東洋経済が、「有給休暇をしっかり取れる会社」をピックアップしている。

「有給休暇をしっかり取れる」トップ200社

今回は「有給休暇がしっかり取れる」トップ200社のランキングを紹介しよう。東洋経済から発売中の『就職四季報2016年版』(総合版、女子版、優良・中堅企業版の3種類を刊行)に掲載されている、個別企業ごとの有休消化日数を基に算出した。

(東洋経済Online)

有給消化の日数を比較したデータのようだが、予想通りインフラ系や電機などの安定性の高い企業が並んでいるそうだ。

ランキング上位を見ると、鉄道や石油などのインフラ系企業、電機や自動車といったメーカー系が多い。3年後離職率と同様、事業の安定感がバツグンで有休消化の「余裕」もあるのだろう。また、NTTグループは持ち株会社の日本電信電話を含め、全般的に有休消化日数が高いのも特徴的だ。

こういった「休みがしっかり取れる会社」のランキングは有用で、就職活動の参考にもなると思う。「採用難」が続く中で、企業側の一つのアピールポイントにもなりそうだ。ただ、この話には別の側面もある。

 

 

私は数年前の年末、ある会社に訪問した。その会社は情報・通信業ではあったが、比較的自由な社風により、休みは取りやすかったようだ。私は年末の挨拶のために訪問したのだが、有給休暇を年末年始の休暇とつなげて、20日過ぎから既に休みにはいっている人もいた。

懇意にしている担当者に来年の計画を確認した後、なんとなく休暇の話となった。彼は社内では一目置かれているリーダーであった。

 

私 「もうすっかり、年末ですね。かなりの方が、もう休みにはいっているんですか?」

「そうですね、結構休暇にはいっている人もいます。有給とつなげて、海外に行っている人も結構いますよ。」

私 「結構皆さん、積極的に有給を使っていらっしゃって、羨ましいですね。」

「そうですね…。でも、私は有給なんて要らないですよ。働きたいですし。」

私 「?」

「だってそうでしょう。能力や能率が同じくらいなら、働く時間を長くしたほうが成果が出る。私は凡人ですからね。時間をかけるしか無い…というより、「能率」をあげるためにどうしても長く考えざるをえない。そうやって、どんどん単純な仕事は効率化して、クリエイティブな方に頭を使う。」

私 「…」

「休みだ何だ、って言っているやつほど、能率も悪いんですよ。仕事を工夫するのは、時間がかかりますから。私は同僚が休んでいる間に働いて、差をつけます。」

私 「なるほど」

「ま、休みたい奴は休めばいいんですよ。私も皆に休まず働け、って言ったことはないです。強制するもんじゃありません。」

私 「実際、差がつくもんなんですか?」

「どうでしょうかね。でも、お客さんはレスポンスが早いほうが喜びますし、この前の大型受注は年末にマメに客先に通ったから取れました。皆が休んでいる時に働くと、目立つんですよ。他社も出し抜けますしね。この前、お客さんのシステムがトラブルになった時、一番最初に私が駆けつけました。そういうことの積み重ねで、信用してもらってますよ。」

私 「なるほど、競争が厳しいですね。」

「当たり前でしょう。皆と違うことをしないと、勝てませんよ。」

私 「皆が、それを見て有給を取らなくなったら困りません?」

そりゃ困ります。でも、そんな根性のあるやつ、ほとんどいないですよ。イヤイヤ休みを返上しても、能率は上がらないですから。イヤイヤ来るくらいだったら、休んだほうがマシですわ。

私 「…」

「私は出世したいですからね。出世すれば、給料も上がるし、好きなこともできる。」

私 「残業もいとわない?」

私ですか?残業はしません。残業は会社に迷惑かけるんでね。仕事は家や、退社してから外でやります。出来ないやつほど、ダラダラ残業して残業代稼いでますよ。」

私 「ふーむ。」

「まあ、会社にぶら下がってる奴にはわからないでしょうね。考え方が違う、っていうか。」

 

 

彼はその後、彼の言っていたとおり出世し、課長となった。最年少の課長だった。率いていた部署は大きくなり、「会社の稼ぎ頭」となったそうだ。

彼は今でも言う。「休みたい奴は休めばいいんですよ。でも、凡人が人と同じことをやっても、成果は出ない。」

 

 

世の中には、「人が休んでいる時こそ、働きたい」という人が存在することもまた事実である。

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第6回 地方創生×事業再生

再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは

【日時】 2025年7月30日(水曜日)19:00–21:00
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。

【今回のトーク概要】
  • 0. オープニング(5分)
    自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
  • 1. 事業再生の現場から(20分)
    保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
  • 2. 地方創生と事業再生(10分)
    再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
  • 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
    経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
  • 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
    「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
  • 5. 経営企画の三原則(5分)
    数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
  • 6. まとめ(5分)
    経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”

【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。

【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
ご視聴登録は こちらのリンク からお願いします。

(2025/7/14更新)

 

筆者Facebookアカウント https://www.facebook.com/yuya.adachi.58 (最新記事をフォローできます)