ここ数週間、立て続けに「メールのヘタな人」に遭遇した。

中身としては、以下のような具合だ。(実際のものとは異なります)

件名:Googleアナリティクスの件で、とても困っています。

見方がわかりません。左のメニューのどこをクリックすればいいのでしょうか。

読者のことを知りたいので「ユーザー」というところをクリックしたのですが、数字がたくさんありすぎて、どの数字を見たら良いのか、これもわかりません。

どうすればいいのでしょう?

差出人が困っていることはとてもよくわかるのだが、このメールには非常に返信しづらい。

なぜならば、以下の3つが不明、もしくは曖昧だからだ。

・何に困っているのか

・現在の状況

・こちらにしてほしいこと

 

とはいえ、こう言ったケースは少なくはないのだろう。

コンサルティングをしているときは、このようなメールが1日にいくつも届いた。まさに、「何がわからないのかわからない人」からの質問とは、このようなものなのだと思う。

 

とはいえ、何とかしてあげたい。このようなメールにどのように対処するか。

「さっさと電話してしまえ」や「とりあえず回答する」という方もいるが、私はまず問題の切り分けを多少時間をかけてでも行ったほうが、結果として問題が早く解決することが多かったため、以下の方法を使うことが多い。

 

まず、このような「何がわからないのかわからない」人に最初に尋ねなければならないのは、「何がしたいか?」である。何がしたいかを丁寧に聞き出さなければ、有効なアドバイスもできない。

そして次に尋ねなければならないのは、「相手の知識レベル」である。特にGoogleアナリティクスのような、取っ付きづらいものは、「セッション」や「ページビュー」といった普段使わない言葉を知っているかどうかで相手への対処法が大きく異なる。まずは「共通の言葉」を足がかりとして作らなければならない。

そして最後に尋ねるべきは「私ができることの選択肢のなかで、質問者が望むこと」である。ここで大事なのは「こちらができること」の選択肢をきちんと示すことである。こちらができることの選択肢を、相手は知らない。質問者が「選ぶだけ」にしてあげれば、向こうも次の行動を起こしやすい。

 

 

これらを踏まえ、具体的には次のようにする。

 

何に困っているのか?をきく

これを踏まえて、まずは1通目、次のようなメールを返す。

件名:ご質問いただいたGoogleアナリティクスの件につきまして

お世話になっております。

ご質問ありがとうございます。質問内容を確認させてください。Googleアナリティクスの操作方法についてのご質問ということですが、「見たいデータ」がどのようなものなのか、具体的に、箇条書きなどで教えていただけると助かります。

ここでは相手に「箇条書き」で書いてもらうのがポイントだ。文章に比べて箇条書きはかなり難易度が低い。わかりにくいメールを送ってくる相手には、極力箇条書してもらうのは重要だ。

 

知識レベルをきく

「ユーザーがどのような人なのか知りたい」

「特定のページへのアクセス数が知りたい」などの返事を返してもらったら、それを見て、「知識レベル」を確認するメールを送る。

件名:もう一点、ご質問です

お世話になっております。

ご返信ありがとうございます。恐れ入りますが、もう一点確認させてください。Googleアナリティクスのご利用は初めてでしょうか。すでに利用したことがあれば、どのようなデータを見ることに利用したことがあるのか、具体的に教えて下さい。

すでに使ったことがあるのであれば、相手の「知っている言葉」を把握できる。繰り返すが、重要なのは「共通で使える言葉」を探すことである。

 

サポートの選択肢を知らせる

最後に、こちらのできることを明示し、選択してもらう。

件名:ご質問、承りました。

お世話になっております。いただきました質問の内容を把握いたしました。

(相手の要望を箇条書きにする)

以上のご要望に対して、私がサポート可能なのは、以下のことです。

1.次回ご訪問時にアドバイス(有償)

2.電話もしくはSkype(本日の17時以降)

3.メールでのアドバイス

ご要望の◯番と◯番はメールで回答可能です。◯番は電話で、◯番は一緒に操作しないと難しいと思います。

どの問題について、どのサポートをご要望か、お知らせ頂けますとありがたく存じます。

よろしくお願いいたします。

ここでのポイントは「全部をメールでやろうとしない」ということだ。また、費用が発生するのであれば、それも合わせてここで伝えると良い。

 

以上が、私がコンサルタントをやっていた頃に実際に使っていた「わかりにくいメール」への対処法である。

 

 

【著者プロフィール】

安達裕哉Facebookアカウント (安達の最新記事をフォローできます)

・編集部がつぶやくBooks&AppsTwitterアカウント

・すべての最新記事をチェックできるBooks&Appsフェイスブックページ

・ブログが本になりました。

(Jen)