「うるさい!うるさい!うるさい!うるさいんじゃー!って目の前でちゃぶ台をひっくり返してやりたいわ。自分が名前と顔出しをするリスクも、子供たちをネットに出すリスクも、言われなくてもこっちは全部分かってやってんの!リスクを取ってチャレンジしてるの!ハンドメイドを仕事にして、売れるための覚悟を決めたからやっていること。毒舌ブロガーは黙ってろ!」
この激しい罵りは、6年前に知り合いだったハンドメイド作家の一人が、Facebookに投稿したものだ。
名前は出されなかったが、彼女の言う毒舌ブロガーが私を指しているのは明らかだった。
彼女はFacebook上で「友達」になった人だったけれど、東京のイベントで実際に顔を合わせたこともある。
初めて彼女と会った時、Facebookのプロフィール写真と目の前の彼女とがすぐに結びつかなかった。
そのくらい、写真から受ける印象と実際の彼女にはギャップがあったということだ。けれど、いちいち驚いてはいられない。
まるでAVのパケ写詐欺のようなことはキラキラ起業界でも蔓延しており、実物の容姿や雰囲気が写真の通りだったことなど一度もなかったのだから。
Facebookのアイコンになっている写真から、ほっそりとした体つきに笑顔の爽やかな女性を思い描いていた私は、加工無しの彼女の太さと野暮ったさに失望を禁じ得なかった。
Facebookで交わしたコメントのやり取りから、気配り上手な優しい人物を想像していたが、いざ対面で会話をしてみると、それも思い違いであると分かった。
後に気づいたことだが、ハンドメイド作家をしている主婦の中でも、Facebookとアメブロを主戦場に売れようと目論むタイプは、容姿が冴えず、リアルではコミュニケーション能力に問題のある人がほとんどだ。
器用な生き方のできない女たちは、その不器用さにつけ込まれて搾取されやすい。中途半端な野心や承認欲求を持て余していれば尚更だ。
「子育てをしながら在宅で仕事がしたい」
「趣味を活かして収入を得たい」
「商売を始めるからには、ちゃんと稼ぎたい」
そうした思いを抱え、しかし作品のクオリティーでは勝負できず、地道な努力も嫌う大半のハンドメイド作家たちは、売れたい思いが一途であればあるほど王道ではなく邪道を目指し、作家の道どころか人の道さえ踏み外していくことになる。
彼女たちは、キラキラ起業の高額セミナーで指南された通りに、Facebookを公開に設定し、毎日かかさず自撮りを投稿して、アメブロへのリンクを流していた。
いい年をした大人の素直とバカは同義語である。
子供の学校行事、家族で過ごす週末の予定、同居している義両親への不平不満、果ては夫婦喧嘩の内容や夫婦生活についてまで、疑うことを知らない者ほど自分と家族のプライベートを憚りなく公開してしまう。
作家の日常や人柄を知れば、ブログの読者が親しみを感じて作家個人のファンになり、どんな作品でも喜んで買ってくれるようになるという理屈だったが、私生活を公開したからといって、地味で凡庸な一般家庭の主婦にファンなどつくはずがなかった。
公開しようと非公開だろうと、誰の興味も引かない平凡な人生を送っているからこそ、彼女たちは凡庸なのだ。
インターネットに本名と顔写真を出すのはリスクを伴う行為だが、大人が自分自身をどうしようと、それは他人がとやかく口を挟む問題ではない。
しかし、キラキラ起業家を目指すハンドメイド作家たちは、家族という他者を巻き込んでプライバシーを切り売りしていたのだから、苦言を呈したくもなる。
文才があるわけでもない一般人がブログを書き始めても、誰も読みに来ないし、「いいね」もさっぱり集まらない。
しかし、魅力的でない無名の主婦でも、簡単に多くの「いいね」を集められる裏ワザがあった。まだ幼い我が子をネタにすることだ。
中でもウケがいいのは、思わず笑ってしまうような面白いエピソードと写真の投稿だった。
子供がふざけていたり、ちょっとした失敗をする姿は、大人から見ればいかにも微笑ましくて可愛らしい。
けれど子供にしてみれば、秘密にしておきたい恥ずかしい失敗や、親の前だからこそ安心して見せている姿を、全世界に向けて無断で公開されるのだからたまったものではない。それが実名と鮮明な顔写真付きであれば尚更だ。
キラキラ起業に取り組むハンドメイド作家たちが競うように投稿する子供ネタに、私の胸はざわついていた。
子供は親の所有物ではない。例え保護者であろうと子供の肖像権が本人以外に乱用されたり、勝手にプライバシーを公開されて良いはずがないのだ。犯罪に巻き込まれる懸念もある。
危惧を抱いた私は、そのころ書いていたハンドメイドブログに、「家族を安易にブログやSNSに登場させるべきではない。それは大きなリスクを伴う行為だ」と書いた。
すると、その記事を公開するやいなや返ってきたのが、冒頭の罵倒だったという訳だ。
