以前、もしドラという本が流行ったことがあった(最近では続編が出ている)。それはナイスなアイデアの本だった。
仕事を一通り覚え、会社が求める成果も理解できるようになり、自分でも一端の社会人になったなあと思う20代後半から30代のはじめ、背伸びと言うよりも、本当に心の底からビジネス書が読みたくなってくる時がある。そして読み漁る。
その時に必ずと言っていいほど目にするドラッカー。
とりあえず手にとって読んでみると、書かれていることが当たり前過ぎていまいちピンと来ない。難しいのか簡単なのかもよくわからない。あの世間の高評価はなんなんだ?なぜドラッカー名著集が15巻も出ているんだ?
そんな時、もしドラはぴったりだった。ドラッカー本の随所に散りばめられている鋭い洞察を、程よく抽出してわかりやく教えてくれた。
ここではもしドラのように具体的なエピソードを用いることでドラッカーの深い洞察を感じることのできるコラム6つを紹介。とりあえず読んでみて。
ドラッカー曰く「頭の良さは、成果の上限を規定するだけであり、成果を出す能力とは関係がない」
「頭の良さ」と、「成功」は別物だ、という方がいるが、まさにそのとおりだと思う。
頭の良さは人としての一つのパラメータに過ぎないので、それだけでは成功できない、という証だろう。
ドラッカー曰く「成果を出すために行った努力が少なければ少ないほど良い仕事をしたことになる」
「継続と改善は、要するに「努力しろ」ってことでしょ」と短絡的に考える方もいるが、それは短慮というものである。
必要なのは努力ではない。必要なのは「どうやって努力を最小限にして上のプロセスを出来る限り継続するか」である。
ドラッカー曰く「心理的支配は根本において人をばかにしている」
このような「マインドコントロール研修」を「ブラックである」と感情的に批判することは簡単だ。
だが、ここまで批判もされているスパルタ研修を採用している会社が数多くあるということは、彼らがそれに対して一定の合理性を感じ、それなりの考え方を持っているということでもある。
なぜ企業は「マインドコントロール研修」「スパルタ研修」を採用してしまうのか。より
ブルーカラーでもなく、ホワイトカラーでもない。専門家としての知識を持つもの、ドラッカーはそれを「知識労働者」呼んだ
かつて私は「有能だが、会社の方針にそぐわない人間を排除する」という組織に所属していたことがある。今だから言えるが、これは全くの間違いだった。
本来やるべきだったのは排除ではなく、「知識労働者をどのようにしたら惹きつけられるのか」を真剣に議論することであった。
ドラッカー曰く「死体が臭わないようにすることほど涙ぐましく、しかも不毛な仕事はない」
企業も個人も、意思決定で最も難しいことの1つが、「やめる」ということだ。物事は、始めるよりもやめるほうが遥かに難しい。そういったことを数多くの現場で見た。
ドラッカーを読んで、ようやくはじめてピンときた時の感想
「あ、これは私のために書いてくれたんだ」。
人類が文字を発明して以来、甲骨文字の時代からデジタルで記録をする現代まで、膨大な数の人々が膨大な数の著作を残しているはずなのに「名著」と呼ばれるものは意外に少ない。
時代も超えて国も超えて読まれ続けるものに「聖書」や「論語」がある。それらを読んだ多くの人の感想もまた
「あ、これは私のために書いてくれたんだ」。
ではないだろうか。
時代も国も超えてそう思う人がいるからこそ名著は名著として、人々の心に刻まれ読み継がれているのではないだろうか。
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