つい先日、スキルアップや勉強方法についてのお話を、ある編集者の方とさせていただいた。
話が盛り上がったので、その時の話を書いてみたいと思う。
議論の焦点の一つは、スキルアップの手段として「インプット」が先か?「アウトプット」が先か?だった。
わかりにくいので、例を挙げよう。
例えば英語の勉強をする際に、「インプット」を先にする人は、「単語の勉強」「文法の勉強」「言い回しの勉強」を先にする。そして、ある程度それが頭に入ったところで、つぎに「実際にネイティブスピーカーと話してみる」という順番になる。
「アウトプット」を先にする人は、「ネイティブスピーカーととりあえず身振り手振りでもいいので話してしまう」が先にくる。その後、あとから「こう言えばよかったのか」「これを言ってみよう」と、補強するためのインプットをする。
数学も同じである。「インプット」を先にする人は、先に「教科書」を完璧に理解する。その後で「問題集」を解く。
対して、まず「アウトプット」をしてしまう人は、先に「問題集」を解き始める。解けなくてもとりあえずやってみる。その後で、「わからなかった所を学習する」という順番だ。
勉強だけでなく、仕事の例も挙げてみよう。
例えば、「オウンドメディア」の立ち上げを任されたとする。「インプット」を先にする人は、各種のオウンドメディアを研究し、分析する。そして得られた知見をつかい、メディアを作っていく。
「アウトプット」を先にする人は、とにかくまずメディアを作ってしまう。記事と、媒体さえあればメディアの形はできてしまうのだ。とりあえず作ってみて、読者の反応を見ながら修正する。
仕事のスタイルは様々なので、ここでその是非を問うことはしない。しかし、私が出会った、いわゆる「仕事のできる人達」は、概ね「アウトプット」派であったように感じる。
例えばあるソフト開発会社の役員であるHさんは、部下のマネジャーに渡すための「プロジェクトマネジメントマニュアル」を持っていたが、それを新しいマネジャーに渡すのは新しいマネジャーの就任後、1か月後と決めていた。
「なぜすぐにマニュアルを渡さないのですか?」と聞くと、「最初に渡されてもろくに読まない。まずはやってみて、悩みが出てきたところでマニュアルを渡すとよく読まれ、役に立つ」と、お答えいただいた。
また、とある営業会社のエース営業マンであるNさんは、「提案手法の刷新など、営業上でなにか新しいことを試そう」と思った時、まずは自分でやってみて、それからうまくいかなかった時のみ、本などを参考にすると答えた。
フリーランスでゲーム開発を行っているYさんは、「プログラミングスキルをあげるためには?」という質問に対し、「まずは何かソフトを創ること」と答えている。「本を買って勉強したり、学校に通ったりすることも悪くないが、それ以上にスキルを高めるのは、なにかプロダクトをつくり上げる時だ」と、言い切る。
1年でTOEICを400点台から800点台まで高めた、ある大企業の経営企画のEさんは、どう勉強したのか?という質問に対し「とりあえずTOEICを受けてみました。問題の内容や、回答の方法、試験の雰囲気などがわかったので、あとはTOEICの模試などを買って、受けまくりましたね。単語や文法などは後から覚えにくいところだけやりました」と言う。
しかし、このような事例はごく一部であり、多くの方は「インプット」から始める。なぜ「インプット」から始める方が多いのだろうか。
その原因はおそらく、「学校の勉強」での体験にある。
学校の勉強は一般的に「問題集をやらせて、そのあとわからないところだけ教科書で」というスタイルではない。「教科書をしっかりやって、その後に問題集をやる」というスタイルだ。このスタイルが染み付いているので、「インプットが先」というスタイルを採用してしまいがちになる。
しかし、この方法にはデメリットも多い。具体的には、「習っていないので出来ません」という言い訳が許されてしまうという状況が生まれる。また、先に先に勉強してしまう子に対して、「小学校のテストで方程式を使ってはいけない。習っていない漢字を使ってはいけない」など、「習ったこと以外は使うな」という、不毛な制約が生まれることにも繋がる。
しかし、本来「きちんと習えること」など非常に少ない。
「習ったことがなく、勉強したこともないので、できません」という物言いは、仕事の中では許されないことも多い。だから、「仕事ができる人達」は、「アウトプット中心」のスキルアップの仕方を身につけてきたのだろう。
スキルアップのスピードを重要視するなら、「まずはアウトプットを中心に据えること」を意識すること。これを知っているかどうかは、結構重要な差なのではないだろうか。
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(2025/5/12更新)
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