人生は一回だけ、このあまりにも有名なフレーズを何回聞いたことだろうか。
10代も、20代も、何歳であっても、その歳は一回だけだ。一度終わってしまえば、二度と体験することは出来ない。
しかし通常、人は10代や20代と若い時には、「人生は一回」ということを強く意識することはない。
人生はまだまだ長く、終わるなどとは想像すらできない。
しかし、60年、70年と生きるうちに、多くの人は「後悔」することになる。
「後悔しない、充実した人生を送ってきた。」と言い切れる人は、ごく一握りの幸運な人々ということになる。
では、「後悔する人」と、「後悔しない人」のちがいは何だろうか。
人によって様々な回答があるだろう。しかし、私は、「死ぬ」ということについて、深く考えたことがあるかどうかのちがいだと思う。
これについては、故スティーブ・ジョブスがスタンフォード大学の卒業式で述べた言葉が最もわかりやすいだろう。
”自分はまもなく死ぬという認識が、重大な決断を下すときに一番役立つのです。なぜなら、永遠の希望やプライド、失敗する不安…これらはほとんどすべて、死の前には何の意味もなさなくなるからです。
本当に大切なことしか残らない。自分は死ぬのだと思い出すことが、敗北する不安にとらわれない最良の方法です。我々はみんな最初から裸です。自分の心に従わない理由はないのです。
(中略)
あなた方の時間は限られています。だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。ドグマにとらわれてはいけない。それは他人の考えに従って生きることと同じです。
他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです。”(引用:日本経済新聞)
この言葉は、がんの宣告をうけた彼だからこそ、言える言葉かもしれない。通常、「死」は老人以外の人々にとっては、「まだ遠い」と認識するものである。
だが、「死」に直面したことのある人ならだれでも知る通り、人間はすぐに年老い、病に倒れ、死ぬ。
「人生に時間はあまり残されていない」と思っているだろうか?
そう思うならば、今すぐ「本当に大切なこと」だけをするほうが良い。「他人の考えに溺れている」ヒマはない。
それが、「人生は一度だけ」という言葉の意味を本当に理解している人の行動だ。
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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)
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