新卒採用の時期になると、企業側は「採りたい人物像」を決める。面接でどのような質問をすれば、望ましい人物が採用できるのかを検証し、採用の質を向上させるためだ。
この「望ましい新卒を一括で採用する」という日本独特の採用慣行が「日本的風土の会社」を生み出してきた。
だが「採りたい人物像」の変化が、最近では大きくなっているように感じる。
例えば、政府統計において20年前と比べて大きく変化したのが以下の項目だ。
1990年代との比較では、「コミュニケーション能力」(14.3%ポイント増 加)、「積極性、チャレンジ精神、行動力」(10.1%ポイント増加)、「仕事に対する熱意・意欲、向上心」 (8.7%ポイント増加)の割合が大きく増加した。
(http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/13/dl/13-1-5_01.pdf 平成25年版労働白書)
ただ、統計では「本当に重要な変化」はあまり見えない。
現場感覚においては「少数精鋭」が重要であるテクノロジー系企業において「採用が変化しているな」と思わせてくれる会社が増えている。
では、どのように「採りたい人物像」が変化しているのか。例えば以下のような変化が見られる。
・会社への忠誠度はさほど問わない
一昔前は「会社への忠誠心が高い人」が好まれていた。「会社の外では余計なことをしないで欲しい」という人事の方の話を本当によく聞いた。
しかし現在では「副業」「社外人脈」「SNSでの発信」への許容度が格段に上昇している。むしろ、先進的な会社ではむしろ上の事を「推奨」していると言える。
ある会社では「TwitterとFacebookのフォロワー数と、友人数はどの程度ですか」と聞いていた。
「忠誠心」は必ずしも必要ではない。
・「学習能力」が高いこと
朝日新聞において、過去にこのような記事が掲載された。
就活のカギ、ESより大学の成績表 面接で使う企業増加
合否のカギを握るのは成績表――。大企業を中心に8月から解禁された採用面接で、大学の成績表を使う例が増えている。
(朝日新聞)
記事にはエントリーシートは対策ができてしまうから、とあるが、真に学業成績が重要である理由は「学習能力」だ。
ある人事担当者はその理由として、知識の更新されるスピードが早く、先輩が教えられないことが増えているからだ、という。
学校の成績が重視されつつあるのは「学習能力」の実績を重視しているからだ。
・「コミュニケーション力の高い専門家」であってほしい
昔は「専門家はコミュニケーション力が低い」と判を押されたように語られていた。
だが現代は誰もが何かの専門家でなければ仕事にならない。だから専門性があるという前提のもとに「コミュニケーション能力」が重視される。
したがって、高度に専門化された仕事が増えた現在では「何か特化した知識」を持つ学生が歓迎される。これは文系か、理系かという話ではなく「学生時代に成し遂げたこと」が重要視される。
ある人事担当者は言った。
「多分、優秀な学生とそうでない学生の差は、大学の1、2年生の時には既に埋めがたいほどついていて、就活が始まるとそれが表面化するだけですよ。結局我々は「どれだけ積み上げてきたのか」が見たいのです。」
・無駄への許容と、多様性の重視
留年などへの許容度は格段にあがってきている。「一直線に無駄なく来た人よりも、寄り道をした人のほうが魅力的に感じます」という人事担当者が増えた。
実際、キレイすぎる経歴は「挫折に弱いのでは」「泥臭くできないのでは」と、逆に性格面の弱さを懸念される場合もある。
イノベーションを起こすという観点から見れば「ムダ」がそれなりに重要であると考える会社は増えている。また、会社内部の人材が「画一化」されることへの危機感を持つ会社が非常に増えた。
「学歴の良い人ばかりが増えてもね……イマイチですよね」という採用責任者は確実に増えている。
・すべての社員がリーダーシップを持たなくてはならない
「多分学生さんはリーダーシップを勘違いしていると思いますが……、リーダーシップとは、リーダーをやったかどうか、人を使った経験があるかどうかで判断されるのではなく、「成果に対する責任をどこまで積極的に引き受けようとするか」という態度の問題です。」
とある人事責任者は言う。
「どんなに役職が高くても、人を従えていても、意思決定と責任を引き受けない人は、リーダーではありません」
一般的にテクノロジー企業では、扱う内容が高度になればなるほど、ボスよりも現場のほうが遥かに知識を持っている。意思決定はボスよりも現場の社員の方がうまく出来なくてはならない。
しかし意思決定は「私が責任を引き受ける」という態度を持つ人間でなくてはできない。そのために必要なのがリーダーシップである。
お気づきのかたもいると思うが、これらの変化は全て「労働集約型企業」から「知識集約型企業」への移行に伴う変化である。
これらのことを鑑みても、隅々まで「知識社会」への移行が確実に進行していると考えて良いだろう。
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