会社に勤める以上、「時間への感覚」非常に重要であるとみなされる。ここまではすべての人の同意するところだろう。

しかし、各論においては議論の余地があることも多い。

 

 

例えばある飲食業では、この件で新人が叱られていた。

「最近会社に来るのがギリギリじゃないか。」

「……申し訳ありません。」

「お店の人たちは30分前には必ず来てる。本社のキミも仕事の準備をして、きっちり定時に始めるものだろう。電車が少し遅れたくらいで遅刻するようなら、社会人失格だ。」

「はい。」

「気をつけてくれよ」

その後、新人は必ず30分前に来るようになった。

彼は「早く来たほうがいいと思います。先輩の言うことはよく分かります。」という。

 

 

またある士業の事務所では、新人は1週間に1回、必ず定時の1時間前に出社し、会社を掃除する。だがこれは業務時間ではなく「自発的」な活動だ。

社員は「まあ、新人ですからね、当たり前ですよ。」と皆が言う。お客さんからも「新人がしっかりしていますね」と評判が良いそうだ。

経営者は「掃除は思ったより創意工夫が求められますし、良いんじゃないですか」という。

 

 

ある製造業では「5分前行動」をモットーとしており、すべての会議出席者は5分前に着席していなければならない。当然、出社も5分前までには着席が済んでおり、PCの立ち上げを行っていなければならないことになっている。

会社の時計は常に5分進んだ状態で設定されており、また休憩時間以外にはタバコやトイレ休憩をしてはならないということも、決まっている。

 

 

その一方で、別の考え方も存在する。

 

 

あるシステム開発会社では、フレックスタイム制を取っており、出社時間は9時から11時のあいだで自由である。三々五々人が集まり、そしてバラバラに帰っていく。

だが、11時にすら間に合わず、昼から出勤という人もいるそうだ。

社長は「まあ、時間で縛ろうとするのが無理な相談ですよ。だいたいどこか秀でている人は、どこかがダメなんです。ま、だらしないだけの人もいますが、ルールを決めると窮屈になるんでね。」という。

 

 

ある設計会社では、午前10時が始業であったが、「10時までは会社で仕事をしてはならない」と、逆に早く業務を始めることを禁じていた。

「なぜですか?」と聞くと、「1つは始業前の時間は社員の時間なので干渉したくないということ、もう一つは不満を押さえることです」

という。

「不満とは?」と聞くと、担当者は

「早く来るという暗黙の競争に対する不満ですよ。放置するとそれを「評価してほしいと言う人」と、「評価したい管理職」が結構出てくるんです。それは一種の不正です。ウチは設計のウデが良いかしか見ません。」

と言った。

 

 

あるマーケティングコンサルティングの会社では「以前は早めに出社するように言っていたんですけど、やめてしまいました」という。

「なぜですか?」と聞くと、

「んー、単純に言うと「規律を守れない人に合わせてルールを作ること」を辞めた、と言うことでしょうか」

と答えていただいた。

詳しく教えていただくように頼むと、

「規律を守れない人は問題なんですが、彼らに合わせてルールを作っていくと、どんどんルールが増えるんです。そうすると、規律を守っている人がだんだん窮屈に感じてくるんですよね。

規律を守っている人が損をしている気持ちになったり、厳格すぎて「たまにあるミス」を認められない会社はダメじゃないかって思いまして。

「5分前集合」というルールよりも「遅刻したら減給」でいいと思いました。」

 

 

 

法的な解釈は専門家に任せるが、純粋に業績や管理の観点から「どちらが良いのか」については私は答えを持たない。

実際、会社の業績との相関もないし、社員のモチベーションともあまり関係がなさそうだ。要は「文化」や「業態」の問題なのだろう。

 

生産ラインであれば時間ピッタリに始められなければならないし、個人商店の集まりのような会社では時間を守らせることが難しい。

また、経営者や管理職が「時間に厳格」を求めれば、そう言った文化の会社になるし、求めなければ異なった文化になるだけである。

 

 

だが、私が気になるのは「そんな小さいこと気にするな」という方だ。

上のような話は、現場を見ると残念ながら「小さいこと」ではない。時間に関する感覚のズレは、職場に大きなストレスをもたらす。

 

えてしてこう言った「本業と関係ない、どこにでもある話」から、大きな問題が出てくる。「自分と時間の感覚が違う会社」では、働かないほうが良いだろう、と私は思う。

 

 

【お知らせ】
Googleの検索結果はAI Overviewが上部を占めるようになり、「〇〇とは」型の解説記事は掲載されても訪問されなくなりつつあります。それでも読まれ、AIに推奨されるコンテンツをどう作るか——安達裕哉が解説するウェビナーを開催します。


このウェビナーでお伝えする内容
・AI Overviewの拡大によって、検索経由の流入がどれだけ減っているのか(最新データで確認)
・辞書系・解説記事・単純な統計など、AIの登場で効果が低下したコンテンツの共通点
・AIまとめに「勝っている」ページの共通点と、これから力を入れるべき7種類のコンテンツ
・AIの回答の中で、自社が名指しで推奨されるための3原則
・AIに推奨されると、なぜクリック率・コンバージョン率・滞在時間が高くなるのか
・GA・コンバージョンフォーム・プロンプト監視による、AI検索対策の効果測定の方法

【対象】
BtoB企業のマーケティング、広報・PR、コンテンツ企画、Webサイトの担当者・責任者/オウンドメディアやSEO記事の流入減少に直面している方/ChatGPTやGoogleのAI回答の中で自社を推奨・引用させたい方/経営層・事業責任者として限られた予算でAI時代の情報発信を見直したい方


セミナー名:AIの登場で効果が低下したコンテンツを救うたった2つの対策
開催日時:2026年9月10日(木)11:00-12:00
配信形式:オンライン(Zoomウェビナー)
参加費:無料
登壇:安達裕哉(ティネクト株式会社 代表取締役)


お申込み・詳細
こちらのウェビナー詳細ページ をご覧ください。

(2026/9/1更新)

 

・筆者Facebookアカウント https://www.facebook.com/yuya.adachi.58 (フォローしていただければ、最新の記事をタイムラインにお届けします))

・筆者Twitterアカウントhttps://twitter.com/Books_Apps (フェイスブックではシェアしない記事も扱います)

・ブログが本になりました。

【お知らせ】

当メディアは書き手を募集しています。実名、匿名のどちらでも可ですが、長期的に記事を書いていただける方が望ましいです。

・テーマ

原則自由ですが、必ず「体験談」もしくは「事例」を含んだものとしてください。当メディアは文章の巧拙よりも「書き手の人間性が読み取れること」を重視しています。

・その他

報酬はご経験、記事の質などにより、個別に設定しています。

・応募方法

blogあっとtinect.jpまで、簡単な経歴、応募動機およびこれまでに執筆した実績(ブログ、記事など)が確認できるリンクをお送り下さい。採用の可能性がある方へは1週間以内にご返信致します。

Vanity Productions