目だ?」とか、「なんでミスしたかわかってないだろ」とか。

 

でも。

ミスを責められた人間は、瞬時に状況を判断する能力を失います。

私も体験済みなのでよくわかりますが、

責められている最中は、

「こいつ嫌い」

「俺は悪くない」

「こいつをなんとかして困らせてやりたい」

という、恨みの感情しか残りません。

 

その中で冷静に、

「改善します!ありがとうございました!」

なんていう人のほうが、逆に怖いです。

おそらくそれは、「改善します!ありがとうございました!」と言って、その場を逃れたいだけの人です。

 

もし仮に

「ミスを責められている最中にきちんと反省できる。」

「同じミスを繰り返さない。」

「上司の叱責を冷静に、素直に受け止める。」

そんな人がいたとしても、それは、その人物がずば抜けて優秀で、特殊な人だ、ということだけです。

 

実際、ほとんどすべての部下は、上司からミスを責められたら、

「ムカつく」

が最初に来ます。

間違いありません。

 

これは、人間の防衛本能ですから

「上司の言葉をありがたく受け取るべき」

「叱られているうちが花」

なんて、頭で考える論理は通用しません。

 

これは100%、混じりっけなしの感情。

だから、それが昂じると「ミスを責められたら、無視して良い」なんていう、過激な対応になるわけです。

 

しかも、上司は立場が強いから、部下たちは表立って

「言っていることは正しいけど、あなたの言い方はむかつきます」

なんて言えない。

 

残る手段は「無視」「面従腹背」なのは、当然です。

それが吐露されているのが、冒頭のツイートでした。

 

感情を表に出したら「戦争」。

そういうことで、部下が「ミスを開き直る」のも上司が「ミスを責める」のも、あまり賢い行動とは言えません。

要するに、「それをいっちゃ、おしまいだよ」ということです。

 

それを口にしたら、「戦争」……!

(出典:賭博黙示録カイジ 5巻)

大人は、口や態度に出してはいけないことがあるのです。

 

上司は部下を煽らず、部下も心から反省し、上司の感情に配慮する。

それが大人です。

 

それができなければ、生産的な人間関係はなく、争いしかない。

そういうことです。

 

 

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