「仕事を予定の時間までに仕上げる」ということは、それだけでも重要な仕事のスキルだ。
「思っていたよりも早く仕事が終わる」ことは殆どないが、「思っていたよりもはるかに時間がかかった」は、日常茶飯事だから、どうしたら納期通り仕事を仕上げられるか、ということに皆、心を砕く。
今日はそれに関してもう少し突っ込んで書いてみたい。
少し前に尊敬する上司に教えてもらった、「仕事を任されたら何をすべきか」8箇条という記事を書き、「納期通り仕事を仕上げる」ための最重要の条件を紹介した。
だが、この話には少し続きがある。
3番目の条件「仕事を分割せよ」についてだ。
実は、「仕事の分割」は、それなりに難しい。細かく分割すればよい、というものでもないし、どこにも分割の指針が無いからだ。
実際には、どのように分割するのが正しいのだろう。
実は、私が教わった分割の指針は非常にシンプルである。以下の3つに分類し、管理する。
1.時間さえかければ必ず終了する仕事
エクセルへの打ち込みや、リストの収集、資料の用意、グラフの作成など、「機械的に手を動かせば必ず終わる仕事」を最初に抽出する。この仕事は基本的に「時間が読める」ので、他の予定を狂わせることが殆ど無い。
また、集中力が今ひとつな時でも気楽に進めることが出来る仕事であり、エクセルのグラフ作成などは、マクロを少し工夫することで劇的に作業時間を短縮できたりする。要は「処理」や「簡単な仕事」と呼べる仕事である。
2.時間をかけたからといって成果が出るわけではない仕事
企画作成、キャッチコピーの作成、文章の作成、デザイン、提案など、「創意工夫」が必要とされる仕事だ。1.の仕事と異なり、一般的にこれらの仕事は「量」ではなく、「質」で評価がなされる。
難しいのはこれらの仕事がどの程度の時間を要するか、ということだ。極端な話、「自分が納得行くまで」やれば、いくらでも時間をかけることが出来てしまう。この種の仕事は進捗管理が非常に難しい。「まだまだ時間がかかる」と思っていても、一瞬のひらめきでよいものが出来てしまったり、「カンタンだ」と思っていてもいざ作ってみると「全然ダメ」であったりと、全く読めない。
だから、一般的にこのような仕事はバッファー(余裕)を大きくとっておく。最初はそうするしか無い。
ただ、「仕事のできる人」はこれで終わらせない。できる人は2.の仕事を出来るだけ後日のために1.にしようと自分なりの法則を創る。作業過程を記録に残し、自分なりに条件を洗い出し、作業シートを創る。
次に同じ仕事を頼まれた時、2.の仕事をできるだけ圧縮し、1.にしておけば、納期はより短く、正確に読めるようになる。
3.人に協力してもらわないと進まない仕事
2.よりもある意味厄介なのが、この仕事だ。上司に決済をもらったり、承認を得たりしないと進められない仕事が必ず存在する。例えば自社のwebサイトを作る時、大抵の場合「商品紹介」のページは自分だけでは作れない。
他部署のそれなりの人に頼んで作ってもらわなければならないし、出来た文言を権限のある人にレビューしてもらう必要もあるかもしれない。時には依頼すべき相手が長期出張で不在だったり、忙しすぎてこっちの納期を全く守らない、ということもあり得る。
だから、この手の仕事は「協力者」のスケジュールをできるだけ速く抑えられるかどうかが鍵になる。「政治的に」動かなくてはいけないシーンも数多くあり、1.や2.の仕事とは区別して扱う必要がある。
以上の3つに仕事を分割することで、格段に納期を守る可能性が上がる。例えば、
・2にできるだけ時間を割くために、1を効率化し、3の仕事は早めに依頼を出しながら動く。
・スキマ時間があったら1.に時間を使い、2.に集中して取り組めるようにまる1日空ける。
・1.の仕事はできるだけ人に依頼し、2に取り組む
・3.の仕事だけ予め全てスケジュールを関係者に投げておく
など、効率的に時間を使うことが可能だ。ご参考としていただければ幸いである。
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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)
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