その女性は、それまで私のブログのファンだと言ってくれ、投稿する記事には必ず「いいね!」を付けてくれていた。そんな彼女が見せた激しい反応に私はショックを受けたが、それ以上にショックだったのは、当時Facebook上で「友達」だった他のハンドメイド作家たちも、こぞって彼女の投稿に賛同のコメントを寄せたことだ。
その中には、リアルで親交のあった人たちも含まれていた。
「あの毒舌ブロガーの言うことは、私もおかしいと思っていた」
「だいたいあんなブログを書いている人の人間性ってどうかと思う」
「何様のつもりなんだろうね」
など、コメント欄は私への悪口で大いに盛り上がった。
さらに追い打ちをかけるように、「友達」だった他のキラキラ系ハンドメイド作家たちも、私への批判を立て続けに自身のSNSやブログに投稿し始めた。彼女たちは一人では何も言えないし行動もできないのだが、誰かの尻馬に乗れるとなると途端に調子づく。
次々に投稿される批判の数々を目の当たりにし、私の心は折れるどころか、むしろ
「舐めたらいかんぜよ!」
と、怒りがぶち上がってしまった。
当時からすでに「毒舌」と言われていたものの、それまでは交流のあった彼女たちに遠慮して、言いたいことの半分も言ってこなかったのだ。
けれど、そんな気遣いは無用であると彼女たちの方からわざわざ教えてくれたのだから、これからは思う存分ぶった斬ってやろうと心に決めた。
キラキラのお友達に配慮する必要がなくなった私は、その後は容赦なくセミナービジネスのカラクリを暴き、そんなものをありがたがって数十万〜数百万もの大金を溶かしていく女たちの愚かさを思うさまに嘲笑った。その結果、それまで2〜4万PVしかなかった私のブログは、10倍以上のPVを集めるほどに成長したのだ。
今の私があるのは、ひとえに私の激昂スイッチを押してくれた彼女たちのおかげだと、今では感謝している。
あの時、私に向けて「うるさい!」と投稿した女性は、それから2年ほどの月日を経たのち、唐突に「顔出しをやめます」宣言をして、一切の写真を引っ込め、プロフィール写真もイラストに変えてしまった。
ハンドメイド作家としても限界を感じたのか、別のビジネスに鞍替えしたようだ。
悪口大会に参加していた他の主婦たちも似たようなものだ。結局ハンドメイド作家として成功した者は一人も居らず、ほとんどはハンドメイドをやめており、残った一部の人はキラキラ起業コンサルになって、細々と活動を続けている。その残った人たちも、現在は夫や子供たちの写真をむやみに出すような真似はしていない。
「おうおう、おまんらの売れる覚悟とやらはどうしたんや?」
と、今さら嫌味を言おうとは思わない。最終的には、彼女たちもネットに家族丸ごとの個人情報を載せることの危険性に気がついたのか、当の家族や親族から苦情が出て、ストップがかかったのだろう。
つい先日、ある人気漫画家の娘が書いたブログが注目を集め、その漫画家が娘を虐待してきた毒親だと炎上している様子を目にした。
娘によれば、「母親のコミックエッセイのネタにされたことで子供時代にいじめに遭い、また個人情報が母親のSNSに投稿されたせいで、危険な目にも遭った」そうだ。
これまでに何度も「やめて欲しい」と頼んできたが聞き入れられず、その苦しみから自傷を繰り返し、精神を病んでしまったとも訴えていた。
私はその漫画家のファンで、これまで彼女の作品を楽しんできた。
彼女の著書や作品には結婚期間中の壮絶な苦悩も、シングルマザーとして懸命に働いてきた苦労も描かれているので、単純に娘の言い分だけを聞いて毒親だと糾弾する気にはなれない。
けれど、この母娘の問題がクローズアップされたことを機に、親が本人の同意なく子供の日常をコンテンツ化してしまうことの害については、誰もが一度立ち止まり、慎重に考えてみるべきではないかと思っている。
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システム開発やITコンサルティングを経て、
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現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。
岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
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【著者プロフィール】
マダムユキ
最高月間PV40万のブログ「Flat 9 〜マダムユキの部屋」管理人。
Twitter:@CrimsonSepia
Photo by Lisa Woakes














