頭と心の弱い人というものは、どうしてこうあかん方へあかん方へと流れていってしまうのだろう。
そして何故、あかん人というのは全く別のあかん人とよく似ているのだろうか。
私が人生で出会った人たちの中で、「あかん人グランプリ」1位2位3位の人たちは、容姿、性格、生い立ちに似通ったところはほとんどないのに、不思議なほど思考パターンと行動パターンがそっくりだった。
その「あかん人グランプリ」受賞者の3人は、私と同世代の女性達だ。
彼女達は思考パターンと行動パターンがよく似た結果、3人とも実によく似た「あかん人生」を歩んでいる。
結論から言ってしまえば、全員がスピリチュアルや陰謀論にどハマりしているのである。
知り合った頃には、3人ともスピや陰謀とは縁のない人たちだったのに、一体どうしてそうなった?
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仮に、ここでは栄えあるグランプリ1位をA子、2位をB恵、3位をC美としよう。
最近、とある陰謀論で有名な団体が、化粧品のTVコマーシャルを流していると知人から聞いて知った。以前から気になっていた団体だが、私はテレビをほとんど見ないため、実際にテレビで流れているCMを見ることはできない。
そこでネットを探してみたところ、該当団体がSNSにCMの動画を上げているのを見つけることができた。
ネットに投稿されていたのは、テレビで流されているのとは違う、愛用者のインタビューを交えたロングバージョンだ。
その動画を何気なく眺めていて、「ん?」と思った。商品の愛用者としてインタビューに答えている女性に、どうも見覚えがあるような気がしたのだ。
知り合った頃とはメイクが変わっているため印象は異なるが、顔の骨格はC美に見える。
「まさかな」と思いつつ見ていると、その女性が「化粧が厚かった過去の私」として画面に出したのが、まさに私の知っているC美だった。
その写真は、かつてインフルエンサーを目指していた彼女が、あるミセスコンテストに挑戦し、特別賞を受賞した時のものだ。
コンテストといっても、高額な参加費を払いさえすれば誰でも挑戦可能で、知名度も低い。だから賞をとったからといって世間に大きく注目されることはないし、人気が出ることもない。つまり彼女は、今も昔も無名の一般人のままだ。
その一般人のC美が、まるでタレント然として化粧品のCMに出演しているではないか。とはいえ、彼女の出演部分はテレビに映らないだろうが。
「いまどき背景の小道具にかすみ草と薔薇はねぇだろ。センスが昭和かよ!」
「『今の私は自然のままで居ることが大好き。ファンデーションは塗ってません』って、すっぴん風メイクがっつりしとるやないか!」
と細かいツッコミを心で入れつつ、超劣化版ドモホルンリンクルのようなCMを最後まで見た。
私はもう彼女と縁が切れているので、最近の動向を直接は知らない。けれど、友人知人を通じて噂は耳に入っていた。彼女は「イタイ人」として、地元ではそこそこの有名人なのである。
確か最近の彼女は、「高波動の美のミネラル」とかいうものにハマっていたんじゃなかったっけ?
奇跡のミネラル(だと本人は信じている)入りの水を飲み、食事にも粉末をドバドバふりかけていたと聞く。摂り過ぎはかえって体に悪そうだが、そうすることで体内が浄化され、肌はモチモチと弾力を増して美しくなり、さらには幸運まで引き寄せると信じていたらしい。
そのミネラルを使った美容法も実践していたらしいが、そんな人が全くミネラルと関係のない化粧品のCMに出ていていいのだろうか?
