春だ。

ということは、飲み会の季節だ。この時期は花見、歓迎会、懇親会など、出会いに伴う飲み会が増える。

 

だが「会社の飲み会での処世術」については、意外に知られていない。

 

最近は飲み会に若手を無理やり引っ張り出すオジサンが減ったので

「どうしても出席しなければならない飲み会」

での振る舞い方がわからない、という若手の相談が結構ある。

 

確かに、飲み会ごときで上司や先輩から嫌われてしまったり、「常識のないやつだ」と思われてしまうのはどう考えても割に合うものではない。

 

そこで今回は「会社の飲み会ではこれやっときゃいい」について、ヨタ話を書いてみたい。

 

なお、以下はコミュニケーション力にあまり自信の無い方に向けたものであり、「どんな場でも盛り上がれるぜ!」というツワモノが読む必要はない。

 

 

1.その場にいない人の話については口をつぐむ

心のなかでどれだけ悪態をつこうが自由であるが、人の悪口を口に出さないことはとても重要である。特に、その場にいない人の話は悪口になりやすいので、触れないことが最も良い。

もちろん「そんなこと行っても、普段のストレスを吐きたいじゃない」という方もいるだろう。しかし、いかなる飲み会であっても、「ストレスのはけ口」としての利用はおすすめできない。

なぜなら、あなたの悪評が立つからだ。

 

人の悪口を面白がって聴くような人は一般的に口が軽い。ネタとして面白いからだ。

したがって、あなたが飲み会で言ったウワサ/悪口は、様々な人に「◯◯さんのこと、こんなふうに言ってましたよ」と言いふらされるおそれがある。危険だ。

 

余談だが、人から「あの人どう思う?」と聞かれた時には、「語れるほどよくその人のことを知らない。どんな人か教えて下さい。」と言えば、たいてい逃げられる。

 

2.「嫌い」「ダメ」ではなく「好き」「良い」を話題に

「嫌い」を扱った話題、何かに対する批判、ダメ出しは、簡単に共感を得られるので利用する人が多いのだが、これは火種になりやすいので、会社の飲み会については出来得る限り避けるのが定石である。(プライベートでは自由にすればいい)

 

例えば、「この前の◯◯という映画、見たけど、最高に面白かった。」と、相手が語っていたとする。

だが、あなたはそれが好きではない。

 

そこで素直に

「そうですか?私はそう思わないですけど」

と言ってしまう人がいる。

 

しかし「嫌い」を表明したところで喧嘩になるか、飲み会の場が白けるだけである。

「そう言う人もいるんだ」くらいに考え、その場で自分の意見を表明することは避け、「そうなんですね。どういうところが面白かったですか?」と言う程度にとどめておく。

「嫌い」の話は会社の人ではなく、気の置けない友達としよう。

 

余談だが、webの記事やブログも「嫌い」を表明するとアクセスが集まりやすい傾向にある。

だが、「嫌い」をいい続けると、「この人なんか嫌だ」が積もって、そのうち誰からも相手にされなくなってしまう。

 

また、「会社/上司について、どう思ってるか正直に言ってみて」と上司が聞いてくるケースもあるが、絶対に正直に答えてはいけない。ほとんどの場合地雷である。

会社や上司のダメなところを指摘するのは、めちゃくちゃテクニックが必要であり、飲み会で苦労するようなコミュニケーションの素人が手を出して良いところではない。

 

3.「教わる」が基本姿勢

人は、自分の話をすることが大好きだ。逆に他人の話を聞くのは、よほど面白い話でない限りは好まれない。

したがって、コミュニケーション弱者のための飲み会の基本戦略は、相手が誰であろうと「話を聞いて教わる」である。

 

この姿勢は一見迎合しているようにも見えるが、あなたにとってはいくつかの大きなメリットがある。

1.貴重なノウハウを聞くことができる可能性がある

2.「人の話を聴くヤツ」という評価がもらえる

3.その人の価値観を知り、会話の先回りができるようになる

 

特に3.は、仕事をやりやすくするために非常に重要だ。

「この話題は避けたほうが良い」

「この人はあの人が嫌い」

などの情報は、組織で仕事をするには地味ながら重要である。

 

4.酒をつぎ、料理を注文し、酔った人を介護する

話すのがキツければ、皆の酒をつぎ、料理をとりわけ、酔った人を介護すれば、やることができて気が紛れる。

要するに「仕事」と思って、先読みして動き回ればいい、というだけである。ヘタにつまらない話をするよりも、気が利くやつと思ってもらえるし、感謝もされる。

 

これを「くだらない儀式」と思うだろうか?

そうかもしれない。

ただ、一緒に働く会社の人と、これほどテンプレ的に振る舞ってもコミュニケーションが取れてしまう場の存在は、実は結構ありがたい。

「ろくに知らない人」と働くよりも、「この前一緒に飲んだ人」と仕事をするほうが、往々にして仕事は円滑になるものである。

 

 

 

つまり、総括すれば「会社の飲み会」は議論をしたり、評価をしたりすることを求められていない場所である。

 

「話すのが苦手」ということで飲み会を敬遠する方も多いが、これであれば良い結果が得られるだろう。

健闘を祈る。

 

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
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(2025/6/2更新)

 

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