知識労働者にとって、何よりの報酬は「仕事がうまくいくこと」ではないだろうか。
・自分が携わった商品が売れた
・開催したセミナーに人がたくさん来た
・自分の書いたものが沢山の人に読まれた
・大きな反響が得られるPRができた
そういったことが働くモチベーションを高め、更に大きな成果をだすことにつながる。
逆に言えば「成果はともかく、お金が貰えればいいよ」という人は厳密な意味での知識労働者ではない。
また、困らない程度にお金が得られても、うまくいかず、意味も感じられない仕事をやり続けることは彼らにとって苦痛を伴うだろう。
したがって全ての知識労働者にとってもっとも重要なスキルは「成果を出すスキル」だ。金銭的報酬も、社会的地位も、将来の選択肢も、すべて「成果を出すスキル」の有無によって決定される。
だが「成果を出すスキル」とは一体なんだろう。
新人や若手で「英語はできたほうがいいですかね?」や「論理的思考力が必須ですよね」と聞く方がいる。また「結局は地頭ですよね」といった極論を言う方もいる。
だが、それらは恐らく間違いである。成果は知識や頭のよさ、技術の有無などから産み出されるものではない。
学校のとき成績優秀だった人物が、社会に出て何も成し得ないという事例が数多いのはこのためだ。
そうではなく、成果を出すスキルの本質は「継続」と「改善」にある。これらは極めて簡単なことで、やるべきことはわずか9つのステップで示すことができる。
ビジネスにおいても研究活動においても、およそ知的労働というものはこのステップでしかありえない。
1.成果を定義する
2.成果を出すためにやらなければならないことを決める
3.やる
4.途中経過を見る
5.「やらなければならないこと」が間違っていなかったか、途中経過を確認する
6.必要に応じて行動を見直す
7.ある程度の間隔で「成果の定義」が間違っていなかったか、確認する
8.必要に応じて成果の定義を見直す
9.成果が出るまで以上を繰り返す
勘違いしないでいただきたいのは上のステップは「努力しろ」と言っているわけではないことだ。
「継続と改善は、要するに「努力しろ」ってことでしょ」と短絡的に考える方もいるが、それは短慮というものである。
必要なのは努力ではない。必要なのは「どうやって努力を最小限にして上のプロセスを出来る限り継続するか」である。
タスクリストを利用したり、生産性に配慮したり、自らのモチベーションをコントロールしたりする事が必要なのは、すべて上のプロセスを継続するためである。
「頑張らなければならないから」ではない。
「知識労働者」という言葉を定義したピーター・ドラッカーは、「成果を出すために行った努力が少なければ少ないほど良い仕事をしたことになる」とはっきり述べている。※1
上に述べた成果を出すスキルは、「成果を出すために考えぬき、あらゆる手段を講じつづけるスキル」と言い換えても良い。
例えば営業の売上目標を達成したい、と思うならば、営業目標の「成果」について深く考える必要がある。
例えばこのような問いはどうだろう。
営業の「成果」とは何か?
これに「売上」と答えた方は成果について深く考えていない。
成果とは「企業の外」に発生するものだからだ。「売上」と答えた方は企業の中ばかり見ている。
そうではなく、企業の外に現れる指標である「リピート率」「顧客の満足度」「世の中へのインパクト」「シェア」などに着目しなくては成果とはいえない。
ウチの営業の成果は「リピート率」を上げることが本質だ、と定義できたら、リピート率を向上させるための施策をあらゆる面から考える。
事例を見たり、文献をあたって研究してもよい。成果をあげている人物にヒアリングしても構わない。
とにかく、あらゆる可能性を考慮に入れるのだ。
あとは「やる」だけである。これは純粋なセルフマネジメントの領域である。セルフマネジメントの技術は様々あるが、「頑張る」ことを重視する限り、成果はあがらない。
とにかく「継続」することを重視しなければならない。そのためには「タスク管理」と「タイムマネジメント」の技術が必須である。
そして、行動の後には見直しがある。行動の見直しから、時には成果の定義の誤りを認めなければならないかもしれない。
「リピート率」に着目しても売上が向上しなければ、「シェア」に着目し、特定の地域での販売活動に力を入れるなど、対策を講じる。
そして、これらを愚直に続けたものにのみ、成果という果実を得る機会が訪れる。
英語を話せるようになりたい、と考える人もいるだろう。
もっとやりがいのある職につきたい、と考える人もいるだろう。
もっと金銭的に報われたい、と考える人も多いだろう。
それらは全て「成果を出すスキル」を必要とする。
そして目標としたことをやりきった時、まさにそのとき、英語そのものや営業力そのものよりも「やりきる力」すなわち「成果を出すスキル」が身についたことを知るのだ。
そして、それを身に着けた人物は、間違いなく成功する人生を歩むに違いない。
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。

<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは【ご視聴方法】
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当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【今回のトーク概要】
- 0. オープニング(5分)
自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」 - 1. 事業再生の現場から(20分)
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例 - 2. 地方創生と事業再生(10分)
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む - 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説 - 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論 - 5. 経営企画の三原則(5分)
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する - 6. まとめ(5分)
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)
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※1
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