読書を習慣化したいけど、なかなか難しい……と思う方はそれなりにいる。

 

アイデアや知識は組み合わせによって生み出されるので、本を読むことはすべての知的活動の基本ともなる。

 

だが、本を読むことは手間である。時間を要求する。「読まなきゃいけないことはわかっているけど、読めない……」という方も数多くいらっしゃるだろう。

したがって、読書を習慣化し、生活の一部として取り入れるには工夫が必要だ。

 

ではどうすればよいか。

webで調べれば結構な数の「習慣化」のコツが出て来る。大抵は、本を紹介してもらえ、とか、無理するな、とか、目標を決めろ、といった話だ。

だが、実際に習慣化に取り組んでみた知人の一人がこれについて話してくれたことは、もうすこし「カッコ悪い」話だった。

彼は読書の習慣がなく、社会人になるまでほとんど本を読まなかったというが、最近では1週間に1冊は本を読んでいる、という。彼は何をしたのだろうか。

 

 

「どうやって読書を習慣化したのですか?」

「言うのも恥ずかしいんすけど、最近スマホゲーに飽きてきて、次のゲームを探そうかと思ったんです。でも「本よめ」っていろんな人から言われるじゃないですか、なんか見下されるのも嫌だったんで、始めてみようかと思ったんすよ。」

「成功したんですか?」

「週に1冊くらいは読めてますかね、そんなめちゃめちゃ読む人からすれば大したことないでしょうが、比較的習慣化はうまく行ってると思いますけど。」

 

うまく行ったようだ。詳しく聞いてみる。

「どうやったんですか?」

「とりあえず、本好きの人に聞きました。「何面白い?貸してくれない?」って。けど、本好きの人に聞いちゃダメっすね。貸してもらったんですけど、レベルが高すぎて読めませんでした。」

「いきなり失敗じゃないですか。」

「そっすね、こりゃダメだってんで、とりあえず本屋行って、ベストセラーのコーナーに行ってみたんですけど、どうもピンとこなくて……」

「どうしたんですか?」

「そのまま買わないで帰りました。」

「ダメじゃないですか(笑)」

「ダメっすね(笑)」

 

「……で、どうしたんですか?」

「ああすいません、で、いくつか「本を読みたくない理由」を書き出してみたんすよ。一つ一つ読まない理由を潰していけば、なんとかなるんじゃないかって。」

「面白そうですね、見せてもらってもいいですか?」

「スマホのメモに書いてあるんで……ちょっと待ってもらっていいすか?」

 

彼はしばらくスマホをいじっていたが、一つのメモを見せてくれた。

 

本は高い ⇒ 古本、中古本を読む

「本て高いじゃないすか、外れたら結構後悔するんで、できるだけ中古で、100円、200円程度の本しか買わないようにしました。」

 

当たり外れがある ⇒ 売れてる本しか読まない

「あと、当たり外れが結構大きくて、人の勧める本も難しすぎたりで。だから、売れてる本をとりあえず選ぶってことにしました。「夢をかなえるゾウ」とか、読みやすかったっすよ。」

 

読むの面倒 ⇒ 手の届くとこに置いて、いつでも暇な時に手に取れるようにする

「基本、家に帰ったら枕元に置いて、出かける時はかばんの一番取り出しやすいポケットに入れました」

 

読むのがつらい ⇒ つらくなったら、読むのをやめて漫画や他の本を読む

「よく言いますけど、無理しない、ってのは大事です。Amazon便利っす。あ、オレは中古専門ですよ。」

 

ストーリーを追うのが面倒 ⇒ 映画化されていれば映画から、漫画版があれば漫画から読む。

「ダヴィンチコードの映画が面白かったんで、本も読みました。本のほうがいいっすね。登場人物のイメージ知ってるし。あと、漫画の7つの習慣とかもいいんじゃないですかね。原作も読みたくなりましたよ。」

 

読みたくない ⇒ カフェで読む

「勉強している人いるじゃないですか、カフェでなら、結構読めましたよ。スポーツクラブも、金払ってるから行くんですよね。本も、カフェに入ったら読まざるをえない、みたいな。」

