2月1日に、新NISAで話題の投資信託「オルカン」の運用元である、三菱UFJアセットマネジメント社主催で、対談セミナーをやります。(お申し込みはこちら)
お相手は元国税調査官の小林義崇さん。
「元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者」という本を書かれており、富裕層の実態に非常に詳しいという事で、個人的にも話が聞けることを楽しみにしています。
さて、そんな具合ですから、最近、お金に関して考える時間を改めて取りました。
もちろん、私は会社を2つやっているので、資金繰りや利益のことを考えない日はありません。
社員のためにも、利害関係者たちのためにも、会社がお金儲けをすることは非常に重要だと思っています。
しかし、そうした「企業人として」のお金儲けとは別に、最近よく考えるのが「金儲け」の本質です。
子供のころ、親は「お金」についてほとんど教えてくれなかった
父は私が子供のころ、会社をやっていました。
といっても、個人事業主に毛の生えたようなもので、家族経営の小さな会社でした。
ですから、「(給料をもらうのではなく)お金を稼ぐ」と言う行為は、会社員の家庭よりもより切実だったと思います。
父が外に出て稼ぐ一方で母は経理を勤めており、PCの無かった時代ですから、手書き帳簿とにらめっこしていました。
また、税務調査とか、税理士さんが家に来る、とか、そうした会社のお金がらみのイベントがたびたび話題になっていました。
しかし、私の記憶にある限り、両親は子供に「商売の中身」を教えてくれることはなかったのです。
いくら稼いでいるのか、儲かっているのか、取引先との関係はどうなのか、私が子供のころだけではなく、成人してからも、今まで家族の中でそう言ったことはほとんど話題になりませんでした。
学校では「お金」は欲の象徴として扱われていた
また、学校でも「お金」について教わることはほとんどありませんでした。
もちろん、「経済」や「税金」については習いました。
しかし
「どうしたらお金を稼げるか」
「どうしたらお金を増やせるのか」
「企業とは何か」
といった、現代社会における重要な情報、つまり「金儲け」について教わることは、皆無でした。
むしろ、趨勢としては「子供にお金の話をするのはよくない」だったと感じます。
しかしそれならそれで、「なぜダメなのか」について話があってもいいはずですが、そうはなっていない。
全体的には「お金」は強欲の象徴として、不当に貶められていたような気がします。
例えば、森鴎外の山椒大夫と言う話が、かつて教科書に掲載されていましたが、多くの話で「長者」というのは、大抵ろくでなしとして扱われていました。
また、小学校の道徳の教科書でも下のように「金をもらわないで治療をした医師」が美談となっています。
企業の力が強くなり「金儲け」は「社会への貢献」に変わった。
しかし大人になり、働くようになるとその考え方は大きく変化しました。
最初にそれを感じたのは、2000年頃の、就職活動です。
知人の中に、金融機関ばかり受けている人がいたので、聞いてみました。
「なんで金融機関ばかり受けてるの?」と。
「給料がいいから」と、彼は答えました。
わたしは当時「金儲け」について、まだよい印象を持っていなかったので、彼に言いました。
「給料だけで会社を決めるの?」と。
すると彼は、こう答えました。
「もちろん違うけど、儲けて給料の高い会社は、それだけ世の中に貢献しているという事だから。」
これは、私にとって、目からうろこの発想でした。
「儲けること」と「社会への貢献」が、彼の中では同一だったのです。
その後、私はコンサルティング会社に就職しました。
そして、ほとんどどの会社に訪問しても、知人と同じく
「儲けることは正しい」
「儲けることで社会貢献できる」
「儲けることが社会の役に立つこと」
と考える人々が主流でした。
実は、ピーター・ドラッカーは、著作「現代の経営」「企業とは何か」の中で、次のように述べています。
・今日の社会は、組織や技術などを含め、企業そのものによって規定される社会
・企業の目的は利潤ではなく、社会での役割を果たすこと。ただし役割を果たすためには儲けることが必須
つまり、良くも悪くも企業が「商売」の域を超え、「世の中に必須の機関」となるくらい、役割が増えた。
そして金儲けは「欲望の象徴」から「社会への貢献」に変わったのです。
お金の取り扱いは必須の教養となった
しかし企業の役割が増大する一方で、学校では政治については詳しく教えますが、企業活動についてはほとんど教えることはありません。
これは「商売」が、単なる利益追求であった時代の名残だと思うのですが、世の中の大半の人が政治家や公務員ではなく「企業人」として社会に貢献する現代では、逆にこれはいびつです。
現代では、「民主主義」について知らなければならないのとと同じくらい、「金儲け」に対して興味を持たねばなりません。
「お金を儲ける」ことを一段低く見るような誤解や、(かつて私が抱いていたような)企業活動に対するいわれのない嫌悪を、きちんとした教育で解消していくことが、不振にあえぐ日本をよみがえらせる一つの方法であるように感じます。
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【著者プロフィール】
安達裕哉
元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。
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