起業家には様々なタイプがおり、一言でまとめて語れるようなものではない。それゆえ私は、「起業家にはこんな人が向いている」という話はできるだけしないようにしていた。
だが、様々な起業家の方にお会いする中で、最近では1つだけ、判断の軸があるのではないかという思いが強くなってきた。
といっても、
「感情的か、論理的か」
「温かい人物か、冷酷な人物か」
といった、性格的な問題に違いがあるわけではない。それは、物事への接し方が多少変わるだけで、成果には些細な影響を与えるにすぎない。
また、
「考えてから行動するタイプか、行動してから考えるタイプか」
「大胆か、慎重か」
といった、行動の特性に関する違いでもない。それは、達成しようとする目標までの道筋のたどり方が異なる、というだけにすぎない。
では、もっと大きな「起業家への向き不向き」は何によって規定されるのだろうか。
私の観察では、成果の大小に対して最も大きな影響を与え、かつその組織に集まる人々の行動に大きな影響を与えるのは、起業家の性格でもなく、行動特性でもなく、「行動原理」にあると考える。
自分ではなかなかうまく言語化できなかったが、歴史文学で有名な塩野七生氏は、「行動原理」をうまく説明していた。
氏は、「行動原理」には次の2種類あるとする。すなわち、「虚栄心」と、「野心」である。
この2軸をとった時、人間は大きく2種類に分かれる。
1.「虚栄心>野心 である人物」
2.「野心>虚栄心 である人物」
もちろん、あらゆる人物が虚栄心と野心の両方を持ち合わせる。だが、その大小、バランスは様々である。
「虚栄心」と、「野心」のちがいについて、著作の中でこう述べる。
虚栄心とは、他者からよく思われたいという心情であり、野心とは、何かをやり遂げたいという意思であると思っている。他者からよく思われたい人には権力は不可欠ではないが、何かをやり遂げたいという人には、権力は、ないしはそれをやるに必要な力は不可欠である。
そして、「困った起業家」は、虚栄心が野心に勝ってしまう起業家だ。
「嫌われたくない」と、社員の顔色をうかがい、「もっと賞賛されたい」と、様々な会社以外の会合、団体に顔を出し、「名士」としての活動を欲する。
会社の為すべきことよりも、会社の体裁を重んじた結果、ろくでもない事業に手を出し、経営を悪化させてしまう。
そのような起業家は、概して話の中身が自慢話ばかりであって、事業も体裁の良さそうなものばかりである。また、ちょっと会社が成功してしまうと、「これでいいや」と、成長を志向せず、現状を必死に維持しようとする。
これでは会社は立ち行かない。
良い起業家というのは、「良い悪い」の判断の軸が、常に自身が持つ目標や、成し遂げたいことの中にある。
今ひとつの起業家は、「良い悪い」の判断の軸が、他者の中にある。
この違いは大きい。
(2025/5/8更新)
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松原 亮 氏(株式会社TOKIUM 取締役)
東京大学経済学部卒業後、ドイツ証券に入社し投資銀行業務に従事。
2020年に株式会社TOKIUMに参画し、当時新規事業だった請求書受領クラウド「TOKIUMインボイス」の立ち上げを担当。
2021年にはビジネス本部長、2022年より取締役に就任し、経費精算・請求書処理といったバックオフィスDX領域を牽引。
業務効率化・ペーパーレス化の分野で多くの企業の課題解決に携わってきた実績を持つ。
安達 裕哉 氏(ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO)
Deloitteで大手企業向けの業務改善コンサルティングに従事した後、監査法人トーマツにて中小企業向け支援部門を立ち上げ、
大阪・東京両支社で支社長を歴任。2013年にティネクト株式会社を設立し、ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年には生成AIに特化した新会社「ワークワンダース株式会社」を設立。生成AI導入支援・生成AI活用研修・AIメディア制作などを展開。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計71万部を突破し、2023年・2024年と2年連続でビジネス書年間1位(トーハン/日販調べ)を記録。
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