 

誰もホメてくれない ⇒ 会社のデスクに飾る

「頑張って読んでも、誰もホメてくれないじゃないですか。正直、読んだら自慢したいじゃないっすか。会社のデスクに飾って自慢。これですよw」

 

読むきっかけがない ⇒ スマホのSNSやニュースを見て、イラッとしたら本を読む

「本って、ストレスたまんないんですよね。SNSとか見てると、自慢とかでイラッと来るじゃないですか。すぐにスマホを閉じて、本を開く。これ、結構効果ありますよ。」

 

電車の中で読むには恥ずかしい本 ⇒ 電子書籍

「自己啓発とかって、電車の中で読むの恥ずかしいじゃないですか。「こいつ、意識高い系だ」って、思われたくないですよね。カバーかけてもらっても、電車の中ではガサガサして邪魔なんですよね。だいたい、ビジネス書って大きすぎて邪魔なんですよ。だから、最近では電子書籍が出ている奴は電子にしました。知ってます?スマホでKindleのアプリって出てるんですよ。これ最高すね。無料で読める本が結構あるしw」

 

頭に入ってこない ⇒ 目次だけ読んで終了

「頭にはいってこない本、あるじゃないですか。我慢するのは良くないんで、目次だけ読んでオシマイ、ってのは何冊かありましたw」

 

 

「なんか、力抜けてていいですね。」

「気張ると続かないっすよ。」

「最後に、おすすめの本ありますか?」

「「進撃の巨人」が面白いっすよ。あと、「HUNTER X HUNTER」」

「結局漫画じゃないですか。」

「漫画でもいいんですよ。面白けりゃなんでも。」

 

まあ、たしかにそうである。

 

 

【お知らせ】
「文章で伝える」に本気な人へ。AI時代でも、面白く、響くコンテンツは作れるのか?
今回は、ティネクトのベストセラー作家2名を迎え、AI活用が進む今だからこそ大切な「書くことの意味」と「面白いコンテンツのつくり方」を深掘りします。
書くことに関わる全てのマーケター・広報・編集者にお届けしたい1時間。ぜひご参加ください!



ティネクトだからこそ聞ける!5つのポイント
・ベストセラー作家がリアルに語るコンテンツ制作の本質
・AI時代に必要な「人が書く意味」を深掘り
・ハリウッド式「三幕構成」で“読ませる”コンテンツを設計
・滞在時間を伸ばすテクニックを体系的に解説
・プロ作家と仕掛ける、BtoBコンテンツ制作プランも紹介

<2025年5月14日実施予定>

ベストセラー作家2名が語る、「面白いコンテンツ」の作り方

実績と理論の両輪から“刺さるコンテンツ”の条件を語る60分。AIが進化しても、文章の価値は進化し続ける。

【内容】
第1部:安達裕哉(著書『頭のいい人が話す前に考えていること』 ダイヤモンド社)
・コンテンツ制作の基本とその重要性
・成功するコンテンツの共通点
・『頭のいい人が話す前に考えていること』制作秘話
・AI時代に「書く」ことの意味とは

第2部:桃野泰徳(著書『なぜこんな人が上司なのか』 新潮新書)
・ティネクトが手掛けるコンテンツはなぜ滞在時間が長いのか
・三幕構成とハリウッド映画の手法
・『なぜこんな人が上司なのか』出版エピソード
・AI時代に生き残れるライターとは

第3部:倉増京平(ティネクト取締役 マーケティングディレクター)
・「読み手を“動かす”コンテンツ、うちでつくれます」
・プロ作家と仕掛ける、新・BtoBマーケティングの方法


日時:
2025/5/14(水) 16:00-17:00

参加費:無料  
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
こちらウェビナーお申込みページをご覧ください

(2025/4/15更新)

 

書き手を募集しています。

安達裕哉Facebookアカウント (安達の最新記事をフォローできます)

・編集部がつぶやくBooks&AppsTwitterアカウント

・最新記事をチェックできるBooks&Appsフェイスブックページ

・ブログが本になりました。

(Andy Roberts)