仕事において能力の成長を求める人は多い。
仕事ができるようになり稼ぎたい、という実利的なこともあるのだが、能力の向上はゲームと同じで、それそのものが楽しいと感じる人も多いだろう。
「今までできなかったことができるようになる」感覚は、たしかに魅力的だ。
しかし「どうしたら成長するか」については、我々はそれほど多くを知っているわけではない。
私は「新人がなかなか成長しない」との顧客からの相談をうけ、なにかヒントになることはないかと「成長はどうしたら起きるか」と某企業で人事をしている知人に相談したことがある。
「そうですね…いろいろな意見があると思いますが、うちでは、明確に傾向があります。」
「どういうことでしょう?」
「新人の成長の度合いとはっきりとした相関がある値があるんです。」
「面白いですね…」
「そうでしょう、何だと思いますか?」
「新人研修の成績ですか?」
「残念ながらちがいます。新人研修の成績と、その後の若手の成長とは何の関係もありませんでした。」
「うーむ。所属部門の業績ですか?」
「相関が存在するときもあるのですが、それについてはまだはっきりとした事は言えません。所属部門の業績が悪くても成長する新人はたくさんいます。」
「…全くわかりません。部門長の人柄とか、性格などでしょうか?」
かれは少し笑っていった。
「まあ、本質はそうなのかもしれませんが、部門長の人柄や性格は、数値ではなかなか表せないので、今の回答としては不適切ですね」
「そりゃそうですね。」私は慌てて訂正した。
私は悩んだ。
「もう降参ですか?答えを教えましょうか。」
「すいません、ギブアップです」
そして彼は言った。
「新人の成長の度合いと最も相関があった値は、「最初についた先輩との対話の時間量」ですよ。話の量が多ければ新人の成長率は高く、話の量が少ないほど新人の成長率は低かった。」
私は言った。「そんな単純なことなんですか。」
「我々は、なぜこのような現象が起きるのか、現場をあたってみました。そうすると、ほとんどの「対話量の多い先輩」は「対話量の少ない先輩」がやらないことをやっている。」
「それは何なのですか?」
「そうですね、どちらの先輩も後輩が何かをした時に評価は同じようにするんですね。後輩に対しこれは良い、これはダメ、と言った具合です。」
「普通ですね。」
「そうです、ところが対話量の多い先輩はもう少し先があります。彼らは、ある程度後輩を教えると、こんどは自分自身も後輩から自分の働きぶりについて感想をもらうんですね。」
「どういうことでしょう?」
「つまり、先輩も後輩から学んでいる、ということです。そのため、先輩が後輩と話をした時間が「対話量の多い、良い先輩」と「対話量の少ない、ダメな先輩」では圧倒的に違うんです。倍くらいは違うという結果だったと思います。」
「なるほど…。面白いですね。」
「もちろん先輩は後輩と単にたくさん話せば良い、という話ではありません。良い先輩の本質は彼ら自身が学ぶ姿勢も含め、後輩に教えている、ということです。」
「学ぶ姿勢を教える…。なかなかできることではないですね。」
「そうです。「先輩とよく話した」という新人からその中身を聞くと多くの人から「先輩のやり方に意見をもとめられた」というのです。これが、うちの会社だけの話なのか、それともあらゆる企業に一般的な話なのかはわかりませんが、とにかくウチではわかりやすい結果となりました。」
ここで、ひとつの疑問が浮かんだ。私は彼に聞いた。
「対話量が少ないのは、後輩が嫌なやつで、先輩が教えたくならないから、ということは無かったですか?」
彼は言った。
「数例だけありましたが、ほとんどの新人は素直だったという報告を先輩方からもらっています。」
キャリアの最初に良い先輩につけるかどうかは、重要な分水嶺だ。新人の配置には、くれぐれ用心しなければならない。
生成AIを活用したビジネス文書作成の最前線を学べるウェビナー開催!

トップコピーライター直伝!「使えるビジネス文書」を出力するプロンプト講座
・生産性を爆上げするプロンプティングの技術
・ビジネス文書の多様な活用例(コピーライティング・記事・提案書など)
・ビジネス文書AIライティングツール「AUTOMAGIC」の活用事例とデモ
<2025年4月4日実施予定>
トップコピーライターが教える!生成AIで「使える」ビジネス文書を作る技術
生成AIは単なる補助ツールではなく、適切な指示(プロンプティング)次第で生産性を大幅に向上させる強力なツールとなります。本セミナーでは、コピーライターとして数々のヒットコピーを生み出した梅田悟司が、プロンプト作成の基礎と実践例を解説します。
【内容】
1. 生産性を爆上げするプロンプティングの技術
2. ビジネス文書の多様な活用例(コピーライティング・記事制作・提案書・メールなど)
3. ビジネス文書AIライティングツール「AUTOMAGIC」の活用事例と操作デモンストレーション
4. まとめ & Q&A
【登壇者】
梅田悟司
コピーライター / ワークワンダース株式会社 取締役CPO(Chief Prompt Officer)
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 教授
代表作:ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」ほか
著書『「言葉にできる」は武器になる。』(シリーズ累計35万部)
日時:
2025/4/4(金) 14:00-15:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細 こちらウェビナーお申込みページをご覧ください
(2025/3/18更新)
・筆者Facebookアカウント https://www.facebook.com/yuya.adachi.58 (フォローしていただければ、最新の記事をタイムラインにお届けします)
・【大学探訪記】を始めました。
「研究が楽しい」「研究成果を知ってほしい」「スタートアップを立ち上げた」
という学部生、大学院生、研究者、スタートアップの方は、ぜひ blogあっとtinect.jp までご連絡下さい。卒論、修論も歓迎です。ご希望があれば、当ブログでも紹介したいと思います。
【大学探訪記Vol.5】銀幕スターを通じて「戦後の日本人」を解き明かす
【大学探訪記 Vol.4】ベトナムの人材育成を支援したい!と、ベトナムに単身渡る女子大生
【大学探訪記 Vol.3】プロ野球に統計学を適用するとどうなるか?
・ブログが本になりました。
「仕事ができるやつ」になる最短の道
- 安達 裕哉
- 日本実業出版社
- 価格¥1,455(2025/04/01 12:28時点)
- 発売日2015/07/30
- 商品ランキング116,016位
(Photo:mario)