「センスないですね」
と言われたことはあるだろうか。
例えば、
「服のセンスがない」
「日本語のセンスがない」
「料理の盛り付けセンスがない」
「資料のセンスがない」
といった具合だ。
私もセンスのなさには自覚があるが「センスがない」と言われて傷つく人も多いようだ。
例えば、ちょっと前に、おじさんの服装センスについて、ずいぶんと盛り上がっていた。
地方の田舎のイオンモールでよく見かけるこういう格好の人本当に嫌い pic.twitter.com/SepxKNsxoD
— ✹✹☆ (@a_rin_ur) June 7, 2026
おじさんが特に「ダサい」と言われることに対して、
「そういうふうにおじさんを馬鹿にするの良くない」
という人がいたり、
「こうしたらいいんじゃないか」
というアドバイスをしたりする人もいて、なかなかカオスだった。
そして、これに対して、面白い見解が流れてきた。
「イオンモールおじさんコーデ」が嫌われる理由を調べたら、2013年の女子ウケ最適解だった話
もしそれが今になって“清潔感がない”とされるのだとしたら、問われるべきなのは個人の美意識だけではなく、10年単位で「普通」を作り替えてきたファッション業界の側なのかもしれない。少なくとも、当時のファッション誌は彼らに合格点をつけていた。
今は「ダサい」と言われる服装は、かつての「正解」だったというのだ。
では、なぜ「正解」がダサくなったか。
その理由は、「差別化できていないから」
お洒落は差異化・差別化。ファッション業界はわかりやすいアイテムを売り出した。差別化競争が始まったのだ。
なるほど、と思う。
簡単に言えば、みんなが同じカッコをしたら、そのカッコは「ダサく」なる。
同じことをしたら、その活動は「ダサく」なる。
ゆえに、センスがない、というわけだ。
実際、立命館大学の千葉雅也は、著作「センスの哲学」の中で、センスについて、次のような定義を行っている。
では、全芸術と生活において、面白いと言えるような並び =リズムとは何なのか。それがわかること、それを作り出せることが、センスの「良さ」であるわけです。
「リズムが面白いとはどういうことでしょうか。 基本は、反復があって差異があること、です。同じことですが、言い換えると、規則があって逸脱があること、です。差異 =逸脱に「あれっ」と反応するわけです。」
服装には「定番」があり、それに対して、差別化たる「逸脱」があると、センスがあるように見えるということだろう。
確かに、能楽の始祖、世阿弥は「面白さは珍しさから生まれる」と述べている。
珍しさとはすなわち、差別化だ。
だから、差別化できる力が、センス、というわけだ。
したがって、
「差別化できていない格好をしているおじさん」
は、センスがない、ダサい、というのは、的を射ているのかもしれない。
センスがあるということは「差別化できる」ということ。
スポートなどをやるとき、
「サッカーのセンスがある」
と言われたら、「他のプレイヤーと差別化できる能力」をイメージすればよい。
ただ、一つ疑問が残った。
「センス」は身につくのか?
