a1180_01456426日の朝日新聞に、示唆に富んだ記事が出ていた。

 

(悩みのるつぼ)学生がひどく講義できません

意欲・興味をもっている受講生はよくて半分で、1割程度のことも。多くの学生は私語やスマホ、内職ばかりで、注意しても改善されません。

(中略)講師の目の前の席で化粧、イヤホン、居眠りも日常茶飯事。こういった妨害に負けず、感情的にならず、自分の仕事(講義)に集中するにはどうしたらよいのでしょうか。”

 

大学の講師をしている女性が、「授業を聞かない学生にイライラする」というものだ。

これに対して、岡田斗司夫氏が面白い回答をしている。

 

”私も大学の教員です。学生に聞くと、授業中にスマホや私語するのは「当然の権利」だそうです。

先生の講義を「やめろ」と言わない。だから先生が自分たちに「スマホや私語をやめろ」とは言うのは「不公平」。これが彼らの理路です。(中略)

入試をパスして授業料を払ったからには、大学側には学生を選ぶ「権利」はありません。教室に来た学生が講義を聴くも私語やスマホをするも、それは彼らの「行動選択の自由」なのです。

いまやほとんどの大学は大衆化しファミレスと同じになりました。ファミレスで料理に手を付けずしゃべってもスマホをしても、叱られません。ファミレスとは「そういう場所」だからです。

高級寿司(すし)屋や天ぷら屋では、食べずにしゃべる客はマナー違反で追い出されます。同様に大衆化しなかった高級大学では、そういうマナーを守る文化も学生も、まだ存在しています。(中略)

 

あなたが現状に不満なら、高級大学に転職するしかありません。学生が「教室内の行動は自由」という権利を行使するのと同じく、あなたに選べる権利行使は「マシな職場への転職」だからです。

でも、私は転職しません。あなたにも転職して欲しくはないです。

大学教育は、いまや総崩れの撤退戦。私たち教員は毎日の敗北から、やりがいや成果を摑(つか)むしかありません。

(中略)

私たち大学教員は、「名誉ある撤退戦」の真っ最中です。大学が大衆化し、学生が一人残らず「お客様」になっても、それは「教育の敗北」ではありません。

「お客様」な若者を一人でも多く「学生」に育てる。これをあきらめるのが「教育の敗北」です。私たちは「自分の戦い」に負けることになるんです。”

この中でもっとも重要なフレーズは、「お客様」な若者を一人でも多く「学生」に育てる。

ではないだろうか。

かつて私は数多くの企業内研修を行ったが、その時にも同じことを感じた。すなわち、「お客様は教育できない、生徒には教育できる」ということだ。

本質的に受講する時

「講師を試してやろう」

「オレよりデキる人にしか教わりたくない」

「知ってることばかりだ」

「すぐ役に立つことしか知りたくない」

と思っている人ほど、教育の効果は低い。いわゆる「お客様マインド」の人たちだ。

逆に

「何にでも興味がわく」

「知っていることからも新しい発見があるかもしれない」

「講師がどんな人であれ、学べることはあるはずだ」

と言う人にとっては、教育は効果が高く出る。それを、「生徒マインド」と呼ぶ。

「お客様マインド」で教育を受けることよりも、「生徒マインド」で教育を受けるほうが、遥かに身になることが多い。

所詮、企業における研修など、大した事は教えることが出来ない。内容そのものよりも、その人に「スイッチが入ったかどうか」のほうがはるかに重要なことだ。

そして、その場合において「費用対効果」は測定することが極めて難しい。そして、それでも構わない、と言う人にのみ、その恩恵がもたらされる。

「テストの点数」が目的でない教育は、受け手に「人間的成熟」を求めるのだ。

 

【安達が東京都主催のイベントに登壇します】

ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。


ウェビナーバナー

▶ お申し込みはこちら(東京都サイト)


こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい

<2025年7月14日実施予定>

投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは

借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。

【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである

2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる

3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください

(2025/6/2更新)