それとも、私には詐欺集団にしか見えなかった「古代の水と奇跡のミネラル」の製造と販売を手がけるグループからは、もう足抜けしたということなのか。
恐らく、大きく期待したほどの効果を得られず、宗旨替えをしたのであろう。
本人のSNSによると、昨年の後半にプライベートで不幸が続き、しばらく引きこもっていたそうだから。
*
スピリチュアルや謎アイテムにのめり込んでおきながら、思ったような現実が引き寄せられないと落胆する時、自らを顧みるのではなく、依存先の教祖やアイテムを変えるのがあかん人の行動パターンである。
それにしても、彼女が宣伝しているスキンケア商品は、まったくもって得体が知れない。自然由来成分とハーブを使った「自然派基礎化粧品」をうたっているが、具体的にどのような成分がどれだけ入っているのか説明がないのだ。
陰謀論を訴える団体が作った正体不明の化粧品なんて怖すぎて使う気になれないが、それにしてもC美のあかん人さ加減はいささか度を越しており、縁が切れているとはいえ心配になってくる。
こんな風に顔を出して宣伝した以上、このさきC美は陰謀論団体の広告塔とみなされてしまう。それが自身や家族にとってどれほどのダメージになるのか、本人がまるで理解していないことが恐ろしい。
C美は動画の中で、スピリチュアルアーティストを自称していた。表現活動として謎の舞踏を舞い、カードを用いて占い師の真似事もしているらしい。
それも又あかん人あるあるだ。
承認欲求が強いくせに地道な努力を嫌うあかん人は、大抵の場合クリエイティブな表現活動や趣味を仕事にして、世間に認めてもらいたがる。そのためアーティストやカメラマン、物作りの作家を肩書きにすることが多いのだ。
実際のところは、単に傲慢さや幼児性(自己中心的な言動)が周囲との軋轢を生んでいるに過ぎないのだが、彼女たちは「自分は特別に純粋で鋭い感性を持っているので周囲から浮いてしまい、そのために生きづらい」と解釈している。
何なら、「自分は宇宙から来た高次元の魂なので、一般人とは違っていて当たり前」だと大真面目に信じていたりもする。
なぜ彼女たちがそんな荒唐無稽な与太話を信じてしまうのかと言うと、バカ高い料金を払って運命を鑑定してもらった占い師やスピリチュアルカウンセラーに、そう吹き込まれているからだ。
あかん人というものは、若く性的魅力が高い頃には調子づいているものだが、年齢を重ねれば重ねるほど、次第に思うような人生を歩めなくなっていく。
けれど、彼女たちは己の魅力や能力に自信を持っているため、自分に問題があるとは決して考えない。
年相応に成熟することのない彼女たちは、人生につまずくたび
「こんなはずではない」
「世の中が間違っている」
「なぜ理解してもらえないのか」
と混乱し、助けと答えを求めてさまよった結果、スピリチュアルに辿り着く。
「あなたはアルクトゥルス星人なので、地球人とは上手くいかない運命なのです。宇宙から来た高次元の魂なのだから、低次元な地球では生きづらくて当たり前。
それでも、あなたには宇宙の法則とこの世の真実を多くの人に伝える使命があります。大いなる使命を背負っているからこそ、この時代の地球に生まれてきたのですよ。
感覚を研ぎ澄ませて自分自身と深くつながれば、ハイヤーセルフがあなたを導いてくれるでしょう」
カウンセラーや占い師にそう言われて救われた気持ちになったあかん人たちは、「私も、かつての私のように迷える人の助けになりたい」と考える。そして付け焼き刃の知識と見よう見まねで、占いやカウンセリングを始めるのがお決まりのパターンだ。
しかし、あかん人は多くの場合、アーティストとして評価されず、カウンセラーや占い師としても人気が出ない。
そりゃそうだろう。美術にせよ音楽にせよ舞踏にせよ、彼女たちは基礎ができていない上に厳しい修練を嫌うので、表現者として一流になれるはずがない。
さらにカウンセラーや占い師に必要なのは、霊的な能力ではなく、傾聴力と観察眼と会話術。要するに、高いコミュニケーション能力なのだ。
それがなければ顧客から信用と代金を得るのは難しいが、それこそいつなんどきも自分のことしか考えていないあかん人たちが最も苦手とすることだろう。
結局のところ、スピリチュアルの世界に飛び込んだところで、あかん人は思い通りの人生を歩めるわけではないのである。
それでも彼女たちは生き方を変えられない。怪しげな人物やアイテムに心酔し、思うような結果を得られなくても、次なる「気づき」「真実」「引き寄せ」を求めて、「それはあかんやろ」というものを渡り歩いていく。
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今のC美は、スピリチュアルに飽き足らず、陰謀論にもハマっているということだろうか。
その団体は化粧品だけでなく、高額な健康機器も販売している。
あかん人生を送っている彼女に金銭的な余裕はないはずだが、ぼったくり価格の商品を次々に買わされていないだろうか。
もしそうだとしたら被害者なのだが、こうしてCMに出演し、インチキ商品の宣伝をしている時点で、彼女はすでに陰謀論集団のビジネスに加担してしまっている。
もし今後その団体が世間の耳目を集めるような問題を起こせば、C美も加害者側の人間として糾弾の対象になるだろう。
「C美が本当の意味で目覚めることを祈っている」なんて、偽善的なことを私は言えない。
これまでの経験から、ここまでのあかん人が現実に目覚めることはまず無いと知っているから。
ただ、彼女が自分でも無自覚なうちに、犯罪の道に引き込まれることだけはないようにと、願わずにいられないのである。
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(2025/5/12更新)
【著者プロフィール】
マダムユキ
最高月間PV40万のブログ「Flat 9 〜マダムユキの部屋」管理人。
Twitter:@flat9_yuki
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