仕事をする中で「優れた判断」を何度も見た。
「この新規事業をやろう」
「今はこの商材に手を出すべきではない」
「この協力会社とは手を切ろう」
優れた経営者やマネジャーは「優れた判断」ができるからこそ、成果が出せる。
だが「優れた判断」はいかにして可能なのだろうか。これには2つのタイプがあるとよく言われる。
・「直感」を重視する人
・「論理」を重視する人
直感を重視する人の判断は、どうやってその判断を下したのか、まわりには全く道筋が見えない。が、なぜか自信に満ちている。そして、結果を見ると、ああそうだったのか、と初めて分かる。
論理を重視する人の判断は、道筋が非常に明確であり、基準が分かりやすい。「驚き」はないが、確実に行けそうだとまわりに思わせるので周囲を巻き込んで進めることができる。
おもしろいことに、性格診断などでは「直感で選ぶ方か、論理で選ぶ方か」どちらかを選ばなければならない選択肢が多い。
直感はとくいだけど、論理は苦手、というステレオタイプがあるかのようだ。
だが、入念に観察すると、真に優れた判断は、この上のどちらにも偏っていない。
過去に私が見た「仕事のできる人」というのは直感と論理の両方を兼ね備えている事がほとんどだった。
例えば、ある会社での意思決定のスローガンは
「直感で生み出し、論理で確信する」だ。
新規事業のアイデアでも、人事の施策でも、マーケティングのアイデアであっても、次のような2つの条件を満たすものを採用する、という決めごとがある。
1つ目は、マネジャーを含めた経営陣が、スジが良いと「感じた」施策であること。
最初は論理性が問われない。「最初から論理を重視すると飛躍がなく、おもしろみのないアイデアばかりが出る」と彼らは言う。
そして「感じること」が最初にあるので、会議は盛り上がる。
そして2つ目は後日「スジが良い」と感じた幾つかの施策について、データと論理的な詰めを行い、そのに検証に耐えたものを採用する、という運びだ。
経営者はこう言った。
「直感というのは、馬鹿になりません。スジが良いと感じるのは、それぞれの知識と経験がそう思わせているのであって、根拠が無いわけではないんです。
むしろ「論理」だけで詰めていく発想は貧困で、面白いものがない。
ですが、「直感」だけを頼り過ぎるのもマズい。とくに経営者が過去の経験に引きずられすぎると、まわりのモチベーションを下げます。直感に妙に自信がある人を説得するのは非常に難しいからです。
直感を持つことは大事なのですが、それを検算することによって、思い込みやバイアスを排除することが非常に重要なのです。」
優れた判断は「直感」と「論理」の合わせ技でなくてはならない。これは、会社組織だけでなく、セルフマネジメントにも役立つ話だ。
例えば人は「嫌だ」と思うことを長く続けることが出来ない。だから、職業や生き方は、直感的に「気持ちがいい」と思うことをやる方が遥かに充実する。
だが「気持ちがいい」だけでは誤ちを犯す可能性が高い。そこで「気持ちがいい」と感じることを本当にすべきか、一度立ち止まって考える。必ず「自制」をする。
だから、良い人生は「快楽」と「自制」の合わせ技によって成り立っている。快楽と自制の上に立つのが
「やりたいことをやる」
ということなのだ。
これらの考え方は、若かった私にとって、非常に重要な指針の一つとなった。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

ティネクト代表の安達裕哉が東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。
ティネクトでは現在、生成AIやマーケティング事業に力を入れていますが、今回はその事業への「投資」という観点でお話しします。
経営に関わる全ての方にお役に立つ内容となっておりますでの、ぜひご参加ください。東京都主催ですが、ウェビナー形式ですので全国どこからでもご参加できます。
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
・筆者Facebookアカウント https://www.facebook.com/yuya.adachi.58 (フォローしていただければ、最新の記事をタイムラインにお届けします))
・筆者Twitterアカウントhttps://twitter.com/Books_Apps (フェイスブックではシェアしない記事も扱います)
・ブログが本になりました。
「仕事ができるやつ」になる最短の道
- 安達 裕哉
- 日本実業出版社
- 価格¥2,005(2025/07/12 14:25時点)
- 発売日2015/07/30
- 商品ランキング58,364位
【お知らせ】
当メディアは書き手を募集しています。実名、匿名のどちらでも可ですが、長期的に記事を書いていただける方が望ましいです。
・テーマ
原則自由ですが、必ず「体験談」もしくは「事例」を含んだものとしてください。当メディアは文章の巧拙よりも「書き手の人間性が読み取れること」を重視しています。
・その他
報酬はご経験、記事の質などにより、個別に設定しています。
・応募方法
blogあっとtinect.jpまで、簡単な経歴、応募動機およびこれまでに執筆した実績(ブログ、記事など)が確認できるリンクをお送り下さい。採用の可能性がある方へは1週間以内にご返信致します。