「怒らないから話してごらん?」って意味ないよなー、と昔から思っていました。

 

先に自分の立ち位置を明示しておきますと、しんざきは三児の父です。長男が8歳、小学三年生。長女と次女は4歳の双子、12月には5歳になります。早いものです。

子どもが何か失敗をしてしまったり、いたずらをしてしまった時に、ちゃんと親に対して話して欲しい・謝って欲しいのに情報開示してくれない、という状況は、勿論子育てをされているみなさんであれば数々遭遇する事態だと思います。

 

こういう時、慣用句のようによく使われる言葉として、「怒らないから話してごらん」というものがあります。実際、私も似たようなことを言われた記憶ありますし、他の親御さんが言っているのを聞いた記憶もありますので、頻度の差こそあれある程度一般的に使う言葉なのでしょう。

「怒らないから、と言っておきながら、正直に話すと結局怒る」という、民話のようなネタがよく「子どもの親に対する信頼棄損」のありがちネタとして口にされたりしますが、かなり前から、「それ以前にこのフレーズ、あんまり筋が良くないんじゃないかなー?」と私は思っていたのです。

 

まず、この言葉が使われる状況というのは、子どもが「何か」を隠している状況なわけです。その「何か」は、実際にはどんなに明々白々な事実であろうと、子どもにとって「認めたくない」「開示したくない」何かなのだろう、と推測できます。

それに対して、「怒らないから」という言葉を交換条件に提示するというのは、イコール「子どもは、怒られたくないからそれを話したくないんだ」と親が判断している、ということを示しています。

 

これ、本当にそうでしょうか。我々は、自分自身子どもの頃、「親に怒られることを恐れて」隠し事をしていたでしょうか?

勿論、そういう場合もあったと思います。ただ、私自身についていえば、多くの場合、「話したくない」には色々と他の理由がありました。

 

色々と状況によりますが、

・何故話さないといけないのか納得出来ないから話さない
・自分だけでその状況を何とかできると考えているから話さない
・話すのが恥ずかしい/ばつが悪いから話さない
・話すと、自分が悪いということを認めたような気がするから話さない

こういった理由が多かった気がします。

 

つまるところ、「怒られたくない」というのは、私にとって主要な「話したくない」要因ではありませんでした。むしろ、自分が怒られることを恐れているようにとられるのは、子どもごころに不本意なことですらありました。

勿論、特に小さい子どもは、上のような理由を言語化出来る程頭が整理されていません。それに勿論「怒られるのがイヤ」という理由もあるでしょうし、いろんな理由が絡んで感情的にぐるぐるしてしまって、結果的に言葉が口から出てこない、というケースが一番多いような気がします。

 

私は、感情的にぐるぐるしている子どもを前に一番大事なことは、「待ってあげる」ことと「筋道を示してあげる」ことだと考えています。

この場合の筋道というのは、つまり「ちゃんと話をした方が、結果的には全てうまくいく」ということを伝えてあげること、だと思います。つまり、「怒らないから」などという交換条件ではなく、「話した方がメリットがあるんだよ」ということをちゃんと伝えてあげる。

 

例えば、長女が次女のおもちゃを取り上げて泣かせてしまった時、多くの場合長女は、自分が次女を泣かせたということを認めようとしません。逆もまた然りですし、長男にもまだ似たようなことはあります。

ある程度落ち着かせてからのことですが、そういう時には「怒らないから話してごらん」ではなく、私はこんな風に話します。

 

・長女ちゃんは、おもちゃを取っちゃったかも知れない。取ってないかも知れない。
・おもちゃを取っちゃったとしたら、それは良くないこと。けれど、おもちゃ欲しいっていう気持ちをまだ抑えられないのは、仕方ないこと。抑えられるようにするのは練習すればいい。
・取ってなかったとしても、今は長女ちゃんと次女ちゃんの行き違いで喧嘩になってしまっている。これを仲良しに戻さないといけない。
・長女ちゃんは次女ちゃん好きだよね?仲良くしたいよね?
・何があったかちゃんと話してくれれば、パパは、長女ちゃんと次女ちゃんがちゃんと仲良しに戻れるお手伝いをしてあげられる。だからちゃんと話して欲しい。

 

こんな風に、ゆっくり落ち着いて説明してあげたら、大体の場合「自分がおもちゃを取ってしまった」ということは情報開示してくれます。

その後、謝れる時もあればそうでない時もありますが、いずれにせよ、少なくともしんざき家においては、「怒らないから話してごらん」よりも、「こういう風に解決できるから話して?」とちゃんと伝えた方が打率は良い、ということは言えそうです。

 

勿論、上のような話が上手くいくケース、上手くいく子どももいれば、そうでない場合もあるとは思うんです。そもそもある程度時間に余裕がないと取れない手でもあります。ただ、それでもなるべく、きちんと子どもにいろんなことを説明していきたいなあ、と。少なくとも私はそう思うのです。

昔、こんな記事を書いたことがあります。

上司に相談しても何もメリットがないのであれば、誰も相談なんてしない(不倒城)

この記事は、「部下から報告・連絡・相談を求めるのであれば、上司はそれに応じたメリットを提供しなくてはいけない」という意図で書きました。振り返ってみると、子どもと接する時もそれは同じなんじゃないかなあ、と思い至ったので、こんな記事を書いた次第です。

 

今後どうなるかはわかりませんが、今のところ、長男長女次女は素直に育ってくれているように思います。引き続き、彼らとの信頼関係をいい感じに築いていきたいなあ、と考えております。

今日書きたいことはそれくらいです。

 

 

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東京大学経済学部卒業後、ドイツ証券に入社し投資銀行業務に従事。
2020年に株式会社TOKIUMに参画し、当時新規事業だった請求書受領クラウド「TOKIUMインボイス」の立ち上げを担当。
2021年にはビジネス本部長、2022年より取締役に就任し、経費精算・請求書処理といったバックオフィスDX領域を牽引。
業務効率化・ペーパーレス化の分野で多くの企業の課題解決に携わってきた実績を持つ。

安達 裕哉 氏(ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO)
Deloitteで大手企業向けの業務改善コンサルティングに従事した後、監査法人トーマツにて中小企業向け支援部門を立ち上げ、
大阪・東京両支社で支社長を歴任。2013年にティネクト株式会社を設立し、ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年には生成AIに特化した新会社「ワークワンダース株式会社」を設立。生成AI導入支援・生成AI活用研修・AIメディア制作などを展開。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計71万部を突破し、2023年・2024年と2年連続でビジネス書年間1位(トーハン/日販調べ)を記録。


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(2025/5/8更新)

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SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて
書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城