4825385922_c58f8053a7_z採用活動、特に新卒採用で良い人を見抜くのは、恐ろしく難しい。現在の企業が行う採用活動のほとんどはペーパーテストと面接によるが、うまくやるのは大変である。

「期待の新人」が全く鳴かず飛ばず、ということも珍しくない。また、「3年で新卒の3分の1が辞める」という状況も問題である。

 

Googleの人事トップであるラズロ・ボックが著した「ワーク・ルールズ(東洋経済新報社)」によれば、Googleにおいても、良い採用のためにやるべきことの「科学的な」結論は、一般認識能力テスト(問題解決をやらせるテスト)と、構造的面接(回答の質を判断する基準を持った質問)を組み合わせるのが良い、ということであったが、彼は「かなりの手間」と評している。

だが、現在の新卒採用においてこの「手間」を書けるのはほとんど不可能に近い。人事は僅かな期間に数百〜数万の応募書類を見なければいけない上、面接者の時間を確保するのも難しい。

きちんと面接を行うのであれば、社内の人は新卒採用の時期はほとんど他の仕事はできないだろう。

 

つまり個々の能力を確実に見極めるためには、「新卒一括採用」は不毛すぎる慣習なのである。2016卒は採用活動の短期化により、さらにこの傾向に拍車がかかっている。

 

 

では、この現状をどう打開するか。一つの方法は企業が「中途採用のみに絞る」という選択肢である。

ただしこの方法は本当に優秀な人を逃し、「中途採用市場」という優秀な人が出てきにくい市場で勝負せざるを得ないかもしれない。優秀な人は今いる企業の中でそれなりのパフォーマンスを上げており、転職したいというインセンティブを持ちにくいからだ。

 

二つ目の方法は「リクルーターを使う」という方法である。最近では採用の難化に伴い、リクルーターを使う会社が増えていると聞くが、OBやOGの人脈が使える場合は、それなりの時間をかけて採用できるため、かなり有効である。

ある大手企業では一般募集を行う前に8割ほどの内定者がすでにリクルーターによって決まっているが、これは合理的な選択といえる。

ただしリクルーターはOBやOGの人脈が有効な大手は使いやすいが、人脈の少ない中小企業にはいささか厳しいという欠点もある。

 

では、中小企業にも有効な他の方法はあるのだろうか。

私が知る、あるスタートアップ企業では「新卒の通年採用」を開始した。学生であればいつでも応募・入社できる上、なんと1年生、2年生でも応募でき、入社の時期も自由に選べる。もちろん他の会社に行くことも自由だ。

ただし、応募の条件としては半年以上その会社でアルバイトをしてから、という条件がついているため、事実上のインターンのようなものであるが、全学年を対象としているのは珍しい。

社長は、所詮能力は「一緒に働かないとわからない」と言う。また、学生側にも「この会社で働きたい」という強い意欲が生まれるそうだ。逆に「絶対無理」という学生もはっきりわかる。

「自由すぎますね」と、私が言うと社長は、「本来、就職なんて自由でしょ」と言った。

 

 

社会や企業が多様化するに連れ、採用も多様化するのは当然である。一括採用にこだわる会社や学生が減ってくれば、もう少し良いマッチングが生まれるのかもしれない。

 

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東京大学経済学部卒業後、ドイツ証券に入社し投資銀行業務に従事。
2020年に株式会社TOKIUMに参画し、当時新規事業だった請求書受領クラウド「TOKIUMインボイス」の立ち上げを担当。
2021年にはビジネス本部長、2022年より取締役に就任し、経費精算・請求書処理といったバックオフィスDX領域を牽引。
業務効率化・ペーパーレス化の分野で多くの企業の課題解決に携わってきた実績を持つ。

安達 裕哉 氏(ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO)
Deloitteで大手企業向けの業務改善コンサルティングに従事した後、監査法人トーマツにて中小企業向け支援部門を立ち上げ、
大阪・東京両支社で支社長を歴任。2013年にティネクト株式会社を設立し、ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年には生成AIに特化した新会社「ワークワンダース株式会社」を設立。生成AI導入支援・生成AI活用研修・AIメディア制作などを展開。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計71万部を突破し、2023年・2024年と2年連続でビジネス書年間1位(トーハン/日販調べ)を記録。


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(2025/5/8更新)

 

(Photo:tokyoform