それは「センスがない人」救いはあるのか、身につくのかという話だ。
ただ、これは明確に答えがある。
結論としては、時間をかければ、誰でもおそらく「ある程度は身につく」。
これについては、一度過去に触れている。
例えば、ゲーム会社の経営者が「センスは伸びる」と言い切っている。
僕がずっと誤解してたのは、行動力とか営業力のほうが伸びると思っていましたが、実はセンスのほうが伸びるんですよ。だから、行動力が高い人を採用するようにしたんです。
(中略)
センスというのは、いろんな過去の経験からいろんなパターンを蓄積していって、年齢を重ねれば重ねるほどにそのパターンの中から適当にピックアップするが上手くなることなんです。
だから、若い人にセンスの高い人があまりいないのは、経験がないからですね。
センスが伸びるのは結局、「パターンの蓄積」によって、「定番」を学習できるから。
定番を知れば、何を、どこを逸脱して、差別化すればよいかを判別できるようになるからだ。
例えば、日本語のセンスを鍛えるには、そこから「逸脱」を画策できるようになれるくらい、日本語をたくさん読み書きし、「定番」を身につける必要がある。
資料がダサいのは、資料をたくさん見て、作って、「定番」を身につけてないからだ。
「ここをあえて崩しました」と言えるようになるためには、パターンへの深い洞察が必要となる。
*
こう考えていくと、他のセンスに比べて「服装のセンス」が問題になりやすいのはなぜなのかも、よくわかる。
それは「意図せず、他者の評価の対象になってしまう」からだ。
上のイオンモールの事例のように。
意図的に提出するもの、たとえばデザインや文章、スポーツ競技などであれば、それは本人も「評価の対象」となっていることが明確にわかる。
であれば、
・センスのある/なし
と言われることについて、「意図しない外部評価」はあまり発生しない。
が、「服装」はそうではない。
「着るもの」について、差別化など考えたこともなく、「失礼にならなければどうでもいいです」程度の認識しかもっていない人も多い。
あるいは、時間をかけたくない、と思っている人のほうが圧倒的に多いだろう。
であるがゆえに、頓着がない人は「普通の」格好をするために、センスを身につけるのではなく、
皆と同じような、
「とりあえず店が勧めたもの」
「とりあえず雑誌に載っていたもの」
「とりあえずみんなが来ているものと同じもの」
を採択する。
ただし、それは実は「ダサい」の本質である。
ただ、面と向かって「ダサい」と言われると、それはそれで、「そんな形で、突然評価されるとは思っていなかった」という反発につながる。
というわけで、「服装なんてどうでもいいと思っている人」と、「ダサい服装が気になる人」の争いは終わらない。
センスのない人に、救いはあるのか。
「ダサい」と思われたくなければ、服装について学習すればよい。
そして、周囲との差別化を図ること。
まあ、「ダサいよね」と言われることが気にならない人のほうが圧倒的に多いのかもしれないが。
著書が92万部を突破しても、会社の成果につながるとは限りません。著者個人の知名度と、会社の事業成果は同じように生まれるのか——安達裕哉が自身の出版経験をもとに語るウェビナーを開催します。

📌 このウェビナーでお伝えする内容
✓ ベストセラーの刊行によって、著者本人にどのような変化や機会が生まれたのか
✓ 著者個人の知名度や信用が、会社の認知・採用・問い合わせ・商談へどう波及したのか
✓ 商業出版と企業出版では、目的・読者・活用方法・成果指標がどう異なるのか
✓ ベストセラーを目指さなくても、本を営業・顧客教育・信用形成・採用に活用する方法
✓ 自社が本を持つなら、誰の、どの意思決定を動かすために、何を書くべきか
✓ 一冊の本を、Web記事、メルマガ、ウェビナー、営業活動へ展開する考え方
【対象】
BtoB企業の経営者・経営幹部・事業責任者/営業・マーケティング・広報・採用の責任者/自社の専門性や強みを顧客にうまく伝えられていない方/企業出版に関心はあるものの目的や費用対効果を判断できていない方
梶田洋平氏の著書『1冊の本で売上をアップする!BtoB事業者のための企業出版戦略とケーススタディー』
+「企業出版・目的設計チェックシート」をプレゼント
セミナー名:92万部のベストセラーは、会社に何をもたらしたのか?
開催日時:2026年8月27日(木)11:00-12:00
配信形式:オンライン(Zoomウェビナー)
参加費:無料
共催:ティネクト株式会社、ラーニングス株式会社
お申込み・詳細
こちらのウェビナー詳細ページ をご覧ください。
(2026/8/3更新)
【著者プロフィール】
安達裕哉
生成AI活用支援のワークワンダースCEO(https://workwonders.jp)|元Deloitteのコンサルタント|オウンドメディア支援のティネクト代表(http://tinect.jp)|著書「頭のいい人が話す前に考えていること」92万部(https://amzn.to/49Tivyi)|
◯Twitter:安達裕哉
◯Facebook:安達裕哉
◯note:(生成AI時代の「ライターとマーケティング」の、実践的教科書)
〇まぐまぐ:実務で使える、生成AI導入の教科書
Photo:














