「ランニング」がブームとなって暫く経つ。何時頃からブームとなったのかはよくわからないが、どうやら2006年頃から急激にランニングをする人が増えたそうである。
その影響もあって、アシックス、ミズノ、デサントと国内のスポーツアパレルメーカーは、揃って好業績だった。
スポーツ用品3社、業績快走 ランニングブーム追い風(朝日新聞)
”スポーツ用品大手3社の2014年3月期決算が15日出そろい、3社とも増収増益だった。人口減で国内市場が縮み、力を入れ始めた海外販売が好調だった。健康志向の高まりでランニングブームが続き、シューズなどがよく売れた。円安も追い風だった。”
ランニングをやっている人は1000万人を突破し、まさに「空前のブーム」と言ってもよい。
さて、ランニングブームは何度か繰り返しているようだが、今回のブームは「女性」が一枚噛んでいることも特徴だ。どうやら「デザインの良いランニングウェア」が増えたことが原因と見られている。
12人中一人は「ランニング!」という時代へ!いま、女性ランナー、団塊ランナーが急増中!(かりかりかりらむ)
ランニング愛好者サイト“ランニングスクールQ”でのアンケート調査によれば、「なぜランニングをする人が増えているのか」という問いに対して、男性・女性ともに「健康のため」という人が男性69%。女性67%で最も多い理由で、次いで「気軽に始められる運動だから」(男性47%。女性54%)と続いている。
しかし、それらに混じって、女性で多いのは「オシャレなウエアが増えたから」(57%)、「楽しいスポーツに変わってきたから」(45%)といった回答だ。
たしかに最近デザインの良い、女性向けのアパレルが増えていると感じる。
特に、「ランニングスカート」、通称ランスカと呼ばれる走る人向けのスカートがブームの立役者となっているようだ。
ランニングスカートは米国のスポーツアパレルメーカー、ニューバランスが開発し、2006年に市場に送り出した。米国ではまたたく間に人気となり、日本には2007年に上陸した。
デザイナーとコラボ、“ランスカ”がブレーク?ランニングファッションが大変なことになっている!(日経トレンディネット)
”ランスカは、「美しくスポーツする」をコンセプトに2006年春夏にスタートした新ライン「ニューバランス ニュービューティ」から誕生した。本国である米国ではおしゃれな女性ランナーの間で大ブームとなり、欧米のマラソン大会でもランスカをはいて走る女性が急増した。
「ニューバランスのランスカは、ランニングウェアのイメージをおしゃれで可愛いものに変えてしまった。これだった着て走りたいという女性ランナーはもっと増えるはず。来年の東京マラソンではランスカスタイルのランナーが相当増えるでしょう」”
ランニングスカートの面白い点は、「早く走る」という目的にはまったくもって不要なものであるという点だ。通常、早く走ろうと思ったらスパッツなどの体にぴったり合うアパレルを身につけるのが普通で、スカートのようにヒラヒラ舞うものは邪魔になる。
したがって、「まじめに」スポーツアパレルを研究している人からは、おそらく発想として出てこない。
「そんなムダなもの、誰も買わないよ」
で済まされてしまうだろう。事実、自転車などのウェアには、ほとんど「かわいい見た目」の物はない。
しかし、スポーツや他のことでも同じだが、ユーザーの裾野を広げようと、あるいは「今、商品を購入していない人」を顧客として迎え入れようと思ったら、現在、競合と争っている分野と異なる分野で仕掛ける必要がある。
例えばメガネの「JINS」は、メガネを「かけやすさ」「デザイン」という従来の尺度での競争ではなく、まったく異なる競争の分野「PCを見ても疲れない」というコンセプトで「JINS PC」を販売し、大成功した。
長いことその業界にいる人からは「あんなもの邪道だ」と言われるものも多いだろう。しかし、ランニングスカートのように、邪道がユーザーの裾野を著しく広げることが往々にしてあるのだ。
特に、スタートアップ企業など、大手企業とまともに戦わないほうが良い会社は、逆に「邪道」から、大手のマーケットを切り崩すのがセオリーなのかもしれない。
(2026/9/1更新)
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