誰でも苦手な上司や先輩が一人は会社の中にいるものだ。だが、組織で働く以上は 苦手だからといってその人にかかわらないわけにもいかない。でも一緒に働くのが苦痛で仕方ない…一体どうすればいいのだろうか。
当たり前だが、この手の話には「一般解」はない。個別の人間同士の関係は、個別の対処法がある。
文豪トルストイは、その作品である『アンナ・カレーニナ』にて、 「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。」と言う。
この言葉を拝借すれば 「うまくいく人間関係はどれも似たものだが、うまくいかない人間関係はいずれもそれぞれにうまくいかないものである」というべきなのだろう。
人間関係は感情的なものに左右されやすいため、「なぜあの人とうまくいかないのだろう?」ということを考えても、「なんとなく合わない」という結論に落ち着きやすい。
また、原因追求をしてみても、性格的な問題に起因する場合、それを改めることが難しいことがよくある。
したがって、特に会社における人間関係は「深く考えず、その場の状況に合わせて対処する」を基本方針とする方が、無理がないだろう。
それを踏まえたうえで、「どんな上司ともそれなりに上手くやっていける人」を観察すると、苦手な上司や合わない先輩社員との付き合い方のポイントは概ね3つある。
1.相手を変えようとしない
大前提として、「他者の性格や言動を変えようとする」のは不可能であると認識する。もちろん人の性格は不変ではない。しかしそれは稀なことであり、30年、40年かかって作られた性格を変えるには 更に30年、40年かかると思っておいたほうが良い。
基本的な戦略は「自分の性格や言動」を変えることで苦手な上司や先輩に対処することだ。
ただし、自分を変えることは大変なストレスを伴うはずだ。そこで次のポイントが重要である。
2.相手との摩擦を極力減らす
苦手な相手に気に入られようとすることは、大きなストレスである。それはやらないほうが良い。採用すべきは「摩擦を減らす」である。どんな上司ともそれなりにやっていける人は、このことを知っている。
摩擦を減らす、ということは「気に障ること」を極力へらす作戦を取る、ということだ。「癇に障るポイント」を分析し、それについて最低限のことをしておけば上司と衝突するリスクを劇的に減らすことができる。
ちょっとしたこと、例えば「報告書のテンプレを作っておく」「結論から言う」「服装に気を遣う」「目を見て話す」といった、ノウハウで対応できることも多い。
また、「苦手な上司・先輩」と仲の良い人に接近し、仲良くなっておくと「気に障ること」についての情報が得られやすい。
3.回避する
また、合わない人とは極力仕事しないことも重要だ。相手がどうにも迷惑な人、あるいは一切関わりたくない、という時は必ずあるものだ。お互いに無理して働くより、接点を極力減らすことも有効である。
回避はそれなりに有効で、 一緒に働くことさえしなければ、それなりにお互い幸せ、ということがよくある。 可能であれば、仕事を他の人と交換したり、顔を合わせないようにしたり、異動願を出すことができれば、それでも良い。
上にご紹介したように、「どんな上司ともそれなりにやっていけるスキル」というのは、実は「苦手な人とできるだけ関わらないスキル」を言い換えただけである。
自己啓発本などでは「自分を変えよ」と書かれることが多いと思うが、現実的にはそれができる人は少なく、無理をした結果、体を壊してしまう人も多い。
無理はせず、相手に干渉せず、一緒に過ごす時間を極力減らそう。
「消極的」という批判もあるかもしれない。
でも考えてみて欲しい。企業が採用する際には、「自社のカルチャーに合いそうな人」だけを選り好みしているのだ。応募者の性格を変えたり、積極的に関わったりしようとすることなどない。
合わない人とは仕事しない。それが本質であり、あなたが選り好みをしてはいけない理由は、どこにもないのだ。
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