僕にかぎらず、ほとんどの人は学生生活を送っている時に一回くらいはメチャクチャ頭がいい人にであった事があるだろう。
僕も自分が何時間もかけて勉強した事を、短時間でいともやすやすと習得してしまう彼・彼女らを見て
「ああ、脳みその構造が根本から違う」
と何度も悲観したものだ。
その度に自分の性能の悪い脳みそを恨み、勉学の道は自分には絶対に向いていないから進むのは辞めようと何度も思った。
つい先日も20歳ぐらいの才気ある若者と話す機会があったのだけど、彼の優れたものの見方には圧倒されるほか無かった。IQが高いんだろう。羨ましい限りである。
現代は知識依存社会だ。基本的に収入が高い仕事は殆ど高学歴の人に割り振られる。IQが高いという事は、現代ではかなり優位な特性なのは疑いようもない事実だ。
じゃあ成功できるのはIQが高い人だけなんだろうか?実は物事はそう簡単ではないのが面白いところである。
知能指数が高いからといって社会的な成功を得られるわけではない
かつてIQという概念が生み出され、知能テストが大々的に流行った事がある。アインシュタインやらエジソンのIQが150だとか、そんな話を聞いたことがある人もいるだろう。
じゃあIQが高ければ、誰でもアインシュタインのように大成できるのだろうか?実は物事はそう簡単ではない。
アメリカで知能テストで高得点を叩きだした人達の人生を追跡調査した社会実験が行われたのだが、高いIQを持つ人のなんと20%もの割合の人達が社会的下層に位置していたという。
知能指数が高かったにも関わらず、この人達はなぜ成功できなかったのだろうか。実はその内訳を更に分析していくと、このグループにはある1つの共通点が見出された。それは「彼らの子供時代の家庭環境が荒廃しており、一つの物事に集中できるような環境がなかった」事であった。
ウサギとカメの童話はある意味では正しい
マルコム・グラッドウェルはその著書「天才!」で、一万時間の法則というものを紹介している。
これは「どんな人でも物事を習得する為には一万時間程度の時間をかける必要がある」という事を表しており、彼は豊富な事例を用いて、世の中の偉大なる業績を上げた人間は押し並べて学習にかける時間が桁違いであるという事を分析した。
先ほど、知能指数が高かったにも関わらず成功できなかった人達の特徴として彼らの子供時代の家庭環境が荒廃していたと書いたが、これがどういう事かと言えば、つまり「じっくりと1つの物事に集中して取り組む」という事ができるか否か大切だという事になる。
瞬間的な頭の良さが優れた才能なのは言うまでもないが、それ以上に継続して物事を行えるという事が大切なのだ。
考えてみればこれは極めて当たり前の事である。例えば仕事ならば、特定のプロジェクトを立ち上げて、それをしっかりと管理し、上手く成功につなげるのには強靭な意思と忍耐が必要だ。どんなに頭のいい人でも、10分でプロジェクトを立ち上げて終わらせる事はできない。
継続して1つの物事に取り組んだ事があるという経験は非常に大切なのだ。有名大学の厳しい体育会系に所属していた人達が有名企業に好まれるのは、おそらくその強靭な忍耐力を買われての事なのだろう。
ちなみにこの他にも成功できないグループの特徴として、社会に馴染めず、反体制で、孤独な人というのがあるという。
これも考えてみれば当然の事である。不平不満を言うだけで、協力する事もできない人が何かを成し遂げられるはずもない。
現代社会では、孤独な天才の価値はほとんど無い。
多少頭が悪かろうが、共同体にうまく適応できる、もしくは共同体に寄り添って、支持や協力を得られる人が重宝される。斜に構えて何に対しても批判的である事が格好良くみえる事もあるかもしれない。そういう気持ちもわからなくもないけど、それが習慣になってしまうと大変な事になる。
小賢しいウサギではなく、愚直なカメでありたいものである。
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
プロフィール
高須賀 ←名前をクリックすると今までの記事一覧が表示されます
都内で勤務医としてまったり生活中。
趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。
twitter:takasuka_toki ブログ→ 珈琲をゴクゴク呑むように
noteで食事に関するコラム執筆と人生相談もやってます→ https://note.mu/takasuka_toki