4224543956_6006455e60_z「仕事での有能さを判断したいでのあれば、1つの方法として「どんな目標を立てているか」を聞けばいいですよ」と、ある、有名外資系企業の人事担当者は言った。

「これは、面接でも使えます。前職に持っていた目標が何であったか、達成したのかどうか、どのように実行したのかなどを聞けば、その人がどの程度有能なのか、かなりの精度で知ることができます。」

 

例えば一人の営業がいる。彼に

「今、どんな目標を立てて仕事をしていますか?」

と聞いてみる。

「無い」という答えをする人物はほとんどいないが、では、「売上◎◎円」です、ではどうだろうか。

その人事責任者が言うには、「普通」であり、「与えられたことしかできない人物」とみなすとのこと。

 

「営業であれば、売上目標が与えられるのは当たり前です。が、それだけが目標と言っているようでは、全く話になりません。」

「では、どのような目標を立てている方が有能なのでしょう?」

「そうですね、一概には言えません。有能な人は様々な形で自分がなすべきことを定義します。

例えば、営業活動の効率化の目標、能力開発の目標、チームの質の向上に関する目標、新規顧客の開拓に関する目標、マーケティングに関する目標、ブランディングに関する目標、人脈構築に関する目標、サプライヤーに関する目標など、相当の数にのぼります。

また、それらの目標値の設定の仕方にも能力の差がでます。能力の高い人物は野心的な目標を立てます。能力が並の人物は「自分ができそうなこと」にすぐに限界を作ります。」

「なるほど、たしかにそうですね」

「本当に有能な人物は、目標の立て方が非常にうまいと思います。野心的な目標であっても、あの手この手でなんとか実現させようとしてしまう。また、周りの人を巻き込む時も、きちんと目標を立て、それを説明します。自分の成果を振り返るためです。」

「なるほど、自分の生産性を振り返るのにも有効そうですね」

「指標がなければ、自らのパフォーマンスを測定することなどできません」

私は礼を述べた。

 

帰りがけに、ふと気になることがあり、聞いてみた。

「すいません、もう一つだけ。大体、全体の中でどの程度の割合の人が、それに当たるのでしょう?」

「難しいですね…ですが、あまり多くはありません。せいぜい全体の10%といったところでしょうか。ただ、まさにその10%が、我々が求める人材です。いくら払っても…はオーバーですが、惜しみなく給与を支払いたい人物です。」

「技術者でも同じですか?」

「同じです。技術者のほうがむしろ大事かもしれません。営業に比べて、目標がない人もかなり多いです。」

 

 

会社が与えてくれる目標をこなすだけで良い時代は、すでにとうの昔に終わっている。特に利益率の高い、いわゆる「勝ち組企業」ではこれが顕著である。

今、「自分でどのように野心的な目標を立てるのか」が、卓越した成果をあげる会社からは求められている。

 

 

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・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
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(2025/6/2更新)

 

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