内閣府が、高齢者の定義を70才以上に、と提言している。
内閣府は技術革新などがなされない場合、2030年には生産年齢人口が1%減少し、日本で低成長が定常化するとした分析をまとめた。高齢者の定義を70歳以上に引き上げることも提案。定年延長や、医療や介護サービスで、高所得の高齢者の負担を増やすといった施策を想定する。構造改革の基本的考え方として、政府の経済政策に反映させる。
自立した生活を続けられる健康寿命に注目し、高齢者を「70歳以上」として経済的・社会的な定義を見直すことを提案する。定年延長により高齢者の社会参加を促し、所得に応じた年金負担の仕組みなどを検討する。
これは全くその通りで、「60才」は現代ではすでに高齢者とはとても呼べない。むしろ70才ですら「高齢者」と呼んで良いのか疑問だ。
これは決して、根拠のない話ではない。なぜなら、60才を超えた人達自身が、「自分たちは高齢者ではない」と思っているからだ。
内閣府の統計を見ればこれは明らかである。
(出典:内閣府 平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査結果 http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h26/sougou/zentai/)
この統計を見ると驚くべきことに、平成26年現在、「自分が高齢者だと感じるか?」という質問に対して「いいえ」と回答したひと、つまり「自分は高齢者ではない」と思っている人の割合は以下のとおりである。
64歳 86.4%
69歳 71.8%
74歳 48.2% ※「はい」が47.3%
79歳 26.4% ※「いいえ」が66.2%
驚くべきことに、65才であっても、9割近くの人が「自分は高齢者ではない」と考えている事がわかる。69歳でも7割を超えている。
ようやく「自分が高齢者だ」という人の割合が多くなるのは74才だ。そして79歳になっても「自分は高齢者ではない」と考えている人は全体の4分の1もいる。
ところで、国民年金の支給開始年齢は65才、厚生年金も近々65才となるが、実は彼らは意識の上では「高齢者ではない」のである。
実際「支えられるべき高齢者は何歳以上か?」の問いに対しては、80才以上、と答える方が一番多いのである。
だったら、働ける限りは、65歳だろうと、70歳だろうと、ちゃんと働いてもらうべきだ。事実「そして、働けるうちはいつまでも働きたい」という方が全体の28.9%もいるのだ。
逆に、65才で働くのをやめたい人は、16%程度で、働きたくないという10%程度の人と合わせても、26%程度しかいない。70才で働くのをやめたい人を含めても、42%程度だ。
正直、これをみると「今の定義で言う高齢者」は、かなり恵まれていると言わざるをえない。
労働力不足だ、何だと言う前に、働ける人は、ちゃんと働いて社会に貢献して、税金も払ってもらう。それでこそ、真の助け合いの社会ではないか。
もちろん、病などで衰えて働けない人は、ちゃんと助ける必要がある。だが、今の健康な「高齢者」に年金を払う必然性は感じない。
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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)
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